ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『帰ってきたもてない男』 もてない理想主義者の文化人を救え
d0018433_1026436.jpg著者:小谷野敦 
書名:帰ってきたもてない男
発行:筑摩書房(新書)
面白自虐度:★★★★★

『もてない男』が売れた小谷野氏が、結婚→離婚を経て新たに書いた男女論。

『もてない男』に寄せられた批判は、だいたい二つに分かれる。
1. 「…あなた自身にかくかくの原因があるから」…上野千鶴子など。
2. 「…理想が高いだけ…」…田中貴子、山口文憲など。(第1章より)


これは面白かった~。
現代における「もてない男」の分析とその社会的救済などについて、自分の経験をもとに、古今の文献、本に言及して、徹底的にこだわり抜いた内容です。

まず、恋愛には遺伝的な能力差があり、それを訓練してどうにかしろというのは、「ゆとり教育」の発想と同じで欺瞞である、と言います。見たくれのぱっとしない(と自分でもわかっている)小谷野氏としてはこれが最大のネックです。
次に、身体コンプレックスをスポーツ(その他)で解消しよう、という議論について、著者は「全くの運動音痴」で音楽についてもピアノも挫折し、クラシックしか好きでない、これではもてるはずがない、となります。
また、近代の一夫一妻制というのは男を苦しめ、漱石や鴎外などの文豪も結婚に嫌気がさしていた、浮気や買春をするのも安定した生き方である、と語ります。著者によると、それでも離婚しない場合は「セックスの相手の確保」のためもあるだろうとのことで、彼にとってこの「相手がいない」ということが、強迫観念にまでなっている様子です。

他の知識人の事情についても面白く、呉智英の「買春癖」がばれたことや宮台真司が「膨大な理論化」をおこなった上でテレクラ・援助交際の経験についてやっと言うことができたこと、などがあげられています。
さらに、著者は離婚後テレクラにかけたがうまくいかないので、ネットの「出会い系サイト」に登録したことが書かれています。サクラにひっかかりそうになったり、写真付きだと全く返事がこないことや、どうしても学歴・知性にこだわる著者の様子が笑えます。(雑誌の書評にも「ここまでやるか」と書かれていましたw。)

最後に、もてない著者(東大卒42歳バツイチ)の結婚相手の条件というのがあり、
「25-34歳、1流―1.5流大学卒、古典の文学演劇に関心あり、etc」でしたw。

著者が「もてない」理由は、結局上記1+2、つまり外見・運動能力・コミュニケーション力に劣り、かつ理想が高いこと。自分でわかっていてもどうしようもない所が面白く、またそれを客観的に文章にできる点が著者の強みです。この本も売れそうです。
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by bibliophage | 2005-08-13 10:29 | 新書
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