ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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カテゴリ:新書( 53 )
『大学病院のウラは墓場』 待ったなし!医療崩壊。
d0018433_805322.jpg著者:久坂部羊 
書名:大学病院のウラは墓場 医学部が患者を殺す
発行:幻冬舎
率直度:★★★★★

ベストセラー『破裂』の久坂部氏による大学病院論。

「大学病院の医師たちは、世間の無理解を嘆くが、積極的に誤解を解こうという気はないようだ。ひとつには忙しすぎるからであり、いまひとつにはマスコミに操られる世間に深い諦念を抱いているからだ。(「はじめに」より)」

とても興味深い内容でした。

元医局に所属した医師として、以前の同僚からのインタビューなどを踏まえて、大学病院の内と外両方からの視点で書かれています。

大学病院の医師が何を考えているか、マスコミと世間がいかに誤解と偏見と無知の中にいるのか、などがわかりやすく書かれていました。

許される人体実験をおこなう所」それが大学病院、という指摘は面白い。
大学病院の欠点をあげつつも、同じ医師として非常に同情的なまなざしが感じられます。

一つだけ気になるのは本のタイトル。内容はもっと中立的なものであり、幻冬舎の売らんかなの商業主義をひしひしと感じて鼻白みました。何だかなぁ・・・。

ともあれ、(多くの不勉強な)マスコミの医療担当者は必読ですね。
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by bibliophage | 2007-04-06 08:01 | 新書
『ロマンチックウイルス』 何故にヨン様
d0018433_2392293.jpg著者:島村麻里 
書名:ロマンチックウイルス ときめき感染症の女たち
発行:集英社
ミーハー度:★★★★☆ 

韓流ブームが巻き起こった理由、その総合的分析。

「感染者は、従来のおとなミーハーのペースよりも明らかに速いスピードで、熱狂と妄想の花園へと、よりディープにのめり込むようになっている。わたしはそう見ています。(本文より)」


とてもわかりやすくて納得しました。「ロマンチックウイルスの感染」というキャッチフレーズが上手いですねぇ。

2004年の『冬のソナタ』とペ・ユンジュンから始まった韓流の熱狂。それも、今までと違った中高年女性の異常なのめり込み。いったいどうして起きたのか?

著者によれば、これだけアウトブレイクした理由は以下の如し。
1. TVで簡単に見ることができた。
2. 韓国の国家的バックアップ。
3. ミーハーの初心者が多かった。
4. マスメディアのすり寄り。
5. 甘くソフトで程よい古臭さ。
6. ネットでお仲間が見つかりやすい。
7. 中高年女性は今まで性的に抑制されてきた。…などなど。

一方、筋金入りのミーハーである著者(中年女性)は今回のブームに乗ることはなかったとのこと。

とにかく、このブームは「安全な妄想の上に成り立つ性的欲求の解放」ということのようです。そう考えると、たとえ妻がウイルスに感染したとしても、夫もちょっと安心できるかもしれませんね。多少、お金はかかるかも知れませんが。
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by bibliophage | 2007-03-24 23:20 | 新書
『ジャズの歴史』 All that jazz
d0018433_1191492.jpg著者:相倉久人 
書名:新書で入門 ジャズの歴史
発行:新潮社
明快度:★★★★★

ジャズのベテラン評論家による入門書。

「こうして元をたどれば同じ根を持つ音楽が、ときには言葉が通じ合わないほど異相を競い合う百花繚乱、あるいは百鬼夜行のジャズ・シーンが出現したのです。(1章より)」

非常にわかりやすい(というか割り切った)内容でとてもよかったです。
私にとっての暗黒大陸であるジャズに、光を与えてくれました。

南北戦争で解放されたニューオーリンズの奴隷が、南軍軍楽隊のブラス・バンドの楽器を演奏する、これがジャズの始まり。そして、娼館や酒場での演奏が仕事になってきます。
そこにヨーロッパ近代の象徴としてのピアノが加わって活性化され、トランペットのルイ・アームストロングが出て、即興演奏が始まりました。
第一次大戦により娼館が閉鎖されるとジャズメンはシカゴに向かいます。
その後、デューク・エリントン、ベニー・グッドマンスウィングしていたのが、ビ・バップになって、マイルス・デイビスクールを持ち込んだと思ったら、フリージャズが誕生し……。

読んでいると何となくわかったような気になりました。
とにかくジャズというのは、色々な要素が交じり合って発展していくという性質の音楽のようです。

で、まず、アコースティックなマイルスを聞いてみることにしました。
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by bibliophage | 2007-03-10 01:21 | 新書
『巨大人脈SNSのチカラ』 mixiだけじゃない
d0018433_18491025.jpg著者:原田和英 
書名:巨大人脈SNSのチカラ
発行:朝日新聞社
ポジティブ度:★★★★☆

Sorcial Networking service の概説的入門書。

「確かにSNSはよい面だけでなく、ネガティブな面も存在する。…しかし、少なくともSNSは…世界の構造を変えてしまう可能性を持った存在である。(「はじめに」より)」

