ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『死神の精度』 新しい死神像
d0018433_7172270.jpg著者:伊坂幸太郎 
書名:死神の精度
発行:文芸春秋
ユニーク設定度:★★★★☆

『重力ピエロ』が直木賞候補になった人気作家伊坂氏の短編集。
売れています。ヤフーの文芸書ランキングでも初登場3位(7/5付)。最新号の週間文春にも書評あり。

雨男である・音楽が好き・日本語の言い回しが時々わからない、という特徴を持った(人間の格好をした)クールな死神を主人公とする以下の6編の構成です。彼が担当する人間は8日目に死ぬ運命にあり、それで「可」なのか、それとも死を「見送る」べきか、を判断するのが仕事です。
1. 死神の精度:企業のクレーマー担当係の女性
2. 死神と藤田:筋を通すやくざ
3. 吹雪に死神:吹雪の山荘に集まった人々
4. 恋愛で死神:イケメンでシャイなブティック店員
5. 旅路を死神:人を刺し殺した若者
6. 死神対老女:センスの良い70歳の美容師


死神の設定がとてもユニークで、この時点で面白さが保証されたようなものです。人間との会話が時々ずれるところが笑えます。
話の中に必ず謎を入れてあるところが憎く、興味をもって読み進めます。ストーリーの展開、登場人物の背景の書き方も冴えていて、とにかく「上手い」なあと思ってしまいます。直木賞は秒読みというところでしょうか。

絶対に読んで損をしない本だと思います。
と言っておいて、気になる点を少し。
8日後のことがわかる死神でなくてはならない必然性、という内容は厳密には2.「死神と藤田」だけではないかと思いました。私は6編の中ではこれが最も面白く、伏線とオチに感心しました。一方、3.の吹雪の山荘モノは、面白いしかけもなく、イマイチと感じました。
4.「恋愛で死神」。彼女が「萩原さんが家にくる」とは普通言わないのでは。
6.「死神対老女」は未来の設定になっていますが、その割に描写は現代のままで、前の話と連関させる必要性がよくわかりませんでした。死神が晴れ間をみるという展開は、このシリーズはこれで打ち止めということなのかな?

私が最も好きな伊坂作品である『オーデュポン~』と比較すると、(短編ということもあり)インパクトはやや小さめでしたが、とにかくよく考えられた連作集であり、この死神シリーズは今後も続けて欲しいと思いました。
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by bibliophage | 2005-07-15 07:21 | その他小説
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