ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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カテゴリ:時代小説( 5 )
『お庭番平九郎 矢切の渡し』 平九郎、阿波騒動を斬る
d0018433_163335.jpg著者:北川哲史 
書名:お庭番平九郎 矢切の渡し
発行:廣済堂(文庫)
快刀乱麻度:★★★★☆

お庭番の梶原平九郎シリーズ3作目。

<上方で大評判の浄瑠璃「傾城阿波鳴門」と貸本「阿淡夢物語」。どちらも阿波徳島藩の内情に関するものらしい。将軍家治の特命を受け、その内容の真偽を調べる平九郎。しかし、調べは難航し、平九郎の身にも危険が迫る。>

相変わらず、色々な話を関連づけて一つの物語にまとめる手腕は見事だと思います。
今回は、徳島藩の阿波騒動とからむ浄瑠璃と書物にはじまり、それを歌舞伎作品に取り入れようとする仲蔵(平九郎の兄獅子之助の師)、さらにおけい(平九郎の仲間)の店で起きた心中事件、阿波の特産の藍をめぐる商業上の問題、などがからみあって話が進んでいきます。

ただ、ちょっと要素が多すぎてわかりにくいところが散見される印象。また、心中で生き残ったおみつには同情しにくい点、同心である修理の行動がすっきりしない点が若干気になりました。

全体的に読みやすいのは前作と同様です。同シリーズの続編では、主人公の平九郎の一層の活躍を期待します。

浄瑠璃・貸本とも実在するとは知りませんでしたので、勉強になりました。以下に関連するサイトを記します。

・「傾城阿波鳴門」 site1site2
・「阿淡夢物語」 site1site2

北川氏HP
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by bibliophage | 2006-04-25 01:14 | 時代小説
『夜の戦士(下)』 武田信玄上洛開始
d0018433_732486.jpg著者:池波正太郎 
書名:夜の戦士(下) 風雲の巻
発行:角川書店(文庫)
哀切度:★★★★☆

池波氏の忍法歴史小説、下巻。

信玄に仕える忍者丸子笹之介は、信玄・義信親子のいさかいに心を痛める。甲賀忍者孫兵衛は信玄暗殺のため館に潜り込む。元亀3年10月、信玄は3万の軍を従え、ついに上洛のため甲府を出発した。三方が原で徳川家康を打ち破るも、肺病は信玄の体を蝕んでいった。

解説によれば、池波作品は次の3種類に分けられるとのこと。
1. 徳川中期の世話物的時代小説…「鬼平犯科帖」など
2. 戦国の歴史小説…本作品、「真田太平記」など
3. 幕末物
特に本作品は、塚原卜伝の登場による「剣豪小説」と「忍法小説」それに「武田軍記」が加わっていると指摘されている通り、多面的な構成の歴史小説になっていて、上下2巻800ページ超の長さも飽きることなく読めてしまいます。

d0018433_752542.jpg歴史上存在しない忍者笹之介を創作し、信玄の側にぴったりとはめ込んで話を作る見事さはさすがに時代小説の大作家だと思いました。
上洛をめざした信玄の最後はやはり哀れでした。

池波氏の「鬼平犯科帖」はさいとうたかをの漫画にもなっており、こちらも面白いです。
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by bibliophage | 2006-03-09 07:05 | 時代小説
『夜の戦士(上)』 武田信玄と忍者
d0018433_13295232.jpg著者:池波正太郎 
書名:夜の戦士(上) 川中島の巻
発行:角川書店(文庫)
必殺度:★★★★☆

時代小説の巨匠池波氏の文庫が新装版で登場。

甲賀忍者の丸子笹之介は、武田信玄暗殺の命を受けて、甲斐を目指す。塚原卜伝の元での修行を終え、首尾よく仕官がかなった笹之介だったが、信玄にそばに仕える久仁と男女の関係を持ってしまう。その後、川中島の戦いにも参加し、徐々に信玄の武将としての姿に心を惹かれた結果、臣下として尽くそうと心変わりした笹之介だった。しかし、甲賀の掟はその裏切りを許さず、笹之介は信玄ともども命を狙われる身となった。

