ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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カテゴリ:新書( 53 )
『不運のすすめ』 米長流の処世術
d0018433_13144560.jpg著者:米長邦雄 
書名:不運のすすめ
発行:角川書店
泥沼度:★★★★☆

日本将棋連盟会長米長氏による人生における勝負術。

「スランプに陥って悩んでいるような時には、長所を伸ばすことである。というより、自分の欠点を見ない、と言うほうが正確だろうか(本文より)」

米長氏の著者は何冊か読みましたが、これは内容も豊富でよくまとまっていると思います。
同シリーズの羽生・谷川両氏の本に負けじと気合を入れて書いたようですw。タイトルもいいですね。

特に勝負で負けがこんだ時や、人生で不運なめぐり合わせの時の心の持ち方について、自身や他の棋士の体験を踏まえて語っています。要は「運不運に左右されず、自分のやるべきことをやって、人生トータルで上手くいけばいい」というような話だと思います。

ちょっと真似できませんが、米長流では、スランプになるとラスベガスでギャンブルをし、4文字語を大声で叫んだりもしたとのことw。

凄いと思ったのは、中学一年の時、将棋の師匠である棋士に向かって「先生の将棋を真似したら七段にしかなれません」と啖呵を切ったこと。そのことを胸に必死で勉強したそうです。

終章で「名人戦問題」に触れて少しグチが入ります。マスコミによるバッシングもかなりのものでした。しかし、瀬川氏のプロ入り問題を上手に盛り上げ、一年で連盟の決算を赤字から黒字に変えた米長氏のことですから、うまく着地させてくれることでしょう。
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by bibliophage | 2006-08-05 13:16 | 新書
『今すぐ使える!コーチング』 サポートする技術
d0018433_7194429.jpg著者:播磨早苗 
書名:今すぐ使える!コーチング プロコーチだけが知っているとっておきの方法
発行:PHP研究所
なるほど度:★★★★☆

コーチングとは何かの入門書。

「そもそもコーチングは、「人を成功に導くプロコーチのスキル」として発展してきました。このコーチング・スキルをマネジメントに使ったとき、組織の中に多くの効果を生み出す可能性が生まれます。(「はじめに」より)」

以前より気になっていた、「コーチング」。
この本を読んで雰囲気はつかめました。要するに、相手に「大事なことを自分で気づかせる」という感じですね。

これからの会社は、指示・命令による「統制型」から、「聴く」「受け入れる」「質問する」の3つのスキルを使う「学習型」に変わらないと生き残れない、とのこと。そのためにはコーチングが必要との趣旨でした。
上司としては、部下の中に解答がある、と考え、ヘルプではなくサポートせよ、と言っています。

基本的なスキルとして、「承認」「フィードバック」「ペーシング」「聴く」などがあり、各々「言葉で相手の存在を承認する」「相手の間違いを客観的にわからせる」「相手と穏やかな関係を保つ」「ニュートラルに広く本質を明らかにするように聞く」ということと理解しました。実際の会話例などもあってわかりやすい構成です。

う~む。理論的にはなるほどと思いますが、実際に応用するとなると、(私の場合)まず精神修養が必要ではないかと思いましたw。
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by bibliophage | 2006-07-05 07:21 | 新書
『ウィニー』 ウイルスがアップロードしているかも…
d0018433_2320348.jpg著者:湯浅顕人 
書名:ウィニー 情報流出との闘い
発行:宝島社
具体度:★★★☆☆

ウィニーによる情報流出のメカニズムを説明した新書。

「このように、まとめサイトを作られてしまうと、流出させた人は徹底的に調べ上げられ、プライバシーは丸裸にされてしまうのである。(本文より)」

なるほど、「ウィニー悪用ウイルス」というのは、ウィニーの「アップロード用フォルダ」の中に、プライベート写真でも機密書類ファイルでも何でも勝手に移動してしまう働きがあるのですね。すると他人にダウンロードされてしまうことになります。

自分ではウィニーを使ったことはありませんが、この本でも出てくる被害例の中の、2005年3月の「国税庁職員のデジカメ写真流出事件」には衝撃を受けたことを思い出しました。
本書には「個人的な画像」と書かれていますが、女性との行為を写したもので相手の顔もしっかり出ていました。2chでいわゆる「祭り」になっていて、情報流出の恐ろしさに「ガクガクブルブル」としたものでした。

