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by bibliophage
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『不機嫌なメアリー・ポピンズ』 英国階級社会・入門編
d0018433_70293.jpg著者:新井潤美 
書名:不機嫌なメアリー・ポピンズ
発行:平凡社
意外度:★★★★☆

英文学の専門家新井氏による作品を通したイギリス階級社会の解説。

イギリスの階級社会は貴族・大地主のアッパー・クラス、准男爵から医師・弁護士・富裕商人までのアッパー・ミドル・クラス、その下にミドル・ミドル、とロウアー・ミドル、そして労働者階級であるワーキング・クラスと別れている。特にミドル・クラス内部での結婚や教育による微妙な階級の上がり下がりが、イギリス文学や映画において重要なポイントになったり、コメディのネタになったりする。

これらの階級による微妙な英語の言い回しの差や考え方、生活の差が多くの作品に反映されており、幼少時より香港、イギリスなどで暮らした著者だからわかるその違いを、以下の作品を取り上げて説明しています。

1章:『エマ』 『ブリジット・ジョーンズの日記』
2章:『ジェイン・エア』 『メアリー・ポピンズ』 『レベッカ』
3章:『大いなる遺産』 『眺めのいい部屋』 『コレクター』
4章:『タイム・マシン』 『時計仕掛けのオレンジ』 『ハリー・ポッター』
5章:『日の名残』 『郊外のブッダ』

面白かったのは、原作でのメアリー・ポピンズはにこりともしない厳格なナニー(これが実際に近い)だったり、アッパー・クラスでは「インテリでないことが美徳とされる」ことなどで、この本を読む前のイギリスについての常識が全く違っていることがわかります。ミドル・クラス内部での上下に一喜一憂するイギリス人は、われわれには到底理解できないし、それだけ階級社会が歴然として存在することもはじめて知りました。

ハリー・ポッター』でのハリーが両親ともに魔法使いであるという「上流階級」であるのに対し、ハーマイオニーは(両親とも人間で)努力で「成り上がった」とみなされるというのも、階級社会の反映ということでした。

イギリス階級社会のわかりやすい入門書としておすすめです。

関連サイト: 英国通になるための豆知識 UnoMinのイギリス生活
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by bibliophage | 2005-06-23 07:00 | 新書
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