ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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カテゴリ:新書( 53 )
『「脳」整理法』 占いから相対性理論まで
d0018433_15401194.jpg著者:茂木健一郎 
書名:「脳」整理法
発行:筑摩書房
脳自由度:★★★★★

気鋭の脳科学者が語るアタマの使い方。

「はじめて異性とデートするのも…はじめて出社する日も、一回性の体験です。そのような一回性の体験を大切に刻印し、整理していく脳の働きこそが、私たちの人生をつくっているのです。(第一章より)」


今朝の新聞の宣伝によると5万部を突破したとのこと。ベスト10にも入っていました。
これは面白いです。
脳が一番多く直面する物事は、半ば必然で半ば偶然に起きる、すなわち「偶有性を持った」性質があり、それらをどういう風に整理するかが、最も大切な脳の働きだ、というのが著者の一番の論点です。
一方に科学的で必然の世界である「世界知」があり、もう一方に私たちが一人称でいかに生きるかという「生活知」があり、その間に存在する人生の大半を占める偶有性を持った出来事をいかに整理するかが我々の脳にかかっている、というわけです。

たとえがとてもわかり易く、偶然の幸運に出会う能力「セレンディピティ」について、ノーベル賞級の発見(田中さんの例など)と素敵な恋人に出会う能力とは実は同じである、と言ったりします。
神の存在は否定していますが、占いの存在意義は有るというふうに自由自在な発想をしています。
筆者のいう「クオリア」の意味が今ひとつつかめませんでしたが、全体的にはとてもわかりやすい内容になっています。

今日から私もセレンディピティを高めるべく、「行動」「気づき」「受容」のパターンで行きたいと思います……って何か「チーズはどこに行った」とか「Good Luck」調ですね。
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by bibliophage | 2005-10-16 15:42 | 新書
『ショートショートの世界』 ショートショートの丁寧な入門書
d0018433_23431152.jpg著者:高井信 
書名:ショートショートの世界
発行:集英社
親切度:★★★★☆

ショートショートを得意とするSF作家、高井氏によるその歴史・書き方。

「そんなわけで、私は、ショートショートは「約20枚以下のアイデア・ストーリー」と定義したのです。(第1章より)」


第1章で「定義」について。小林信彦のエッセイ(1960年)に、最も重要な三要素として、完全なプロット・新鮮なアイデア・意外な結末、が挙げられている、とのこと。なるほど~。
第2章「歴史」では、サキ、O・ヘンリーからフランスの「コント」、アメリカの「ユーモア・スケッチ」を経て、サマセット・モームが「コスモポリタン」誌に書いたのがショートショートの誕生とされています。日本の元祖は城昌幸という人だが、1957年にデビューした星新一が「神様」であること。続いて都築道夫、阿刀田高、多くのSF作家たちがブームを作ったものの、1990年代から急速に衰退していったこと、などが書かれています。
d0018433_23433516.jpg発表の場として現在残っているのは「小説現代」のコンテストだけ、というのは悲しいことです。
星新一の作品をマンガにした←『午後の恐竜』(秋田書店)が紹介されていましたが、これは大変面白かった記憶があります。
第3章「書き方」。アイデア発生のパターンとして、①「もし~だったら」、②日常に感じた違和感、③異なる知識の組み合わせetcがあげられ、具体例が示されます。

全体に読みやすくてためになる本ですが、「歴史」の部分がちょっと長く感じました。もっと実際の作品の内容について知りたいところですが、それを書くのはやはりタブーなのでしょう。
多くのアンソロジーも紹介されていたので、読んでみたいと思います。
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by bibliophage | 2005-09-28 23:48 | 新書
『徳川将軍家十五代のカルテ』 まるで将軍のご典医
d0018433_6541910.jpg著者:篠田達明 
書名:徳川将軍家十五代のカルテ
発行:新潮社
個人情報度:★★★★★

整形外科医で作家の篠田氏による徳川将軍たちの持病や死因についての話。

歴代徳川将軍にとって、もっとも大事なつとめは政務でも軍務儀式でもなく、ひたすらに子作りにはげむことだった。…どんな健康状態にあり、どんな養生法を心がけていたかに興味をいだいた。…そこで本書では…彼らのメディカル・チェックをしてみようと思う。(プロローグより)