そのような過去の流出事件や、ファイル交換ソフトの歴史、ウィニーのしくみなどについてさらりと説明してあります。さすがに個人情報流出を助長できないのはわかりますが、ちょっとあっさり過ぎて内容の希薄感は免れません。また特に前半は同内容の繰り返しが大杉。「はじめに」の執筆が2006年4月と記載されているので、やっつけ仕事風ですね。

d0018433_2320197.jpgともあれ、ウィニー(悪用ウイルス)の恐ろしさはよくわかりました。
また、法律的には「アップロードは違法、ダウンロードはそうとは限らない」というのも意外な事実でした。
ウィニーを使っている方は絶対読むべき本だと思います。

ウィニー作者金子氏の著書(←)もあります。
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by bibliophage | 2006-06-26 23:22 | 新書
『サッカーW杯 英雄たちの言葉』 開幕直前!
d0018433_10111374.jpg著者:中谷綾子アレキサンダー 
書名:サッカーW杯 英雄たちの言葉
発行:集英社
盛り上り度:★★★★★

日本・エクアドルのハーフであるサッカー・ジャーナリスト中谷氏によるスターたちの実像。

<「日本の武士道に感銘するよ。男は黙って勝負、だろ(笑)」。そんな男気そのままに、フィーゴはイタリアへ旅立っていった。(本文より)>

d0018433_10114555.jpgいよいよあと6日で、W杯が始まりますね。ドイツ戦で意外な頑張りをみせたジーコ・ジャパン。彼らの健闘にも期待したいですが、それはW杯の楽しみの一部にしか過ぎません。世界中のスーパースターの華麗なプレーがまとめて見られるなんて本当に幸せなことです。

この新書も絶妙のタイミングで放たれました。
他の戦術書やプレーヤー図鑑などと違い、インタビューを通してスターたちの悩む姿を伝えるといった人間味あふれる内容です。
故障から復活したロナウドに対する暖かな視線が文章から感じられました。

d0018433_10123286.jpg第1章:ロナウドとロベルト・カルロス
第2章:フィーゴとジダン、バルサとレアル・マドリード
第3章:ベッカム   第4章:スペイン代表
第5章:カニサレスとカシージャス
第6章:南米の選手  第7章:選手移籍市場
第8章:W杯、陰の主役  
第9章:名選手たちの名言・迷言

d0018433_10125689.jpgこの中では、特にスペインの正GK対決を書いた5章が面白かった。02年W杯直前合宿で、香水瓶を足に落として負傷した正GKカニサレス。この記事は覚えています。それ以後、スペイン代表の守護神はカシージャスに変わって、そのまま今に至ります。

また、人身売買のようなサッカー界の青田買いの実情を書いた7章も読みごたえあり。

この本を読んで、W杯への期待はさらに高まりました。
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by bibliophage | 2006-06-03 10:14 | 新書
『ウェブ進化論』 Web 2.0の衝撃
d0018433_10455892.jpg著者:梅田望夫 
書名:ウェブ進化論 -本当の大変化はこれから始まる
発行:ちくま新書
見通し度:★★★★★

ITの現在と未来を語るベストセラー。

「Web 2.0の本質とは…「ネット上の不特定多数の人々(や企業)を…能動的な表現者と認めて積極的に巻きこんでいくための技術やサービスの開発姿勢」…と考えている(本文より)」

ベストセラーには絶対読むべきものから、全くどうでもいいものまでが存在しますが、この本は前者だと思います。

まず三大潮流として「インターネット」「チープ革命」「オープンソース」を提示しています。「チープ革命」はIT機能のほとんどが低コストで手に入ること。「オープンソース」は、リナックスのように、ネット上にソフトのプログラムが無償公開され、世界中で自由にその開発が行われること、です。

それらの潮流のど真ん中を猛スピードで走っているのがグーグル社というわけです。グーグルはヤフーと違って、検索を人の手を介さずにおこなう「新時代の情報発電所」であるとしています。

また、アマゾン社の売り上げの1/3を占めるのが、リアル書店では売れ筋でない本であることをあげ、恐竜の頭(=ベストセラー本)・胴体(=売れ筋本)でない、ロングテールの部分の重要性を強調します。これが、ブログに代表される草の根総表現社会の構造と重なることを示しています。ブログの意義が強調されているのがいいですね。

