ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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カテゴリ:評論( 40 )
『問題な日本語』 「日本語ブーム現象」を牽引するロングセラー
d0018433_22374116.jpg著者:北原保雄 編 
書名:問題な日本語
発行:大修館書店
パイオニア度:★★★★☆

明鏡国語辞典の編集者たちが、高校国語教師の「気になる日本語」アンケートを元に、それらを解説した本。2004年12月初版で、いまだに平積みにしている本屋あり。類書多数。

今さら解説も何なので、取り上げられている表現が自分にとってどう感じるかで分類すると…
① よく使う・違和感のないもの:
    うざい、 ~ってどうよ?
② 時々使うもの:
   全然いい、 わたし的には(個人的には、はよく使う)
③ 使わない・好きではないが聞いても不快ではないもの:
   コーヒーのほうお持ちしました、 ~っていうか、 ~みたいな
④ 生理的に合わないもの:
   ふいんき(聞いたことないが…)、 なにげに、 きもい、 違くて
…これでは中高生の会話のノリにはついていけないな、と思います。

「きもい・きしょい・うざい」の項のポイントとして、
短縮化された若者語には、禁忌を犯す楽しみと冗談風に気軽に言える心理がある」とマジメに書かれると何か笑ってしまいました。頭から否定しない姿勢に好感が持てます。
自分の国語力を見直すにはよい本だと思いました。
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by bibliophage | 2005-07-10 22:44 | 評論
『ベストセラービジネス書のトリセツ』 声に出して読みたいメタ・ビジネス書
d0018433_23582650.jpg著者:松田尚之、斎藤哲也 
書名:いまさら人に聞けない!ベストセラービジネス書のトリセツ
発行:技術評論社
ポイント指摘度:★★★★★

ビジネス書におけるベストセラーとカリスマ著者について、ポイントを簡潔に指摘する取り扱い説明本。

第一部では、カリスマ著者たち16人を取り上げています。ロバート・キヨサキに始まり木村剛、ホリエモン、大前研一や斎藤孝など。
森永卓郎は「オタクがたまたまエコノミストとなり、負け組人生のエンジョイについて語る」、中谷彰宏は「一貫して自分のプロデュース術を説くギョーカイ人」、和田秀樹は「問題解決のための方法論を教える秀才精神科医」となります。
彼らの一般的なイメージに、少し批判的コメントを加えてまとめてあります。

第二部はベストセラー20冊を取り上げ、同様にポイントをまとめて、決めセリフを書き出し、読んでいく上での注意点をあげています。
『チーズはどこへ消えた』 『Good Luck』 『7つの習慣』 『クビ!論』 など。おお、『さおだけ屋~』 も入っています。Updateですね。
笑いを得るための会話のツボを分析した 『ウケる技術』 をベタ誉めしているのが、面白いと思いました。

第三部では、「金儲け」「マーケティング」「営業」などのテーマ別に、良書を4冊ずつ取り上げ簡単に説明します。
この中では、「自己啓発」で取り上げらている、内田樹 『疲れすぎて眠れぬ夜のために』 に惹かれます。同著者の 『寝ながら学べる構造主義』(文春新書) がとても良かったからです。

前書きで否定されてはいますが、この本はまぎれもなくはやりの「あらすじ本」です。しかし、内容が優れていておすすめできる「カタログ本」です。
ベストセラーになる要素は満載だと思いますが、どうでしょうか?
ネックは、大きな出版社でないこととタイトルがもう一つなこと。「いまさら…」と「トリセツ」がどう影響するか。売れ行きに注目です。
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by bibliophage | 2005-07-07 00:04 | 評論
『不思議図書館』 サブカルチャーの含蓄
d0018433_37537.jpg著者:寺山修司 
書名:不思議図書館
発行:角川書店(文庫)
摩訶不思議度:★★★★★

劇作家・詩人・評論家etcの寺山修司氏が、欧米(日)の古本屋で見つけたサブカルチャー的不思議本を紹介しながら、独自の考えを語っています。

1章「市街魔術師の肖像」では最大のイリュージョニストであるフーディーニーを取り上げ、伝記本を読んで、彼がハンガリー生まれのユダヤ人であり、その父が殺人犯だったことなどを語ります。5章「髭のある女の実話画報」では、ヒゲ女は両性兼有により自らを補完強化する意味があると理屈をつけ、6章「フェティシズムの宇宙誌」では中国の纏足(てんそく)やデブ女専門の男性の趣向について説明します。

