ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『終末のフール』 設定のシュール
d0018433_10163668.jpg著者:伊坂幸太郎 
書名:終末のフール
発行:集英社
世紀末度:★★★★☆ 

小説すばるに掲載された伊坂氏の連作短編集。「小惑星の衝突によって地球が3年後には破滅することがわかっている」というSF風な設定。

1「終末のフール」:  香取夫妻は長男和也を自殺で亡くしている。その時家を飛び出した娘の康子が今回10年振りに帰ってくる。
2.「太陽のシール」:  決断力のない僕、桜庭富士夫。あと3年の今になって、妻の美咲が妊娠した。さて、産むべきか、どうなのか?
3.「籠城のビール」:  辛口のアナウンサーだった杉田の家に、二人の男が闖入した。マスコミのせいで自殺した家族の復讐のためだという。
4.「冬眠のガール」:  おっとりした性格の田口美智の両親は4年前に自殺した。父の残した莫大な本を読み終わった美智は、「恋人を見つけること」を新しい目標にする。
5.「鋼鉄のウール」:  16歳のぼくは、引きこもりの父と不安症の母と暮らしている。ぼくはキックボクサー苗場にあこがれ、彼の所属しているジムに通う。
6.「天体のヨール」:  最愛の妻千鶴を失い自殺しようとする矢部。そこに大学時代の友人で天文オタクの二ノ宮から電話がかかる。
7.「演劇のオール」:  わたし(倫理子)は、町内に残された人々と擬似家族のような生活をしている。母:早乙女さん、妹:亜美、子:勇也+優希、と彼氏一郎、それに犬。
8.「深海のポール」:  ビデオ店長の渡部は妻華子、娘未来、頑固親父と4人暮らし。華子は宗教の集会にでかけ、父親はマンション屋上に櫓を建設中。

あと3年で地球が滅亡。この設定で、社会パニックの時期を描くのではなく、その時期を過ぎた一種諦念の世の中で暮らす人々を題材にしています。この点がユニークです。

8つの短編には、色々な人々が相互乗り入れしていて、メモを取りながら進めないと混乱するところがあります。この辺もたくみに計算されている感じ。ひとつひとつの物語の作り方はやはり上手いなぁと感心します。

全体的には、話が淡々と流れるものが多く、正直、面白いのかどうか私には判断できませんでした。伏線、キレ、オチといった要素からは、3.「籠城のビール」6.「天体のヨール」が、個人的な好みでした。

8.「深海のポール」の内容からみるとこの8編で完結の様子ですが、「じたばたして、足掻いて、もがいて。生き残るのってそういうのだよ、きっとさ」というのがメッセージなのでしょうか。
あと気になるのが、4.「冬眠のガール」の最後に「広い家の庭に倒れている男」というのが出てくるのですが、これって誰??
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by bibliophage | 2006-04-02 10:24 | その他小説
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