ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
『毒書案内』 名作~奇書テンコ盛り
d0018433_11362544.jpg著者:石井洋二郎 
書名:毒書案内 人生を狂わせる読んではいけない本
発行:飛鳥新社
幻惑度:★★★★☆

仏文化専門の東大教授石井氏による危険な本の案内書。

「ここに集めたのは基本的に…選りすぐりの劇薬ばかりですから…場合によってはそれこそ取り返しのつかない結果を招きかねません。…服用にあたってはうっかり致死量に達しないよう、くれぐれも慎重にしてください。(「まえがき」より)」

神保町の三省堂で目立つように平積みされていたので、おもわず手に取りました。

「死の誘惑」 「異界の迷宮」 「揺らぐ自我」 「迷走する狂気」 「性と暴力」 「官能の深淵」 「背徳と倒錯」の7章に分けられ、各章5冊、計35冊の作品のあらすじ、抜粋、感想が書かれています。
紹介されているのは、太宰治 『人間失格』、マン 『ヴェニスに死す』、安部公房 『砂の女』、ランボー 『地獄の季節』、ニーチェ 『ツァラトゥストラ』、バロウズ 『裸のランチ』、ノボコフ 『ロリータ』 など、かなりメジャーなものばかりです。

さすがに「星の王子さま」の訳者だけあって、いかに毒を持っているかの修辞表現の巧みさに感心しました。
三島 『金閣寺』は、「彫琢をきわめた華麗な文章と、巧緻をきわめた緊密な構成を持つ完璧な造形に加えて、「美」という観念をめぐる豊穣なアイロニーの修辞学による力を備える」と表現されます。
また、『われらの時代』 の大江と 『北回帰線』 のミラーは、「性を梃子として世界に挑みかかるような書物で、秩序の攪乱や禁忌の審判を志向する同じ血を体内に宿していた」と描かれます。
全体的には文章も平易で、ルビが多用されていてとても読みやすくなっています。

奇書では 『ドグラマグラ』 と 『家畜人ヤプー』 が取り上げられていました。私が最も思い入れのある前書に関しては、不遜ながらもう少しつっ込んで欲しいという印象でした。

ともあれ、古今の名作の梗概を語り、その魅力を流麗な文章でつづる本書は、読んでみる価値があると思います。
[PR]
by bibliophage | 2006-01-07 11:39 | 評論
<< 映画:「フライ、ダディ、フライ」 直木賞(+芥川賞)候補作発表と... >>