とにかくITの未来に滅茶苦茶ポジティブな本ですが、これくらいでないと著者のようにシリンコンバレーで生き抜いていくことはできないのでしょう。著者が取締役となった「はてな」は要注目です。広範囲な人々を巻き込んでいくWeb 2.0 の流れに日本は乗っていけるのでしょうか。
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by bibliophage | 2006-05-13 10:50 | 新書
『不老不死のサイエンス』 クローンからサプリメントまで
d0018433_655384.jpg著者:三井洋司 
書名:不老不死のサイエンス
発行:新潮社
明快度:★★★★★

細胞の老化の専門家が語る、サイエンス・アップ・トゥ・デイト。

「老化や病気を防ぎ、たとえば今のあなたにほぼ近い状態で、200歳まで生きられるとしたら?(「はじめに」より)」

最前線の細胞生物学のトピックスを実にわかりやすく説明してくれます。

第2章:最新の知識編が圧巻です。アポトーシス、テロメア、クローン、活性酸素、(細胞の)不死化などが、ていねいに解説されています。
アシュリーちゃんで有名になった「早老症」もでてきました。

第3章:未来の知識編では、ES細胞からの人工臓器、遺伝子治療や遺伝子ドーピングの話があり、著者流の長寿法が述べられます。サプリメントには否定的で、コエンザイムQ10は化粧品として塗るなら悪くもない、ホルモン治療は癌化のリスクが高過ぎる、となります。
結局のところ、オススメは、マウス実験でも証明された低カロリー食(腹八分目)と赤ワイン一杯、適度な運動とストレスが良い、というやはり常識的な線でした。

ということで、さっそく夕食から低カロリーを実践……しようと思いましたが……なかなか難しいですね。
あと、個人的にはビタミンCを取るのは重要と思っています。
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by bibliophage | 2006-04-13 06:56 | 新書
『猫のなるほど不思議学』 愛猫家必携!
d0018433_0332094.jpg著者:岩崎るりは 
書名:猫のなるほど不思議学
発行:講談社(ブルーバックス)
猫パンチ度:★★★★★

チンチラのブリーダーで猫研究歴20年の著者によるネコ学のすべて。

「猫のお見合いで何より重視されるのは「メスの気立て」です。…
猫は実は純愛派でロマンチスト――特にオスにその傾向がみられます。(本文より)」

これは面白いニャア。
ブリーダーとしての豊富な経験と種々の文献に基づく膨大な知識を融合させた画期的なネコ本です。

第1章「ライフスタイル」: 古代エジプトで既にペットとして可愛がられ、プライドが高い反面、「ニャア」と甘え上手で人間を手玉にとってきた。
第2章「超能力」: 体操選手びっくりの「立位反射」を持ち、ビルの9階から落ちても助かることがあるとか。
第3章「セックスライフ」: メスネコは複数のオスと関係する場合も多く、交尾した日が排卵日だそうです。
第4章「種類」: 耳つぶれのアメリカン・カールや無毛のスフィンクスなど珍しいもの多数。
第5章「遺伝学」: ネコの性格は遺伝する。三毛猫はメスだけしかいない!…これは知らなかった。X染色体上に色遺伝子があるとは…。
第6章「健康」: 平均寿命約10歳。肉・魚好きで、ネコまんまは最低の食事。腎不全と尿路結石に注意。

この本を読むとネコが可愛く思えてきます。今までノラ猫を見つけると、そっと近づいて「ニャニャア!」と驚かす習慣がありましたが、かわいそうなのでそれはやめようと思いました。
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by bibliophage | 2006-04-07 00:35 | 新書
『モーツァルト 天才の秘密』 モーツァルトの伝記、決定版。
d0018433_8475672.jpg著者:中野雄 
書名:モーツァルト 天才の秘密
発行:文芸春秋
神童度:★★★★★

音楽プロデューサー中野氏によるモーツァルト伝。

「仮に器楽作品や宗教音楽が一曲も書かれなかったとしても、《歌劇 フィガロの結婚》の作者でさえあれば、モーツァルトの名は音楽史に「革命児」として刻まれ、末永く語り継がれることになったであろう。(本文より)」


これは面白い。
モーツァルトがいかに天才であったか、どうして天才に成り得たか、そのわりに定職に就けなかったのはなぜか、などがこの本を読むとわかります。

最高の音楽教師であった父、本人の桁外れの学習能力、就職活動のための繰り返される演奏旅行、優れた他の才能との出会い、などがモーツァルトの中で交じり合って素晴らしい作品群として昇華されたようです。

d0018433_84816100.jpgアマデウス」で描かれたあの軽薄モーツァルトはここには存在しません。当時の音楽の最高権威サリエリは彼を問題にしていなかったようで、毒殺などありえないハズです。

