ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『瀬川昌司はなぜプロ棋士になれたのか』 色々な要素の組み合わせ
d0018433_783338.jpg著者:古田靖 
書名:瀬川昌司はなぜプロ棋士になれたのか
発行:河出書房新社
高揚度:★★★★☆

強すぎるアマ、瀬川さんの将棋プロ入り問題の総括。

「しかし当時の感覚では元奨励会員がプロになれる可能性は限りなくゼロに近く 「針の穴にバスケットボールを入れるようなもの」 だった。(終章より)」

社会現象にまでなった瀬川さんプロ入り問題。
この本を読むと、色々な要因が偶然に重なって瀬川棋士が誕生したことがわかります。

もちろん、第一に彼が対プロ成績が16勝6敗と抜群によかったことが前提にあります。奨励会を年齢規定で3段で退会した後、将棋に打ち込んでさらに強くなった珍しいケースです。

次に、応援してくれた人々の存在。遠藤氏らトップアマたち、自身も強豪である読売新聞担当記者の西條氏、瀬川氏と仲のよかった野月プロなど。
彼らの声援に支えられて、瀬川氏は連盟に嘆願書を出し、これを会長になったばかりの米長氏がサポートしました。

背景には、将棋人気の衰えからくる連盟の収入減少が大きく存在しており、とにかくこの企画で将棋を盛り上げようという機運が高まったことがあげられます。

これらの内容を淡々と、しかし的確に漏れなく描写した本書は、今回のイベントにかかわる知らなかったエピソードが満載で、とても読みやすいものでした。

しかし、世の中の移ろいは速く、瀬川フィーバーもいつの間にか忘れさられようとしています。彼のプロとしての今後は、現在勝率が5割以下(2勝4敗)であることからみて、かなり厳しいものでしょう。プロたちも、彼にだけは負けたくない、と気合を入れているようですw。

本書も力作であるだけに、もう少し早く出版して欲しかったところではあります。
今後の瀬川氏の活躍と第二弾 「その後の瀬川」 が書かれることを期待したいと思います。
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by bibliophage | 2006-03-30 07:10 | 評論
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