ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
『ルパンの消息』 華麗なる蛇足
d0018433_1159572.jpg著者:横山秀夫 
書名:ルパンの消息
発行:光文社
隠し玉度:★★★☆☆

直木賞決別宣言をしたベストセラー作家横山氏の「幻の処女作」。1991年サントリーミステリー大賞佳作。

15年前、美人教師 嶺舞子が飛び降り自殺した。それが実は他殺であるというタレ込みが所轄署に入ってきた。深夜の死亡推定時刻頃、男子生徒3人が「ルパン作戦」と称して学校に忍び込んでいたという。時効まで、あと24時間。本庁捜査一課の溝呂木は被疑者を落とせるのか?

当時すでに文体が完成していて、横山氏でなければ書けないような細かい警察内部の描写:取調べの様子、手柄争い、記者との関係etcが緊張感あふれる筆致で迫ってきます。得意の時効がらみのタイムリミットサスペンスで、さらに引き込まれます。
ツッパリ高校生3人の会話なども金城一紀ばりのノリのよさです。
プロットが綿密に構築されていて、展開がなかなか読めません。

要するに、完璧に面白いです...謎解きに入るまでは。
最後、物証よりも情実であっという間に解決にもっていくのが、イマイチすっきりしないところです。確かに、ロッカーのポイントに気づかなかったのは、やられたと思いましたが、真相解明はTVドラマ風な印象を受けます。
また、どんでん返しを入れたいのもわかりますが、真犯人はやっぱり蛇足でしょう。これじゃ「ルパン三世」です。起訴は無理。

とはいえ、ペーパーバックスなら明らかにお得な内容だと思います。本格とは言えませんが、エンターテインメントの巨匠ですね。
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by bibliophage | 2005-06-07 12:02 | ミステリ-
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