ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『珍妃の井戸』 通俗性の魔力
d0018433_2325061.jpg著者:浅田次郎 
書名:珍妃の井戸
発行:講談社(文庫)
落涙度:★★★★★

『蒼穹の昴』に続いて清朝末期の中国に題材をとった、直木賞作家浅田次郎氏の作品。

1900年に起きた義和団の乱の鎮圧のために、列強の連合軍は北京に攻め込んだ。西太后らが西安に逃げる折、光緒帝の美しき側室 珍妃(ちんぴ)が井戸に投げ込まれて殺された。珍妃殺しの犯人は誰なのか?

英・独・露・日の4人の駐在官が真相を探るべく、宦官、他の后、袁世凱などから話を聞きますが、証言内容が食い違い、ますます混迷が深まります。ミステリー風の展開で、話に引き込まれていきます。

文章の上手さは言うまでもなく、さびれた紫禁城内部のイメージなどが浮かび上がります。ただ、全体に俗っぽい印象があり、ロシア人の総裁は熊のような大男で臭いし、日本の子爵は厚いメガネのチビというステレオタイプに描かれています。滅び行く大帝国を描くにあたって、どうも確信犯的に通俗性を追求しているように感じます。

そして、4人は真相を求めて、ついに幽閉中の光緒帝との謁見を果たす、というクライマックスへと至ります。

最後に、死の直前に珍妃が帝に語ったことばが書かれ、真相が明らかになります。帝への愛の気持ちを、意表をついた言葉使いで切々と語られると…不覚にも涙腺が緩みました。「泣かせの次郎」恐るべしです。
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by bibliophage | 2005-06-01 02:37 | その他小説
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