ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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カテゴリ:評論( 40 )
『裁判官の爆笑お言葉集』 名言、直言、珍言の数々
d0018433_953312.jpg著者:長嶺超輝 
書名:裁判官の爆笑お言葉集
発行:幻冬舎
人間味度:★★★★★

20万部突破のベストセラー!

「裁判官は建前としては「法の声を語るべき」とされていますが、法廷では・・・私情を抑えきれず思わず本音がこぼれてしまうことも…(「はじめに」より)」

これはコンセプトの勝利と言えるでしょう。
右ページに裁判官の面白いコメント(説諭、質問など)を載せ、左ページにその裁判の経過、ポイントを書く。
長く(7年)司法浪人をしてきた筆者だけあって、裁判のまとめ方が上手くとてもつかみやすい。

タイトルこそ「爆笑お言葉集」となってはいますが、心を打つ名言も多し。ほのぼのとした感じがします。
死刑はやむを得ないが、私としては、君には出来るだけ長く生きてもらいたい。」など。
裁判官も血が通った人間なのですねぇ。
最高なのは、「変態を通り越して、ど変態だ。普通の父親では絶対に考えらない、人間失格の行為。」。罪の内容は推して知るべし。

まだまだ売れそうですね。一読をおすすめします。
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by bibliophage | 2007-04-28 09:53 | 評論
『パチンコの経済学』 30兆円の謎
d0018433_7473262.jpg著者:佐藤仁 
書名:パチンコの経済学
発行:東洋経済社
総括度:★★★★★

元パチンコチェーン店役員による業界の歴史、現在と未来。

「不思議なことにこの業界には産業統計やガイドブックといった類のものが存在しない。・・・その多くは攻略本である。…一般の人が業界の概要を知りたくても、知る方法がない…(「はじめに」より)」

個人的にはパチンコの趣味はありませんが、これは貴重な本だと思いました。ちょっと読みにくいですが、内容は充実しています。新書で出したら売れただろうと思うのですが…。

まず、現在のパチンコ業界の問題:技術介入、換金、射幸性、ギャンブル依存etcがよくわかります。
技術介入とは、パチンコでは釘を読む、パチスロではリーチ目を記憶する、などの努力や経験が反映する技能のこと。だから攻略本などがあって、実際に効果があるといいます。これがグローバルスタンダードに合わないらしいです。
また、店内での換金が法律的にできない(刑法、風俗営業法)ため、店外の景品交換所でお金にする。これはカジノ法が成立することになると、法律の改正が避けて通れない点です。

戦後のパチンコの歴史としては、正村ゲージ→連発式→チューリップ→フィーバー機→カードリーダー機、という風に変遷しています。それにつれて射幸性が高まった結果、最近では乳児置き去り事件、借金苦などが社会問題化してきているとのこと。

パチンコ人工は減少しているのに売り上げ30兆円は変わらない訳は、高い射幸性のためにヘビーユーザーだけが残って高額をつぎこんでいるためでした。しかもそのヘビーユーザーは「下流」の階層と一致する、というのですから、上述の社会問題にもなるというもの。

今後はカジノ導入の成否がどう影響するかに興味が湧きます。
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by bibliophage | 2007-04-24 07:49 | 評論
『死刑のすべて』 極刑の作法
d0018433_1181165.jpg著者:坂本敏夫 
書名:元刑務官が明かす 死刑のすべて
発行:文芸春秋社(文庫)
実録度:★★★★★

映画『13階段』のアドバイザーも務めた、元刑務官の著書。

「本来求められている裁判官への期待は、真実と冤罪を見抜くことであって、量刑の加減の巧みさでもないし、名奉行の裁きでもない。(本文より)」

これは面白かった。
死刑囚の生活ぶり、刑務官の仕事、死刑のやり方、殺人事件の顛末、死刑廃止運動、などについて細かく書かれており、非常に興味深いものがありました。

特に、劇画による死刑の行われ方が強烈。こんなの描いていいのかなと思ってしまいました。
また、拘置所の中の腐敗と出世をめぐる人間関係を書いたノンフィクションもとてもリアル。これは続きを書けば立派な小説になります。