池波正太郎氏は国民的作家であり、「鬼平犯科帳」「必殺シリーズ」などで有名です。非常に多作で、各出版社毎に文庫が何冊もありました。
この作品の新装出版は、来年のNHK大河ドラマを意識してのものと思われます。

池波作品ははじめて読みましたが、フットワークが軽く読みやすいという印象でした。忍者が主人公なので、忍者通しの戦いはさすがに面白く、白戸三平の漫画のイメージ。男女のからみは割とあっさり。これに比べると、山田風太郎の忍者物はかなり毒毒しいですね。

笹之介が信玄に心から仕えていくように変わっていく辺りが共感できます。やはり信玄は戦いの天才にして、治世者としても抜群の人物。あと数年長生きしていれば、間違いなく天下を取っていたことでしょう。
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by bibliophage | 2006-03-05 13:31 | 時代小説
『御庭番平九郎 花吹雪吉原』 遊里における男と女の関係
d0018433_7203446.jpg著者:北川哲史 
書名:御庭番平九郎 花吹雪吉原
発行:廣済堂(文庫)
情念度:★★★★☆

『名探偵コナン』などを手がけた脚本家北川氏の時代小説第二段。

御庭番の平九郎は、弟分である淳之助が吉原の人気女郎小菊に入れ込んでいるのを知る。平九郎の必死の説得で、なんとか別れる決心をする淳之助。そんな折吉原で火事があり、小菊が放火の疑いで牢に入れられるはめに。そこに大儲けをねらう材木屋や、田沼意次の政敵 田安宗武などがからんで謎は深まる。平九郎は真実を突き止められるのか。小菊と淳之助の運命は…。

江戸時代の将軍付き密偵である御庭番の平九郎を主人公とするシリーズの2冊目。前作 『白桜の剣』 に続き、早くも続編が出版されました。

相変わらずサクサクと読めます。今回は平九郎は脇役の印象で、小菊と淳之助の関係が中心です。当時の吉原の様子や客と女郎の関係などがわかりやすく書かれています。
特に、「遊女にはひやかし千人、客百人、間夫が十人、色一人」という表現が面白く、間夫とはなじみの上客、色とは本当に惚れた男という意味です。夫婦となり得ない二人のたどるのは、困難な道ということになります。

今回も盛りだくさんの内容で、あだ討ちはからむし、平九郎の兄である歌舞伎役者獅子之助は踊るし、エンターテインメントに徹しています。
脚本家ならではの、フットワークの良い作品という印象でした。次回作は、剣豪としての平九郎にも頑張って欲しいところです。
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by bibliophage | 2005-08-31 07:25 | 時代小説
『白桜の剣』 御庭番 参上
d0018433_9492571.jpg著者:北川哲史
書名:白桜の剣
発行:廣済堂
購入動機:書店で目について
読易度:★★★★★

著者の北川氏は「太陽にほえろ!」「江戸を斬る」「名探偵コナン」などのシナリオを書いてきたベテラン脚本家です。今回、小説家としての第一作が御庭番を主人公にしたこの時代小説です。

脚本家だけあってリ-ダビリティは抜群で、時代小説が得意でない私もすらすらと読めました。

主人公の平九郎の職である御庭番は、忍者の江戸後期版といった役割も持っていたようです。兄の失踪と旗本殺害事件の謎を解くよう将軍の命を受けた平九郎は、得意の剣術を使って活躍します。そのミステリー仕立ての設定の中で、江戸時代の風俗をわかり易く説明し、田沼意次を登場させ、山県大弐の明和事件を取り込んだ構成は、時代小説としてとてもユニークだと思いました。文庫一冊にするには少し内容が豊か過ぎる印象は受けましたが…。

脇の登場人物も魅力的で、私は特に美貌の歌舞伎役者に惹かれました。是非シリーズ化して欲しいものです。
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by bibliophage | 2005-04-09 10:00 | 時代小説