ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『白い部屋で月の歌を』 イメージが斬新なホラー
d0018433_941795.jpg著者:朱川湊人 
書名:白い部屋で月の歌を
発行:角川書店(文庫)
不思議イメージ度:★★★★★

直木賞を受賞した朱川氏のホラー短編集。表題作は第10回日本ホラー小説大賞短編賞。

私たちの仕事は除霊。先生が地場についた霊をはがして、私の心の中の「白い部屋」へと連れて来る。そのあと、そこから「鉗子」で引っ張り出して位牌や石の中に封じ込めるのだ。でも私は自分の過去についてはよく覚えていない…。(『白い部屋で…』)

東京から地方の山の町に引越してきた雅彦と昌子。何も娯楽がないところだったが、そこに住む人々は、なぜか皆とても親切だった。丘の上にはL字型の鉄柱が立っていたが、二人にはその用途がわからない。ある日、一人の老婆が自殺し、遺書として歌が書かれた紙が残されていた。(『鉄柱(クロガネノミハシラ)』)


朱川氏は同時期に、ホラー小説大賞(本作)とオール読物推理新人賞(『フクロウ男』)を受賞しています。後者を読んで、不思議なイメージが浮き上がってくる文章の上手さに驚いた記憶があります。今回本作を読んで、瞬く間の直木賞も、むべなるかなと思いました。

『白い部屋で…』 『鉄柱』 とも設定はよくあるパターンです。前者は地縛霊を取り除く話。後者は一見平凡な地方の町に隠される謎について。しかし朱川氏のイメージの発想と描写力がすぐれているので、表紙にも書かれているような「白い部屋」から「鉗子」で霊を抜き出すとか、丘の上にそびえる鉄柱などの絵が目の前に浮かんでくるようです。さらに冒頭から出された謎:「私は何者なのか?」「鉄柱の用途は?」、があるため、先が知りたくて読み進んでしまいます。この作者の本質は、やはりこういった霊とか因習とかがからむ少し不思議な世界観の物語なのだと再認識しました。
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by bibliophage | 2005-09-17 09:06 | ミステリ-
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