また、死刑反対運動が盛り上がると、逆に死刑執行が早まるというのが何とも皮肉。個人的には死刑廃止には反対ですが…。矯正不能な人間は必ず存在するので。

やや気になったのは「冤罪による死刑は必ずあるはずだ」と書いていること。
また名古屋刑務所の事件のつっこみが弱い。やはり身内はかばうのですかねぇ。

ともあれ、非日常の世界を知ることができる貴重な本でした。
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by bibliophage | 2007-04-01 11:10 | 評論
『医療崩壊』 犯人扱いは筋違い
d0018433_015119.jpg著者:小松秀樹 
書名:医療崩壊 「立ち去り型サボタージュ」とは何か
発行:朝日新聞社
率直度:★★★★☆

第一線で活躍する泌尿器科医の提言。

「医療従事者は、患者の無理な要求を支持するマスコミ、警察、司法から不当に攻撃されていると感じている。このため、医師は勤労意欲を失い病院から離れ始めた。(本文より)」

現在の医療をめぐる状況について、医者としてとても正直な考えを書いています。
おそらく、慈恵医大青戸病院の腹腔鏡下手術の事故の顛末に、同じ泌尿器科の医者として、マスコミと警察の仕打ちに我慢ならなかったものと思われます。

人には寿命がある。医療にはリスクが伴う。それを理解していない患者と、患者にへつらうマスコミ。さらに、専門知識もないのに暴力装置!として医療の現場に踏み込んでくる警察。このままでは、日本の医療はイギリスのように崩壊してしまう、と著者は語ります。

著者の言うことには説得力があります。危機感を持っての積極的な発言には感心しました。
ただ、この本の内容は一般人にはちょっとわかりづらい懸念があります。はじめてまともに問題を提起したという意義は大きいと思いますが、ちょっと書き方が尊大に感じられる点もありました。是非、もう少し噛み砕いた形で万人にわかりやすく語って欲しいと思います。

立ち去り型サボタージュ」とはとてもクールなネーミングだと思いますが、ちょっと小難しい印象を与えます。「医者の夜逃げ」wとか、もう少しキャッチーな言い方はないでしょうか。
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by bibliophage | 2007-02-08 00:20 | 評論
『官能小説用語表現辞典』 淫靡さ表現コンテスト
d0018433_20315846.jpg著者:永田守弘 
書名:官能小説用語表現辞典
発行:筑摩書房(文庫)
イマジネーション度:★★★★★ 

複数の雑誌で書評欄に出ていた話題の書。

「官能小説は性欲をかきたてるためのものではなく、もっと感性の深くにある淫心を燃え立たせるものです。(「あとがき」より)」

官能小説に出てくる男性器、女性器、声、などの多彩な表現を網羅していて圧巻です。
各項目に、約700冊(!)の本から抜粋した例文が書かれています。
電車内ではなかなか読み辛い本ですが…w。

気に入った言い回しを以下に記します。
・ おのれのタフボーイを…カトリーヌに埋ずめこみ…
ラブボタン
灼熱の侵入者
よこしまな淫柱
不埒(ふらち)者のリキッドを浴びせかけた 、などなど。

それにしてもよく考え付くなぁと感心。誰にでも書けそうに見えて、実は特殊な能力を必要とする分野。それが官能小説のようです。

作品のタイトルも色々あって笑えましたが、最高なのは「美母(ママ)は変態バニー」。いったいどんな話やねん!

解説の重松清氏いわく、「声に出して読めない日本語」。上手いなぁ…。
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by bibliophage | 2006-11-21 20:33 | 評論
『夜にそびえる不安の塔』 スピリチュアル・ノンフィクション
d0018433_1534108.jpg著者:井形慶子 
書名:夜にそびえる不安の塔
発行:講談社
迫力度:★★★★★

若くして出版社を立ち上げたやり手の女性経営者によるスピリチュアル体験記。

<イギリスの本を書き、出版社を経営する私のもとに、ある日編集者のサワダさんから依頼の電話があった。霊感を持つ占い師たちに物事を相談する形で、その力の実態についての取材をお願いしたいというのだ。>

書店で平積みされていて、ふと表紙とタイトルに惹かれて読んでみましたが、なかなか面白かったです。

私は3人の女性占い師に電話で相談をし始めます。ララさん、万葉さん、魔法使いさん。タロットなど三者三様の方法を持つ彼らの占いは驚くほど当ります。自分の仕事に関係する人たちの考えていること、その未来について。しかし、そのうちに私はその占いの言葉に依存し、それなしでは精神状態が保てないようになってきます。また、夜に窓の外をみると、日々大きくなっていく謎の塔のイメージが出現するようになります。