興味深い内容でした。 mixiの強さ の秘密は、
1. ユーザーの声を聞く
2. センスがよくて女性受けする
3. 先駆者利益   とのことでした。なるほど。

世界のSNSの例として、
音楽SNSのMyspace、ビジネス用のLinkedln、学生専用のthefacebook、写真用Flickrnが紹介されていました。

問題点としては、
プライバシーがのぞかれる、繋がりたくない人を避けられない、人間のランク付けやSNS八分、などがあげられています。

それでも、まさにSNS世代である若い著者は未来にとてもポジティブです。
SNSを通して、「何を」より「誰を」知っているか、が重要になってくると書いています。

さて、もっとSNSを使いこなさなくては・・・。
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by bibliophage | 2007-03-03 19:02 | 新書
『時間はどこで生まれるのか』 物理学的時間考
d0018433_17563243.jpg著者:橋元淳一郎 
書名:時間はどこで生まれるのか
発行:集英社
哲学度:★★★★★

京大物理学科出身のSF作家・カリスマ物理教師による時間論。

「時間の創造は宇宙の創造であり、われわれはそれに参画しているのだ(本文より)」

相対性理論・量子論の解説を読むのは久しぶりで、以前よく読んだブルーバックスのシリーズを思い出しました。頭に強力な刺激を受けました。

決してよく理解できたとは思えませんが、印象に残った内容を記します。

・ 相対論では、今現在の私を規定するのは過去の他者であり、今現在の私は未来の他者しか規制できず、私と現在を共有できるのは「非因果的領域=あの世」しかない、と説明できる。(図を見ないと何のことやらわからないでしょうが…)
・ ミクロな量子系では、時間は存在せず、因果律も否定される。
・ マクロな世界ではエントロピー(乱雑さ)が増大する方向に進む。
・ そのエントロピーの流れに逆らって秩序を維持しようという意思が、生命の創造につながった。
・ その意思こそが、自由な未来をつくり、ここに主観的な時間が創造される。

結局エントロピーの法則に逆らうことが、重要なのですね…ってイマイチよくわかりませんが…。結論は物理学的というより哲学的な気もしますね。

また、マクタガートの時間系列(A系列―主観的な時間、B系列―年表のような客観的時間、C系列―時間とは無関係な配列)については、もう少し詳しく説明して欲しいと思いました。

私の以前からの卑近な疑問:相撲の仕切りの時間は昔(子ども時代)はいやに長いと感じたのに、今ではあっと言う間だ、はこの本を読んでも解決できませんでしたw。残念。
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by bibliophage | 2007-02-10 17:59 | 新書
『プロ弁護士の思考術』 人生は思考から
d0018433_1123415.jpg著者:矢部正秋 
書名:プロ弁護士の思考術
発行:PHP研究所
具体度:★★★☆☆

ベテラン弁護士の思考法を経験を交えながら解説。

「私は10年の間、弁護士業に携わってきたが、…その経験から会得した「物の考え方」…の中から七つの思考法を選んで解説を加えた…」

いかにもPHPらしいという感じ。
国際ビジネス法務を専門とする弁護士が、ちょっと高所から処世訓を書きました、という印象です。

章構成は下記。
1章:具体的に考える…精神論でなく具体的に相手企業の情報を集める
2章:オプションを発想する…深刻な問題には複数の選択肢を持つ
3章:直視する…先入観を疑う
4章:共感する…共感性によって他人を理解する
5章:マサカを取り込む…余裕を持って行動する
6章:主体的に考える…独立自尊の精神で思考する
7章:遠くを見る…大局的に見渡す

弁護士業務における実例よりも、「サウナが好きだ」などの個人的な趣味の話や、「葉隠れ」「五輪書」などからの引用が記憶に残りました。

目からウロコが落ちるという印象は受けませんでした。こちらの思考法に問題があるのかも知れませんw。
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by bibliophage | 2007-02-02 01:22 | 新書
『山本勘助』 実在の軍師なのか?
d0018433_1157445.jpg著者:平山優 
書名:山本勘助
発行:講談社
伝説度:★★★★☆

NHK大河ドラマが開始されました。

「本書では、山本勘助について…あえて『(甲陽)軍鑑』にのみ依拠して、詳細に彼の活躍や言動を紹介していきたい。(序章より)」

信玄ファンとしてはほっておけない人物ですが、いやぁ、知らないことばかりでした。
なんと、山本勘助の実在性がずっと疑われていたとは…!

