ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『救急精神病棟』 精神科医療の現在
d0018433_6344110.jpg著者:野村進 
書名:救急精神病棟
発行:講談社
苦闘度:★★★★☆

ノンフィクション・ライター野村氏が最先端の精神病院に泊まりこんで取材。

先日、71歳の男性が駅のホームで精神疾患と思われる女性に突き落とされ死亡するという事件がありました。精神疾患患者の犯罪が問題になっていますが、医療現場の実際はどうなのか。
著者は、幕張にある「千葉県精神科医療センター」という「精神科救急」を標榜する第一線の病院で2001年から約2年にわたり取材をしています。

いきなり、統合失調症の急性期で「第三次世界大戦が始まる~」と騒ぐサラリーマンの話が書かれていて、驚かされます。彼は9.11のテロ事件の事後処理に渡米し、現地での強いストレスによって発症した例でした。
この他に、突然の記憶喪失でパニックになった「健忘症」の女性、成田空港の近くで下着で騒いでいた患者、10年も風呂へ入らず、父親と二人でゴミの中で暮らしていた例、手洗いが止まらず水膨れになった「強迫神経症」の女性、など豊富なびっくりするケースを紹介しています。

そうした例の中で、現在の精神医療の発展や問題点をわかりやすく指摘しています。
・ 精神病の入院患者は34万人で、日本の入院患者の1/4に当たる。
・ 最近は「通電治療」の効果の見直しがなされていて、麻酔科医立会いの元にけいれんを起こさない形で使われている。
・ 統合失調症も早期の薬物治療により2/3がコントロールされるようになった。
・ 精神科医療の保健点数がようやく上げられたが、病院経営は依然として長期入院・薬漬けから脱却できてはいない。

特に最近の薬物治療の発展、統合失調症のメカニズムについての研究の進展には驚きました。
また、精神疾患は誰にでも起こりうること、患者に対する誤解・偏見は避けなければならないこと(難しいが…)もこの本を読んで考えさせられました。
池田小事件などに見られる「人格障害」者に対する対応は、なかなか難しいこともよくわかります。
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by bibliophage | 2005-09-08 06:35 | 評論
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