内容がリアルで、とても頭で考えた内容とは思えませんので、ノンフィクションと銘打つだけあって、本当に体験したことなのだろうなと思いました。
と言いつつ、話の展開はミステリー小説のように面白くもあり、ノンストップで読み終えました。塔の謎解きも出てきます。

疑問に感じたのは、占いの内容を他の占い師に話すことがあったことで、そうすると三人の占いの一致について、客観性が失われる点。あと気になったのは、ノンフィクションであれば、有名な出版社の女性社長ということで、文中の関係者について、かなり実在の人物と対照がついてしまうのでないかということでした。

世の中には目に見えない世界が存在すること、本物の霊能力者が存在すること、運命は固定されていないこと、などは自分の考えと一致した点でした。

そういう世界を全く信じない、神社でも手を合わせたことがない、という人以外は一度読んでみる価値がある本だと思います。

著者の出版社HP 
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by bibliophage | 2006-10-01 15:34 | 評論
『編集者T君の謎』 将棋世界の不思議エッセイ
d0018433_014397.jpg著者:大崎善生 
書名:編集者T君の謎 将棋業界のゆかいな人びと
発行:講談社(文庫)
諧謔度:★★★★☆

雑誌「将棋世界」編集者を18年。その後、作家としてベストセラーを連発する大崎氏による将棋界のエッセイ。

「私の将棋の本としては3冊目の出版になる。これを読んでひとりでも多くの方が、あの無垢にして純粋な将棋の世界に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。(「あとがき」より)」

あとの2冊とは、若くして癌で死んだ天才棋士を書いた『聖の青春』と奨励会で挫折した青年の話『将棋の子』のこと。後者は読みましたがとても面白かったです。

今回のエッセイは「週刊現代」での1年間の連載を内容別に章分けしてあります。特に面白いのがⅠ章「天才たちのスーパーバトル」。
・ 元名人でクリスチャンの加藤氏の傑作な話。
・ 名人になった佐藤氏が若い頃、大崎氏に怒鳴りつけられた話。
・ 著者が森下九段に「君が負けるのは弱いからだ」と言った話、などなど。

一方、本の題名にもなっているT君の話などは内輪ネタでイマイチ冴えません。

後に大崎氏の妻となる高橋和さんが、詰め将棋の年間最優秀作品に与えられる看寿賞を取っていたのにはビックリしました。

将棋連盟の運営などは棋士だけで決められており、将棋の人気凋落傾向を憂いて、棋士たちに苦言を呈するという硬派な面には感心しました。

全体的には、笑いがあってオチがある上手い文章で、将棋の世界がさらに好きになりました。
大崎氏の小説の方も読まなくてはいけないと思ってはいるのですが…。
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by bibliophage | 2006-09-30 00:02 | 評論
『今日、ホームレスになった』 大手企業管理職→ホームレス
d0018433_5202661.jpg著者:増田明利 
書名:今日、ホームレスになった 13のサラリーマンの転落人生
発行:新風社
衝撃度:★★★★★

ホワイトカラー出身者たちの転落人生。

「図らずもホームレスになってしまった人たちと我々の間に、どれほどの違いがあるのだろうか。自分が彼らのようにならないという保証があるのか。(「はじめに」より)」

書店でふと見かけて読んでみましたが、インパクトが有り杉ました。
13名の元ホワイトカラー、現ホームレスに詳細なインタビューをすることで、なぜ彼らがそうなったかを具体的に記しています。

元大手総合商社次長、元ファンドマネージャー、元大手鉄鋼メーカー副部長。数年前まで巨大ビルで働いていた自分が、今はそれを見上げる公園で暮らしている…。これは辛すぎます。しかもその気持ちが徐々に薄れていくところがまた悲しい。

