ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『百年の誤読』 ベストセラー100年史
d0018433_23936.jpg著者:岡野宏文、豊崎由美
書名:百年の誤読
発行:ぴあ
購入動機:書評
痛快度:★★★★★

1900年から現代までのベストセラーを年代別に選んで、岡野宏文、豊崎由美の両氏が鋭く突っ込みます。徳富蘆花『不如帰』からYoshi『Deep Love』まで。なんという壮大な試みでしょう。

漱石と泉鏡花は「文章に対する意識が高い」、芥川は「とんでもなく現代的」と持ち上げているものの、鴎外を「サービス精神なし」、志賀直哉を「夏休みの宿題程度の名文」と斬り捨てています。堀辰雄『風立ちぬ』は「溺れるほど美しい」、中島敦『山月記』は「格調高い」文章とベタ誉め。

現代になると、村上龍『限りなく透明に近いブルー』は「離人症文体の新しさ」と評価していますが、田中康夫『なんクリ』は「よむに耐えない一発芸」とクソミソです。面白いのは豊崎氏が村上春樹に謝罪しているところ。『ノルウェーの森』の素晴らしさが、出版当時理解できずにこけおろしたのを懺悔しています。

意外だったのは、この本の中で二人そろって最も誉めているのが、さくらももこ『もものかんづめ』。対象におぼれない品のよさ、村上春樹のコメディレベルの比喩のうまさ、だそうです。

この対談で一環していて気持ちが良いのは、つまらない内容・文章である(と二人が判断した)時点で、どんなに売れた作品でも徹底的に斬られているところです。『Deep Love』は「ヘドロゴミ」、片山恭一『世界の中心で…』は「安い純愛メロドラマ」と表現されています。そのココロは、作り手には独創性・文章力を、読み手には読書力を期待することで、今後の出版物の質を高めていきたいという二人の評論家としての矜持だと思いました。

この本は内容・タイトルとも素晴らしいのですが、表紙がジミ過ぎです。順調に売れているのでしょうか?
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by bibliophage | 2005-04-11 02:35 | 評論
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