ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『僕のなかの壊れていない部分』 ハ-ドボイルド・ラブストーリー
d0018433_6455694.jpg著者:白石一文
書名:僕のなかの壊れていない部分
発行:光文社
購入動機:書店で目について
内容凝縮度:★★★★★

出版社勤務を経て専業作家となった白石氏の4作目。

主人公の僕:松原直人は仕事歴8年の編集者。記憶力がよく、エーリッヒ・フロムなどからの引用がすぐに出てくる。美人のスタイリストで恋人の枝里子と出会ったときも、三島由紀夫についての薀蓄で彼女の気を引いた。枝里子以外にも、スナックで働く年上で子持ちの朋美、有閑マダムの昭子の二人と関係を持っている。

この作品の「僕」は、村上春樹の「僕」と違って、屈折して懐疑的で、すぐ切れるし、厭世的で、あまりサワヤカな人物とは言えません。しかし、人間が生きなければならない理由をいつも考えていて、釈迦のようでもあります。自分をないがしろにした母への恨みと、子供の時に優しくしてくれた別の女性の影響の上にこの「僕」の考え方は形成されています。

「僕」に惹かれる枝里子の気持ちがわかります。知的で影があって、時に怒ったと思ったら、次には甘えてくるし、sexも上手い。ダメンズと違って仕事もできる。

各人物がよく書かれていて存在感があります。「僕」の記憶力がよい理由が後半明らかになりますが、このエピソードが秀逸です。編集者の仕事内容が書かれていて興味を引きます。リーダビリティも高いです。

内容の濃い話で、読む価値があると思いました。
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by bibliophage | 2005-04-25 06:50 | その他小説
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