ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『黒い雨』 終戦記念日に
d0018433_8211074.jpg著者:井伏鱒二 
書名:黒い雨
発行:新潮社(文庫)

いつかは読もうと思っていた作品。8/6に原爆の記事を目にして読んでみました。

<終戦後4年。閑間重松は妻しげ子、姪の矢須子と広島の山村に住んでいた。重松は被爆したものの症状は軽い。矢須子は元気だが、直接被爆したように噂されて縁談がまとまらない。重松は当時を思い出して「被爆日記」を清書していた…。>

「被爆日記」を清書する、という形で話が進み、時々現時点(4年後)の戻るという書き方のため、淡々とした印象を与えます。重松静馬著『重松日記』を原資料とし創作を加えたもの(Wikipedia)ということで、ドキュメンタリー色が強くなっています。名文家として知られる井伏氏が、原爆投下直後の広島の壊滅的状況、人々の悲惨な有様を粛々と書いて、目に浮かぶように再現しています。

色々な人々の観点から書かれた原爆投下時の状況。絶望的な話だけでなく、九死に一生を得た医師の挿話などもあり、読み応えがありました。
僧侶も間に合わないほどの死人の数のため、勤務先の工場長に命じられて、重松はお経を読む係りとなります。死者の家族からお布施を押し付けられて戸惑う重松。こういったエピソードがとても興味深いところでした。

最後に物語として大きな展開があり、余韻を残して話は閉じられます。

d0018433_8185531.jpg映画も観てみました。

今村昌平監督1989年作品。重松夫婦と姪に、北村和夫、市原悦子、田中好子。
田中好子が可憐で良かったです。
原作に忠実な筋書きに加えて、新たな登場人物も加わり、ドキュメンタリー色を薄めて作られています。
白黒映画であるところがピッタリで、こちらも見る価値は十分にありました。(8/15の夕刊フジでもおすすめDVDになっていました。)

戦争に巻き込まれるのだけは勘弁して欲しいと痛切に感じました。アメリカというのは昔から現在まで変わらない凶暴な国です。
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by bibliophage | 2006-08-15 08:28 | その他小説
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