ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『鏡の中は日曜日』 D難度の本格
d0018433_7575448.jpg著者:殊能将之 
書名:鏡の中は日曜日
発行:講談社(文庫)
アンチミステリ度:★★★★☆

メフィスト賞『ハサミ男』でミステリーファンをあっと言わせた殊能氏による本格派の変化球。

14年前、鎌倉の梵貝荘で起きた殺人事件。これは,名探偵の水城優臣が解決し、助手・作家の鮎井郁介が小説として発表していた。その事件の再調査を依頼された探偵、石動戯作は、当時の関係者たちを訪問する。その中には、現在痴呆症に陥っている人物が含まれていた。それは誰か?そこでもう一つの殺人が起きる。殺されたのは誰なのか?真相はどうなっているのか?

本格推理を知り尽くした作者が、そこに何重もの仕掛けを加えて作り上げた作品。ここまでくると、もう感嘆するしかないという感じです。
まずストーリー・イン・ストーリーとして、館物の本格推理「梵貝荘事件」があります。これはほら貝型の不思議な館と、殺人のトリック、仏文学をからめたこじつけの(笑)推理と、本格のステレオタイプの構成をしています。
以下はかすかにネタバレです。
この事件の関係者として、痴呆症の人物とその介護者がからみ、一種の叙述トリックが用いられます。作者としては、「痴呆」と「地方」の二つのミスディレクションをしかけています(ということにしておきます(笑))。
さらに、最後で水城探偵についてもう一段捻ってきます。(新月面宙返りみたいです。)
もうフェアとかアンフェアの段階を超越した作品で、堂々たるアンチミステリーといえるのではないかと思います。
作中人物に「フェミニスト・サイコスリラーで人間の心の闇を描ききった俊英」という表現があるのが笑えました。

水城探偵の出てくる番外編 『樒/榁』 も収録されています。
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by bibliophage | 2005-07-21 07:58 | ミステリ-
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