ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『イン・ザ・プール』 ちょっとズサンな医学コメディ
d0018433_032613.jpg著者: 奥田英朗 
書名:イン・ザ・プール
発行:文芸春秋(文庫)
お笑い度:★★★☆☆

精神科医伊良部シリーズの初回短編集。

1. 「イン・ザ・プール」: 体調不良の解消にと水泳を始めた和雄だったが、いつしか泳がなくては気がすまない中毒状態になっていた。
2. 「勃ちっぱなし」: 下腹部を強打して以来、哲也は持続的に勃起した状態に悩まされていた。
3. 「コンパニオン」: イベント・コンパニオンの広美は、最近誰かに後をつけられているという恐怖感から、心身ともに調子を崩していた。
4. 「フレンズ」: 高2の雄太は携帯を四六時中手放せない。いつ誰から遊びの誘いが入るかわからないからだ。
5. 「いてもたっても」: 生真面目なルポライター義雄は、火元の確認が気になって、仕事にも支障をきたすようになってしまっていた。

いや、面白いのは認めますけど、細部がいい加減ですねぇ、この作品は。

たいがいの粗筋は、「強迫観念や何かの中毒になっている人が、太った中年医師・伊良部と面談を重ねるうちに、あまりにメチャクチャな彼の行動に呆れ、逆に優越感をもったり、吹っ切れたりすることで、自分を取り戻していく」というものと思います。

ズサンなところというと、第1話に出てくる、「あいつら(=内科医師)、もしも機能性の疾患だと怖いもんだから、なかなか下(=地下の精神科)に回そうとしない…」の部分、「機能性」は「器質性」の間違いだと思われます。心身症は「機能性」の疾患が多いハズなので、下に回すのが普通。
また、「痛みを緩和する抗生物質を打つ」というのは、さすがにあり得ないでしょう。
第2話、持続性の勃起は血栓症か何かで起きるシリアスなものと聞いたことがあり、心因とか打撲で起きる・治るといったしろものでないのでは…。
やはり、医療関係者にチェックしてもらわないと、笑うところで笑えないことになりますので…。

とはいえ、伊良部のキャラクターに慣れてくると、なかなか面白いです。特に第3話のオーディションの場面、プッツンした広美と伊良部が係員に詰め寄る場面は最高に可笑しい。初診で話も聞かずにいきなり「注射しましょう」というのも笑いました。コメディと割り切れば、楽しめます。

しかし、この続編が直木賞とはちょっと想像しづらいな、というのが正直な感想でした。とにかく、『空中ブランコ』も読んでみようかと思っています。
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by bibliophage | 2006-03-12 00:09 | その他小説
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