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ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『笑犬樓の逆襲』 いつまでも前衛的な老大家
『笑犬樓の逆襲』 いつまでも前衛的な老大家_d0018433_7432051.jpg著者:筒井康隆
書名:笑犬樓の逆襲
発行:新潮社
購入動機:著者のファン
スラップスティック度:★★★★☆

(以下このエッセイ風に…)
わはははははははははは。
これは筒井康隆が、『噂の真相』に書いたエッセイで、断筆解除後の1998年8月から、休刊の2004年4月までのものをまとめたものだ。30歳でデビューした時からメチャクチャな話ばかり書いてきた奴だが、60を過ぎた今でもハチャメチャで年令相応の落ち着きなどとは無縁である。ただ、評論家斬りの過激さは、本人も言うようにかなり薄くなってはいるが。

断筆中は税金が払えないというのでホリプロに「タレント」として所属し、芝居に出たり、CFに出たりしていたようだが、災い転じて福となしたのか、復帰後は作家と役者の二股で活躍している。こともあろうに天皇の前にのこのこ出かけていって、紫綬褒章までもらっている始末だ。

筒井作品の中で特にわしの心に残っているのは、『最高級有機質肥料』と『狂気の沙汰も金次第』の二つだ。前者は卒倒するくらいに発想が斬新で、後者は「ことわざの合成」という言葉遊びが身の毛もよだつほど素晴らしい。「暑さ寒さも胃がんまで」なんてブラックユーモアの極地ではないか。

実は『朝のガスパール』以降、筒井の作品にはとんとご無沙汰だったのだが、『パプリカ』なんぞは読んで気が狂った奴が出たようだし、『愛のひだりがわ』もじわりと面白そうだ。そうそう、ちょっと前にテレビでフカキョン主演の『富豪刑事』もやっていたなあ。自選の短編集も文庫であるようだし、久しぶりにまた読んでみるとするか。

それにしても、9.11のテロを「面白かった」なんて書いて許されるのはこの筒井くらいのものだろう。シラクとブッシュに大阪弁で本音を言わせている箇所も痛快だった。ああそうだ。この本の最後に「筒井康隆のすべてを知るための50問50答」というのがあるが、この聞き手が実に優秀で、絶対読むべきところだとわしが思ったことも付け加えておこう。
by bibliophage | 2005-04-27 07:39 | ユーモア
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