これは面白い!15代将軍の健康状態を『徳川実紀』などの資料を使い、医者としての知識と想像力を動因して、まるで見てきたかのように再現しています。

家康はとにかく自分の健康に留意し、スポーツとしての鷹狩りをおこない、自ら薬草などを調合して使ったとのこと。最晩年には少女と同衾したが、セックスはせず、精気回復を目的とした(「性の森林浴」と表現)など。死因は伝えられている食中毒ではなく、胃癌であったと推察しています。

家康の次男結城秀康は梅毒、3代家光はうつと脳卒中、5代綱吉はマザコンと内分泌異常による低身長。
9代家重は脳性麻痺で言語障害とし、肖像画の特徴より「不随意運動型」と断定しています(知的レベルは正常)。

最も印象的なのは11代家斉で、正室+16人の側室をもち57人の子供を作っています。(しかし、うち32人が5歳までに死亡。)
将軍になるには、水痘、痘瘡、はしかなどを克服して生き延びることが必要なので、健康が絶対な条件だったわけです。
当時の医療事情もよくわかる内容で、死因として脚気が多いことも意外なことでした。

直木賞候補にもなった篠田氏の文章は滑らかで、ユーモアを含みとても読みやすくなっています。
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by bibliophage | 2005-08-30 06:55 | 新書
『「震度7」を生き抜く』 もし、大地震が起きたら生き残れるか?
d0018433_831049.jpg著者:田村康二 
書名:「震度7」を生き抜く
発行:祥伝社
実用度:★★★★☆

2004年10月の中越地震と40年前の新潟地震の二つを体験した医師、田村氏による地震に遭遇した時のサバイバル術。

つまるところ、個人も企業も自分自身の生活は自ら守る時代だということである。…自助努力こそが、自分を救う…(10章)

8.16宮城地震の折、東京でも何度も大きな揺れが連続し、ひょっとして本物(東海地震)が来たかなと若干心配しました。最近、大地震については他人事とは言っていられなくなり、この本を読んでみました。

元山梨医大教授、70歳現役の田村氏は地震後の手回しが実によく、マンションの10階の住まいだったのをその日のうちに3階に引越しの手続きをし、ホテル・ニューオータニ長岡の部屋をコネを通して1週間押さえています。一般人はこんな芸当はできませんw。

都市部でなく大きな建物・人口が少ない、などの理由で阪神・淡路大震災よりもぐっと死傷者が少なかった(死者40人vs6433人)ものの、中越地震の震源地での重力加速度は阪神の2倍以上で、「突然下から突き上げられる感じ」「道が揺れて、車がパンクしたかと思った」「箪笥、包丁が飛んできた」などの声を聞くとその大きさがわかります。

田村氏によれば、最初の5分は
1.  明かりの確保
2.  逃げ口のドアを開ける
3.  頭を保護する(座布団など)
、が生死を分けるとのこと。
また、携帯電話は1時間以内に通じなくなるから、NTT「災害用伝言板サービス」「災害伝言ダイアル」を使い、手回し発電機つきFMラジオがおすすめ、とありました。

生活上は、トイレが一番の問題なので、尿瓶、簡易トイレ、排尿パンツが便利であり、寝袋、ホカロン、小銭、携帯電話の電源アダプター、水2リットルなどが必要と書かれていました。
また医者らしく、車内寝泊りによるエコノミー症候群への対処法や、うつ、PTSDなどへの言及も見られました。

いざという時に、せめて心構えだけでも持っておくために、読んでおくべき実用的な本だと思いました。自助努力か・・・。本棚や食器棚を壁に固定するくらいは急いでやらねば…。
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by bibliophage | 2005-08-24 08:06 | 新書
『帰ってきたもてない男』 もてない理想主義者の文化人を救え
d0018433_1026436.jpg著者:小谷野敦 
書名:帰ってきたもてない男
発行:筑摩書房(新書)
面白自虐度:★★★★★

