ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
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『「大岡裁き」の法意識』 日本人は本当に裁判嫌いなのか?
d0018433_702445.jpg著者:青木人志 
書名:「大岡裁き」の法意識
発行:光文社
解説工夫度:★★★★★

一橋大教授で比較法学の専門家である著者による、日本人の法意識についての歴史的考察。

現在の日本において、進行しつつある「司法制度改革」。これは、ロースクールの開設と裁判員制度の創設を二本柱としますが、この動きを第三の改革ととらえ、第一を明治期、第二を第二次大戦後とし、特に第一の改革について、まず1から3章で詳しく書かれています。

とっつきやすくする工夫として、最初に明治期の法学者 穂積陳重を取り上げて、その写真での変遷(マゲと帯刀→七三の髪に蝶ネクタイ→カイゼルひげにシルクハット→和服→洋服)を見せています。これが見事に西洋法の取り入れの歴史と平衡し、ボアソナードらによるフランス法の導入、イギリス法の影響、その後のドイツ法への傾斜といった流れがわかりやすく説明されています。
特定の人物に注目することに加え、法廷の見取り図の変遷:お白州→断獄廷→現在の形、を示しているのもわかりやすさのための工夫です。

その後、預けた息子の死をめぐる「隣人訴訟」事件の顛末にふれて、日本人の法意識に話を向け、「日本人が裁判嫌いである」とされる点についての色々な説を紹介しています。
本当に法嫌いなのか?コストの問題か?はたまた判決が予想しやすいために妥協するのか?

あとがきを読むと、この本が大学での著者の講義を文章化したものであることがわかり、読みやすさの理由に納得します。
よく工夫された入門書としておすすめできると思います。
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by bibliophage | 2005-06-09 07:05 | 新書
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