ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『雷電本紀』 若・貴なんぞ吹っ飛ばす大迫力
d0018433_3391081.jpg著者:飯嶋和一 
書名:雷電本紀
発行:小学館(文庫)
ぶちかまし度:★★★★☆

『黄金旅風』の飯嶋氏が書いた江戸時代の大力士雷電の伝記小説。

杉浦日向子『一日江戸人』に雷電のことが書いてあり(圧倒的な勝率254勝10敗!!&相手を投げ殺した??)、とても気になっていた力士なので早速読んでみました。

1790年(寛政2年)江戸の勧進相撲に突如怪物力士が登場した。雲州松江藩所属の雷電為右衛門。それまでの申し合わせの軟弱相撲を打破するガチンコ勝負で連戦連勝。貧しい信州の出身地では一揆が起きて多くの農民が死んでいた。その苦悩を背負った雷電は、ライバルたちと激しい相撲を取り続ける。

時代の風俗・習慣など実によく調べてあり、金物商人鍵屋助五郎との交流を通して、リアルに当時の情景が浮かび上がります。江戸時代の火事がいかに恐ろしかったかよくわかります。
相撲の話なので、対戦の場面はつきものですが、まるでビデオを見るような細密描写で驚きます。
谷風や小野川を含む江戸の有名力士たちが特徴を持って描かれていて、特に遊び人の千田川が魅力的です。雷電は20年も相撲を第一線で取り続けていますが、その間に他の力士たちが死んだりして、時の流れを感じさせます。またこれが最後の事件へとつながっていきます。

とにかく大力作なのですが、残念なのは長過ぎることです。最初の一揆の場面と最後の鐘鋳造事件の間にもう少し起伏が欲しい。あと、雷電が四書五経に通じた文化人というのは作り過ぎで浮いています。

d0018433_3414916.jpg面白かったのは、八百長=こしらえ相撲というのは昔からあったことです。雷電は勝率からみても本書の内容通り真剣勝負ばかりだったようで、全盛期の北の湖のような強さで、むしろヒールの扱いだった感があります。
個人的には、相撲はプロレスと同じでショーだと思いますので、今さら若・貴の八百長を大騒ぎする理由がわかりません。しかし、最近の弱い力士(特に日本人)を見ると、この本でも読んで雷電を見習い、もっと真剣にけいこして欲しいとは思いました。

江戸情報満載の作品でおすすめですが、読むほうも体力がいると思います。
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by bibliophage | 2005-06-20 03:49 | その他小説
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