彼についての記述は、武田家家臣の高坂弾正を中心に書き継がれた『甲陽軍鑑』にしかなく、この資料は年代がいい加減なため、近代歴史学においてその価値が否定されていました。したがって、軍師としての山本勘助もその存在が否定されていたようです。

ところが、昭和44年に「市川文書」と呼ばれる資料が発見され、その信玄の手紙の中に「山本管助」の字があって、逆転でその実在性がぐっと高まった、とのこと。よかったですねぇw。

片目であったようですが、片足というのはウソらしく、江戸時代に付け加えられたフィクションのようです。NHKの考証がどうなっているか楽しみなところ。

簡単に年表を作ると、下記のようになります。
36歳(?)まで各地を廻って武者修行→今川義元へ仕官を希望するもかなわず→43歳で武田信玄に仕える→諏訪氏の娘と信玄との縁組みを支持→戸石城で武田軍の窮地を救う→村上義清との戦いの作戦を立案→信玄とともに出家→川中島に海津城を築く→最後の川中島の戦いで戦死(62歳?69歳?)。

未だに謎に包まれた人物:山本勘助ですが、その姿がうっすらと見えてきました。
大河ドラマを見る方にはおすすめです。
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by bibliophage | 2007-01-14 11:58 | 新書
『人はなぜ危険に近づくのか』 災害に出会ったら
d0018433_23555774.jpg著者:広瀬弘忠 
書名:人はなぜ危険に近づくのか
発行:講談社
常識的度:★★★★☆

災害心理学の専門家による分析。

「興味本位の恐いもの見たさではなく、恐いから見ないという現実逃避でもなく、見るべきものを正しく見ることがどうしても必要なのである。(本文より)」

面白いのですが、読み進むうちにタイトルから期待される内容と少しずつズレ始めます。
内容は大雑把には以下の通り。

第1章:若者と老人のリスク
第2章:先延ばしの危険
第3・4章:自然災害による危険
第5章:恐怖の効用
第6・7章:パニックと凍りつき症候群
第8章:リスクテイクの男女差
第9章:獲得と保存の男女差
第10章:怒りの感受性の男女差
第11・12章:不幸と幸福の心理

8章以降は、「話を聞かない男、地図が読めない女」かと思いましたw。
「男はホルモン的&社会的に闘争することが多く、女より短命」みたいな内容。

経済学や心理学の文献の内容を紹介して説明するところはよかったです。
が、全体にまとまりに欠ける印象と常識的過ぎる内容がやや気になりました。
自殺とかタナトスとかについても少しは触れて欲しいところです。
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by bibliophage | 2006-11-13 23:56 | 新書
『搾取される若者たち』 バイク便ライダーのお仕事
d0018433_7243167.jpg著者:阿部真大 
書名:搾取される若者たち -バイク便ライダーは見たー
発行:集英社
社会学度:★★★★☆

東大院生によるバイク便ライダー体験記。

<バイク便ライダーには「時給ライダー」と「歩合ライダー」がいる。前者から後者への転向はあるが、その逆は認められない。それはなぜか?>

車を運転していると、正直バイクほど危険で邪魔なものはありません。
そんなバイク嫌いな私も、バイク便には好意的です。
仕事をしている、と言う点で彼らには視線が温かくなってしまいます。

そんなバイク便労働の実態を、(著者いわく)参与観察(実際に経験して調べる)の方法で語るユニークな新書でした。

団塊ジュニア世代の問題とからめて論じているのは、新書としての体裁であって、あまり意味がなさそうです。
やはり面白いのは、ライダーたちの考え方、すり抜けの技術、などの実践編でした。

「歩合」にあこがれる「時給」ライダー。そこには趣味と仕事が重なることで生じるワーカホリックへの道がある、という指摘は斬新です。

危険な仕事であるライダーには脱落者も多い。できれば、その辺の事情をもう少し知りたかったですね。
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by bibliophage | 2006-10-27 07:25 | 新書
『悪魔のささやき』 人はなぜ魔がさすのか
d0018433_2335662.jpg著者:加賀乙彦 
書名:悪魔のささやき
発行:集英社
逢魔度:★★★★★

精神科で作家の加賀氏による犯罪心理エッセイ。

<「あのときは、悪魔がささやいたんです」…
単なる言いわけや嘘と切り捨ててしまうには、あまりにも多くの自殺未遂者や犯罪者が口々にそう語るのです。(「はじめに」より)>

「バカの壁」のように口述筆記で書かれているのでとても読みやすくなっています。

ふわふわとした心の動き(=気)の状態に、強い刺激、時代の風潮、声高な主張などが作用して、その結果心の底の悪と共鳴して破滅的行動として爆発すること。
これが「悪魔のささやき(とその後の事件)」であるとしています。例として、太平洋戦争時の国民の意識、オウム真理教の幹部たち、ネット集団自殺、拝金主義によるライブドア事件、などをあげています。

著者がクリスチャンであること、東京拘置所に勤務していた経験、終戦体験などから「悪魔のささやき」という考えを持つようになったようです。

特に日本人はこのささやきに弱い、ということで著者の対策は以下の5つ。
1. 視界、関心をできるだけ広く持つ
2. 世界の代表的な宗教について知る
3. 死について知る
…メメント・モリですね
4. 自分の頭で考える習慣をつける
5. 確固たる人生の態度を持つ

むむ、早速実践しなくては…w。

教育システムについての捉え方など紋切り型な点もみられますが、著者の精神科医としての豊富な経験に基づく内容は読んでみる価値があると思います。
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by bibliophage | 2006-09-02 02:38 | 新書