また、各章末に書かれるおすすめCDの解説が、音楽プロデューサーならではの名表現にあふれています。
「ターティスはヴィオラを…独奏楽器として市民権を獲得せしめた歴史的巨人。歌舞伎の大見得を切るような演奏で、第二楽章はまさに号泣。(協奏交響曲変ホ長調 K364)」

モーツァルトの音楽表現が深く難しくなり過ぎていき、オペラで被支配階級にスポットライトを当てた結果、ウィーン貴族から見放されて落ちぶれる様は悲哀に満ちています。

d0018433_848345.jpg久々に新書で感動しました。プロローグを読むときっと全部読みたくなると思います。

今年はモーツァルト生誕250年、ということで記念CDがたくさん売り出されていました。
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by bibliophage | 2006-03-26 08:49 | 新書
『感染症は世界史を動かす』 ペストから鳥インフルエンザまで
d0018433_6595795.jpg著者:岡田晴恵 
書名:感染症は世界史を動かす
発行:筑摩書房
警鐘度:★★★★☆

感染免疫学の専門家による感染症の世界史。

「しかしスペインかぜウイルスの場合のように、鳥のウイルスがそのまま人型に変身した場合には、…強い病原性は、…新型ウイルスに引き継がれる可能性が高い。(本文より)」

タイトルが抜群にいいので、これだけでもかなり部数を稼いでいることでしょう。
取り上げられている感染症は、
ハンセン病・ペスト・梅毒・結核・インフルエンザです。
いずれも多くの歴史資料に当たり、当時の社会の状況とからめて感染症の実態を伝えています。ペストと中世、梅毒とルネサンスなど。

まるで見てきたかのように語る文章で、劣悪な衛生状態・過酷な労働条件・堕落した聖職者などの様子が目に浮かびます。ただ、内容が重複してちょっと冗長な印象を受けるところもあります。

が、現代のインフルエンザの話になると、トーンが一転してシャープで科学的な描写になります。
今、世の中を騒がせているH5N1型の鳥インフルエンザがなぜ怖いのか?…ウイルス表面のHA蛋白が体中すべての細胞に入りやすい構造であり、全身感染を起こし、致死率50%の高毒性であるからです。現在はトリからヒトに感染している状況ですが、もう一変異が加わりヒトからヒトに感染する型になると、大変なことが起きます。輸送手段の発達した現代では、感染は飛行機に乗ってあっという間に…。
この辺りの恐さがよく理解できました。

感染症恐るべし、です。
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by bibliophage | 2006-03-23 07:00 | 新書
『喜劇の手法』 客を笑わせる技術
d0018433_23514686.jpg著者:喜志哲雄 
書名:喜劇の手法 笑いのしくみを探る
発行:集英社
詳述度:★★★★☆

英米演劇の専門家による喜劇の分析。

「シェイクスピアなりモリエールなりという劇作家が、どんな手法を用いて観客を(または読者を)笑わせるかを吟味するのが、この本の主な目的なのである。(序より)」

変装、双生児、誤解、傍白、スラップスティック、パスティーシュ、夢など計23種類の喜劇的手法について、豊富な作品例を用いて、説明しています。
解説される喜劇の例としては、シェークスピア「十二夜」「間違いの喜劇」「じゃじゃ馬ならし」「尺には尺を」、オスカー・ワイルド「真面目が大事」、バーナード・ショー「ピグマリオン」、モリエール「守銭奴」、ジョルジュ・フェードー「自由交換ホテル」、ニール・サイモン「おかしな二人」、サミュエル・ベケット「ゴドーを待ちながら」、グレアム・グリーン「慇懃な恋人」、ゴーゴリ「検察官」、エドモン・ロスタン「シラノ・ド・ベルジュラック」などなどです。

有名な作品のあらすじをこれでもかと投げつけてくる本書はとても刺激的で、自分がいかに戯曲というものを知らなかったがわかりました。

「笑い」が生じるためには、事件からある程度の距離を保つことが必要で、劇においては、劇中人物には未知の情報(ある男の妻は不倫しているetc)を観客に与えることがおこなわれる、などという指摘も私には新鮮なものでした。

読み始めた当所は、各作品における欧米人の登場人物の名前が覚えにくく、説明がやや堅苦しいことで、若干苦労しましたが、この新書一冊に書き込まれた圧倒的な情報量には感嘆しました。
あとがきの最後がまたカッコイイです。
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by bibliophage | 2006-02-22 23:52 | 新書