『もてない男』が売れた小谷野氏が、結婚→離婚を経て新たに書いた男女論。

『もてない男』に寄せられた批判は、だいたい二つに分かれる。
1. 「…あなた自身にかくかくの原因があるから」…上野千鶴子など。
2. 「…理想が高いだけ…」…田中貴子、山口文憲など。(第1章より)


これは面白かった~。
現代における「もてない男」の分析とその社会的救済などについて、自分の経験をもとに、古今の文献、本に言及して、徹底的にこだわり抜いた内容です。

まず、恋愛には遺伝的な能力差があり、それを訓練してどうにかしろというのは、「ゆとり教育」の発想と同じで欺瞞である、と言います。見たくれのぱっとしない(と自分でもわかっている)小谷野氏としてはこれが最大のネックです。
次に、身体コンプレックスをスポーツ(その他)で解消しよう、という議論について、著者は「全くの運動音痴」で音楽についてもピアノも挫折し、クラシックしか好きでない、これではもてるはずがない、となります。
また、近代の一夫一妻制というのは男を苦しめ、漱石や鴎外などの文豪も結婚に嫌気がさしていた、浮気や買春をするのも安定した生き方である、と語ります。著者によると、それでも離婚しない場合は「セックスの相手の確保」のためもあるだろうとのことで、彼にとってこの「相手がいない」ということが、強迫観念にまでなっている様子です。

他の知識人の事情についても面白く、呉智英の「買春癖」がばれたことや宮台真司が「膨大な理論化」をおこなった上でテレクラ・援助交際の経験についてやっと言うことができたこと、などがあげられています。
さらに、著者は離婚後テレクラにかけたがうまくいかないので、ネットの「出会い系サイト」に登録したことが書かれています。サクラにひっかかりそうになったり、写真付きだと全く返事がこないことや、どうしても学歴・知性にこだわる著者の様子が笑えます。(雑誌の書評にも「ここまでやるか」と書かれていましたw。)

最後に、もてない著者(東大卒42歳バツイチ)の結婚相手の条件というのがあり、
「25-34歳、1流―1.5流大学卒、古典の文学演劇に関心あり、etc」でしたw。

著者が「もてない」理由は、結局上記1+2、つまり外見・運動能力・コミュニケーション力に劣り、かつ理想が高いこと。自分でわかっていてもどうしようもない所が面白く、またそれを客観的に文章にできる点が著者の強みです。この本も売れそうです。
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by bibliophage | 2005-08-13 10:29 | 新書
『「負けた教』の信者たち』 難しいニートの気持ち
d0018433_2291320.jpg著者:齋藤環 
書名:「負けた教』の信者たち
発行:中央公論新社
多面的分析度:★★★★☆

精神科医の齋藤氏によるニート・ひきこもりを含む現代の若者・子供論。

若者の「コミュニーケーション・スキル」重視の影響で、それが苦手な人々は自分のことを「負け組」に分類してしまう。彼らは「負けたと思いこむ」ことにより、何とかプライドを温存しようとする「自傷的自己愛」にすがるしかない若者たちである。

「フリーター」が420万人、「ニート」が40万人、「社会的ひきこもり」が41万世帯もいるということに、まず驚きました。
精神科医の立場から、ひきこもりに対応する方法として、「家族に本人のひきこもり状態を徹底的に受容するよう指導する」とか「必ず小遣いは渡す」とかいうのもなるほどと思いました(後者は「消費は社会参加の基本」だから)。

また著者によれば、「共同体」の衰弱によって個人間の「関係性」が薄くなり、さらに携帯電話やネットの発達がそれを助長していく中で、子供は阻害され異物化される。その結果として、少年犯罪やひきこもり、さらに児童虐待などが起きてくるということでした。

著者は、少年犯罪にもどちらかというと同情的な立場に立っている印象で、アメリカの「被害者・加害者和解プログラム」を紹介して、これには「可能性がある」と言っています。しかしこれにはあまり同意できませんでした。