転落のパターンはかなり共通しています。
大企業勤務40代後半~50代→バブル崩壊、不況→リストラ、会社倒産→再就職不能→ローン破綻→借金→家庭不和→失踪。

ホームレスの生活も詳しく書かれていて、雑誌収集がいかに大事な仕事かわかりました。
とにかく他人事と言って済ませられない内容の本です。ガクガクブルブル…。
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by bibliophage | 2006-09-20 05:21 | 評論
『文学賞メッタ斬り!リターンズ』 毒舌の楽しみ
d0018433_030880.jpg著者:大森豊、豊崎由美 
書名:文学賞メッタ斬り!リターンズ
発行:PARCO出版
斬殺度:★★★★★

物議をかもしたw「文学賞メッタ斬り!」の続編。

「そして最後に、…(島田雅彦の言葉を借り)、わたしたちのいいかげんな与太話や採点に傷ついた方々には深くお詫び申し上げます。御免。(「おわりに」より)」

島田雅彦氏をゲストに迎えてパワーアップ。相変わらず歯に衣着せぬ物言いが心地よいです。

小学館文庫小説賞の河崎愛美「あなたへ」を評して、「脇の甘い比喩を得意になって使いまくる、ちょっと作文が上手い程度の15歳を、いい年こいた大人がちやほやしてどうするよっ… 」ということで点数15点!
2005年上半期芥川賞候補の伊藤たかみ「無花果カレーライス」について、「点数つけると16点くらいですね。…わざわざ印刷して紙面に載せる価値があるんですか、この作品に」との講評。どちらも豊崎さんです。
大森さんも伊藤たかみ氏を「へた」と評していました。
前回ついに芥川賞を受賞したとはいえ、伊藤たかみ作品を読むことはたぶんないだろうと思いますw。

2006年下半期の直木賞予想で東野+恩田のW受賞という読みでは、私も大森さんと一致していたのがちょっと嬉しく思えました。モロにはずれていましたが…。

毒舌だけではなくて、自分のツボにはまったモノを異様に持ち上げるのが可笑しい。
興味を持った作品は青木淳悟「四十日と四十夜のメルヘン」、松尾スズキ「クワイエットルームにようこそ」、中原昌也「点滅……」、鹿島田真希「ナンバーワン・コンストラクション」etc…。

巻末に受賞作を一覧で点数化しています。個人的には、「夜市」は過小、「博士の愛した数式」は過大評価と思いました、

評論家というのは、古今東西の作品に精通していなければならない大変な仕事だとつくづく思いました。続編はまたまた2年後でしょうか。今から期待しています。
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by bibliophage | 2006-09-16 01:34 | 評論
『博士の異常な健康』 究極の広告塔
d0018433_7332530.jpg著者:水道橋博士 
書名:博士の異常な健康
発行:アスペクト
説得力度:★★★★★

浅草キッドの博士が自分で体験した超健康法。

「俺は徹底的な体験主義者であり、自ら体を張って飛び込むことに躊躇がない。つまり本書は俺自身の体で文字を綴った経験談でもある。(「まえがき」より)」

この本は凄い!
自ら経験した健康法・治療法で効果があったものについて、その理論・科学的裏づけなどを詳しく書き、おまけにそれに対する批判意見まで載せて、とにかく徹底的に解説しています。

その内容は以下の如し。
1. 育毛・増毛法
2. 近視矯正手術。
3. 胎盤エキス
4. 断食
5. バイオラバー
6. 加圧式トレーニング


育毛法はプロピアという会社で、この章については週間文春の中村うさぎさん(だったかな)のコラムでも紹介がありました。同社のHPをみると、シャンプーは需要が多すぎて3ヶ月待ち!になっていました。
近視矯正については、18年も前の黎明期にRK手術を受けています。この思いきりのよさに感心。現在も視力は良いとのこと。

最も胡散臭いのがバイオラバーで、体につけるだけで肩こりが治りガンにも効果ありとのことでした。それでも博士の文章を読んでいると、つい購入したくなるのは大したもの。開発したのも一流のゴムメーカーとのことでした。

さて、最も興味深かったのが加圧式トレーニング。高圧テントかと思ったら、手足の付け根を緩く縛って運動負荷を加えると、効率よく筋肉が発達するというもの。正座の足の痺れにヒントを得たというこの方法、開発会社であるサトウスポーツプラザは東大に加圧関連の寄附講座までつくっており、論文まで出しているそうです。

とにかく豊富な語彙、ダジャレを含めた徹底的な解説、体験談、それによる説得力。これが本書の白眉でしょう。
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by bibliophage | 2006-08-17 07:34 | 評論