ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『文壇』 1960年代の舞城? 野坂昭如の斬新な文体
d0018433_72589.jpg著者:野坂昭如 
書名:文壇
発行:文芸春秋
千鳥足度:★★★★☆ 

TVの構成作者から流行作家へと転身を遂げた野坂氏が見た、文壇という閉鎖社会についての思い出話。泉鏡花文学賞受賞。

恥ずかしながら『火垂るの墓』も『エロ事師たち』も未読です。それにしても読みにくい…いや、個性的な文体↓ですね。

冷やかしめいた表現が多かったが、中に、文体について、西鶴の影響がある、日本の古い語り物の血筋をひく、助詞を取っ払い行替えのない語り口は、古いようで斬新、新人にしては珍しい筆力、何やかや耳に入って来て、いずれについても他人ごとめく。

吉行淳之介と三島由紀夫が才能を認めただけあって、当時の文学界におけるインパクトは現在の舞城王太郎以上のレベルだったのではないでしょうか。

最初は、文壇関係のパーティーでも浮いていた野坂氏、吉行や三島が、ただ遠くにまぶしく見えているのみ。しかし、その野坂氏、文壇関係の酒場に出入りを続け、またエロ映画の上映会を開催し、虎視眈々と機会をうかがう。ついに「小説中公」に『エロ事師たち』が掲載されるに至り、これを吉行と三島が雑誌でほめ、しばし喜ぶもその折、明らかに才能の勝る新人五木寛之がデビュー、これに痛く嫉妬、テレビでは永六輔、文壇では五木、とめぐり合わせの悪さをしきりに嘆く。
そうこう言ううち、『火垂るの墓』が直木賞を受け、原稿依頼、対談などひきもきらず、まさに瞬く間に流行作家となるに至る次第。加えて、歌手としてもデビューし、かの三島をもうらやましがらせた。その三島は、満を持した「豊饒の海」、文壇から全く無視され、あげくの果ては自衛隊になぐりこみ、それをテレビでみながら驚く野坂氏と好対照の様、ただ哀れなばかり。
(ちょっと真似してみました…)

脳梗塞を克服して、これからも頑張って欲しいものです。
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by bibliophage | 2005-05-20 07:28 | その他小説
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