ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『はじめての部落問題』 異色の入門書
d0018433_2323914.jpg著者:角岡伸彦 
書名:はじめての部落問題
発行:文芸春秋
淡々度:★★★★☆

被差別部落出身の著者による丁寧な解説。

「この本をつくった編集者は、幸か不幸か私と関係してしまったので、すでに部落関係者である。そして私が書いた文章をここまで目を通してしまった読者も。(本文より)」

本の帯を見てちょっとびっくりしました。「生まれ育った著者による名ガイド」とあったので、おもわず写真を見たら涼しげな男性の顔が…。
著者の角岡氏はノンフィクションライターで部落問題についての著書があり、大阪大の非常勤講師として講義もしていた方です。

本書では、部落と部落民とは何か?から、部落差別はなぜ残っているか?どうすればなくなるか?まで、淡々と述べられています。
1. 解放運動により部落の生活状態も改善し、差別は減ってきている。
2. しかし結婚、就職などにおいて、差別が影響することもまだある。
3. 部落や部落民が何かの社会的存在意義を持ったとき差別はなくなっていくだろう。
というような論旨です。
彼の執筆活動も、3. の一環だと考えられます。

d0018433_2325155.jpg部落出身だとされる有名人として、作家の故中上健次氏と政治家の野中広務氏が知られており、この本でも二人のことに触れています。
魚住昭 『野中広務 差別と権力』は私も読みましたが、いかにして野中氏が総理一歩手前まで這い上がっていったかを赤裸々に語ったとても面白い本でした。それと比べると、本書は相当あっさりしている感があります。これは著者がいうように、「あまり差別を受けた経験がない」からなのでしょう。

いずれにせよ、本書が新書として出るということは、時代が変わってきた証拠であり、執筆活動や講義を通じて差別をなくしていこうとする著者の今後の活動に期待します。
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by bibliophage | 2005-12-25 23:05 | 新書
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