ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『クラインの壺』 SFとミステリーの融合
d0018433_21202529.jpg著者:岡嶋二人 
書名:クラインの壺
発行:講談社(文庫)
仮想現実度:★★★★★ 

徳山諄一+井上泉=岡嶋二人、名義での最後の作品。あとがきによれば、この作品はほとんど井上(夢人:改名)氏一人によるもののようです。1989年新潮社より刊行。

上杉彰彦の書いたシナリオ『ブレイン・シンドローム』がイプシロン社によってゲーム化された。驚くべきことにそのハード:クラインの壺は、ゲームの内容を五感を通して体験させる、バーチャルリアリティーを完璧に実現したものだった。ゲームの最終テストに被験者として参加することになった彰彦は、次第に自分の周りの現実にズレが生じていることに気づき始める。

この作品は、ミステリー的な展開を持ったカジュアルなSFという感じです。バーチャルリアリティーがまだまだ進んでいない現在において、この作品の内容はいまだにインパクトがあります。しかもこれが15年以上前に書かれていたことに驚愕しました。プロットのセンスが素晴らしい。文章もとても読みやすく、展開が自然なのですらすらと読み進めます。

クラインの壺とはメビウスの輪の四次元版で、内側と外側の世界がねじれてつながった図形を示す用語のこと。   
この作品におけるゲームも、まさにバーチャルとリアルを行き来するもので、その境目が徐々に渾然としてきます。その混乱の果てに彰彦が至った決断とは?

これは『オルファクトグラム』も読まなくてはいけないな、と思いました。

井上夢人氏HP  
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by bibliophage | 2005-06-15 21:25 | ミステリ-
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