全体的には、色々な角度から現代の若者の精神病理に切り込む形で、考えさせられることも多い内容でした。「ひきこもり」の人たちの気持ちを理解することはやはり難しかったですが。
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by bibliophage | 2005-08-05 02:32 | 新書
『決断力』 天才の頭の中、一挙公開
d0018433_2345399.jpg著者:羽生善治 
書名:決断力
発行:角川書店(新書)
集中度:★★★★★

史上最強の将棋棋士、過去に7冠、現在4冠の羽生氏が語る、勝負における考え方。

1章:不利な局面でも諦めずに、淡々と粘り強く指す。マイナス思考に打ち勝てる理性を育てなくてはならない。未知の世界に踏み込み、自力で考えること。「これでよし」と消極的になるのが一番恐い。
2章:直感によって指し手を思い浮かべ、読みの力で検証し、決め手は「決断力」である。
3章:頭の中に空白の時間を作り、「集中力」を発揮する。将棋でもミスは日常的に起こる。感情のコントロールが必要である。
4章:パソコンを使って最新の手を研究し続けなければならない。また、自分でもアイデアを持って新しい手を試し、違った戦法にも挑戦しなければならない。
5章:同じ情熱を持続して持ち続けられることこそ才能である。年令によって勉強法を変えることが必要。


さすがに第一人者のことばは、こと将棋だけでなく、ビジネスや人生の局面においても役に立ちそうな本質を説いているように感じます。
私の最も好きな棋士は谷川九段ですが、残念ながら羽生4冠に水をあけられ、佐藤棋聖、森内名人とも差が開きつつあります。羽生世代の棋士たちの強さの秘密の一部を知ることのできる内容だと思いました。

故大山名人は実はあまり深く読んでいなかった」とか、「最近の若手は自分と対戦してもやけに伸び伸びやっている」とかの本音も面白かったです。スポーツの中で、テニスが一番将棋に似ている、という指摘も興味深いところでした。
将棋を知らなくても楽しめる本だと思います。
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by bibliophage | 2005-07-31 23:52 | 新書
『CIA 失敗の研究』 なぜ9.11テロは防げなかったのか?
d0018433_8302581.jpg著者:落合浩太郎 
書名:CIA 失敗の研究
発行:文芸春秋
情報度:★★★★★

国際政治学の専門家、落合氏によるCIAを含むアメリカ国防体制批判。

諜報機関の仕事はスパイだけでなく、「情報収集」「分析」「秘密作戦」「防諜」の4つに分けられ、アメリカにはCIAを含めて15の機関が存在する。
真珠湾の反省から作られたCIAも官僚機構と動脈硬化が進み、9.11テロに至る失敗を引き起こした。その歴史を検証し、問題の在り処を提示する。(前書き他より)


1章「諜報機関の実像」は、CIAの構造と仕事内容について。カウボーイタイプの「作戦本部」と学者タイプの「情報本部」の他「科学技術本部」「管理本部」。以前日本政界の実力者の訪米の折に、排泄物を調べて健康をチェックしたとのエピソードあり。
また、他の機関として、国防情報局(DIA)、国家安全保障局(NSA)、4軍の諜報部門や司法省下のFBIなどがある。
2章「1990年代のCIA」では、1994年に逮捕されたロシアのスパイ、エームスの事件を取り上げ、CIAの規律の低下が書かれている。また、ウルジー、ドイッチェ、テネットという歴代長官の無能ぶりも述べられている。
3章「失われた10年」では、1991年に最大の敵ソ連が崩壊して以降、冷戦状況から対テロリストへの方針の転換が進まず、官僚機構がはびこったことがあげられている。それにより、中東専門の人員が不足し、4章「CIAとアルカイダ」にあるように、テロ実行の情報を前日に受け取りながら見逃されていた、という事態に至ってしまった。
しかし責任があるのは、CIAのみではなく、5章以降に書かれているように、内政重視だったクリントンやミサイル防衛にとりつかれたブッシュ、FBIや他の諜報機関との縄張り争い、9.11が起きるまで無関心だったマスコミなど、罪無きものはいない状態であると筆者は言う。

