ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『月の扉』 月の扉は閉ざされたまんま
d0018433_2029740.jpg著者:石持浅海 
書名:月の扉
発行:光文社(文庫)
幻想度:★★★☆☆

扉は閉ざされたまま』の石持氏の2003年作品が文庫化。「このミス」8位。

<沖縄で子供を癒すキャンプを主催する石嶺。彼を師匠と仰ぐ柿崎、真壁、と村上聡美。ある日、石嶺が無実の罪で逮捕された。その救出のためにハイジャックを決行した3人。しかし、機内では予期せぬ殺人事件が起きる。>

『扉は…』がいたく面白かったので、迷うことなく購入。

まず、「師匠を救うために、ハイジャック」…この発想がぶっ飛んでいます。もちろん、ある理由で時間的切迫があったからこそなのですが…。この辺は、意外にも読んでいて違和感なく進めました。作者の語り口がうまいからでしょう。
次に、「ハイジャックの機内で別の事件」。これも意外性が面白い。乗客の中から名探偵役が出るのもユニークで、その論理性は『扉は…』に通じるものがありました。その死体の利用法は想定通りでした。
この本格推理とパニックものを合体させた発想と手腕はさすがと思いました。

が、ちょっと気になる点が散見。
石嶺の逮捕理由、機内での殺人事件のオチ、ラストのドタバタ、などがそうです。
本格推理というのはよく考えると不自然で馬鹿馬鹿しいものなので、いかに他の点でそれをカバーしきれるかということがポイントと思います。
その点、この作品は、読後にその馬鹿らしさが完全には払拭できませんでした。

ということで、『扉は…』に至るまでの習作という印象でした。
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by bibliophage | 2006-05-03 20:34 | ミステリ-
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