巻末に参考文献が多くあげられており、この本の情報度の高さを物語っています。実際、はじめてアメリカの諜報機関をオーバービューすることができました。内容が濃く、一読の価値がある本だと思います。(気になる点として、記載の重複が随所にあり、章立てに工夫が必要なように思いました。)
筆者もいうように、リーダーシップをもった大統領がすぐれた諜報機構の長(現在なら新設された国家情報長官)を任命して、各機関が官僚機構を打破し縄張り争いをなくして協力するしか改善の道はないわけです。
まあ、大統領にあの程度の人物が選ばれている国なので、絶対無理だと思いますが…。
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by bibliophage | 2005-07-19 08:31 | 新書
『大学教授コテンパン・ジョーク集』 冗談にはセンスが必要
d0018433_2120819.jpg著者:坂井博通 
書名:大学教授コテンパン・ジョーク集
発行:中央公論新社
ユーモア度:★☆☆☆☆

埼玉県立大保健医療福祉学部教授、坂井氏による各学部別の主に教授に関するジョーク集。

いや~まいりました。これほど笑えないジョーク集も珍しい。
初めて海を見た物理学教授は、波の流体力学の研究がしたくなった。海の中を歩いたらじきに溺れて、帰らぬ人となった。生物学教授は…(略)。化学教授は始めて海を見て、ノートに記録を書いた。「物理学者ならびに生物学者は大洋に溶解する性質を有する」
って、何が面白いのでしょうか?

冗談を言うためには、人の言ったジョークが面白いことを理解するための受容体ができていることが必要条件。この著者はその段階でつまずいているようです。
d0018433_21244072.jpgまず筒井康隆や土屋賢二(『われ笑う、ゆえにわれあり』)でも読んで、ジョークとは何かをよ~く学んでから出直して欲しいものです。

(あっ、第9章医学部の中にいくつか面白いものがありました。内容がシモネッタなので書けませんが、法医学の話etc。この章だけ立ち読みする価値あり。残りの9章は全然でした…)

中公新書ラクレの担当編集者は、この本が本当に面白いと思っているのでしょうか??
久しぶりにコテンパンに書いてしまいました。関西生まれなので冗談にはどうしても厳しくなってしまいます。
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by bibliophage | 2005-07-16 21:26 | 新書
『そんな言い方ないだろう』 「問題な日本語」への実践的対処方
d0018433_7382544.jpg著者:梶原しげる 
書名:そんな言い方ないだろう
発行:新潮社
実学度:★★★★☆

文化放送出身のアナウンサー梶原氏による「口の聞き方」講座。

ファミレスで「お席のほうはカウンターで大丈夫だったでしょうか」と聞かれて、また、TVのCMで「家族って大切ですよね」と言われて、カチンと来る皆様のストレス発散に(前書きより)。

ことばに最も敏感であるアナウンサーだけあって、現在の変な「言い方」を取り上げて適切な解説をしてくれます。
上記「…ですよね」は、自分の価値観を押し付けて相手をなめている表現であるとか、「よろしかったでしょうか?」は、すでに店側が判断をすませていてその承認を客にもとめる傲慢な言い方であるとか。言われてみればその通りで、よけいに腹が立ってきますよね(笑)。

言い間違いの例では、幕間(まくあい)、年俸(ねんぽう)などの読み違え、「檄をとばす」「姑息」の正しい使い方などがあり、役に立ちます。

最も面白いのは敬語に関する章で、紀宮と婚約した黒田慶樹氏を「ユーモアも含んだ見事な敬語の使い手」と誉めています。また、サービス業の「マニュアル敬語」については、「お会計のほう一万円になります」「千円からお預かりします」などを、世論調査で「気になる」と答える人の割り合いが増えていることを取り上げ、飲食業界側でも「非常識用語の撲滅キャンペーン」が始まっていることを教えてくれます。

「ABO型別口の聞き方」は血液型→口の聞き型に変えただけで新味はありませんが、こういう風に直せばよいという注意例は参考になります。

この新書も『問題な日本語』を中心とする「日本語ブーム現象」本の一つですが、プロのことばの使い手としての実践的なところが評価できると思います。
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by bibliophage | 2005-07-09 07:43 | 新書