その他にもフリークス、だまし絵、ドラゴンの謎、吸血鬼などについて、数冊の本を紹介しながら、コメントを加えています。

寺山氏の文章は美しくて読みやすく、各章の終わりに参考写真が付いており(ヒゲ女など)、とても楽しめる、ネタ満載の本でした。
他の寺山作品は文庫で改定版が出ているものがいくつかあり、それらも是非読んでみたいと思いました。

寺山修司関連サイト:   昭和精吾    鉛筆のドラキュラ
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by bibliophage | 2005-06-04 03:08 | 評論
『一日江戸人』  粋趣向 江戸之風俗
d0018433_17442151.jpg著者:杉浦日向子  
書名:一日江戸人 
発行:新潮社(文庫)
ベランメエ度:★★★★★ 

漫画家・エッセイストである杉浦日向子氏による江戸の風俗・趣向案内。

この手の本は興味があって買うものの、大概は積ん読書庫行きとなります。
ところが、これは抜群に面白くて一気に読めました!その理由は著者が漫画家で、おまけに江戸時代の専門家なので、ほぼ2ページに1つわかりやすいイラストが入っているからです。

・江戸のかっこいい三男(さんおとこ)は、火消しの頭、力士と与力。
・将軍の食事はできてから口に入るまで、お毒見と廊下移動があって2時間もかかる。
・江戸時代の銭湯は混浴だった。
 
など興味深い話が満載です。

なかでも出版事情の話が面白く、最大のベストセラーは『吉原細見』という遊女名鑑だったとか。恋愛小説『偐(にせ)紫田舎源氏』は当時40万部も売れており、『世界の中心~』も真っ青です。

文章のテンポが良く、ユーモアもあって、楽しめました。実際に当時の江戸にいるような気分になる一冊です。
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by bibliophage | 2005-05-27 17:47 | 評論
『「心理テスト」はウソでした。』 専門家の自虐
d0018433_7135933.jpg著者:村上宣寛 
書名:「心理テスト」はウソでした。
発行:日経BP社
サービス度:★★★☆☆ 

認知心理学、統計分析等の専門家である村上氏による暴露(?)本。

1章で血液型性格学、
2章で誰にでも当てはまる心理テスト(バーナム効果)、
3章でロールシャッハ・テスト、
4章でYG性格検査、
5章で内田クレペリン心理テスト、
 が無意味・インチキであることを解説しています。

ロールシャッハ・テストの結果が全く当たらなかった学会のシンポジウムの話や、クレペリンテスト(単純な足し算)はゆっくり正確にやった方が「異常」と判断されにくいというアドバイスなど、は興味深く読みました。また、クレペリン自身はいかに偉大な精神医学者であったかや、最近は「基本性格は外向性・協調性・勤勉性・情緒安定性・知性の五つである(ビッグ・ファイヴ仮説)」と考えられていることもよくわかりました。

ただ、全体的にちょっと冗長な印象で、内容的には新書でも十分ではないかと感じました。「心理テスト」と銘打っていきなり血液型の話もイマイチです。さらに、ロールシャッハ・テストを完全否定するなら、以前の自著「ロールシャッハ・テストー自動診断システムへの招待」を参照してください、とか書かないで欲しいものです。

また、自分の大学の学生や読者を小馬鹿にしたような書き方が若干ハナにつく所があります。「さおだけ屋~」を見習って、もう少しサービス精神を発揮して欲しい所です。いわば自虐ネタなんですから。
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by bibliophage | 2005-05-22 16:47 | 評論
『なぜ、女は男の嘘を見抜いてしまうのか』 行動生物学的男女論?
d0018433_2172796.jpg著者:藤田徳人 
書名:なぜ、女は男の嘘を見抜いてしまうのか
発行:PHP研究所
本質追求度:★★★☆☆ 

著者は医師であり、恋愛心理に関する本を何冊か出しています。
男と女は考え方が水と油。その原因は私が長年研究してきた男女の行動学から明らか(前書き)」と言っています。
で、結局のところ『話を聞かない男 地図が読めない女』の恋愛限定バージョンというおもむきです。

最初に半陰陽の話を出して男と女の違いを強調している点が医者らしくてユニークです。

卵子は月一個だけ、精子は一日一億匹だから、その価値は30億倍違うと計算。よって男は泥棒で女は億万長者だと決めつけます(これはフェミニストから叩かれないようにという著者の意図もある)。
その前提の上で、
   なぜ女子高生がミニスカートをはくのか?
   異性選びの最大のポイントが「性格のよさ」であるのは本当か?
などについて著者の見解が書かれます。

また、各章の最後にケーススタディとしていろいろな男女の姿が描かれているのですが、これが笑えます。
美人の受付嬢ひとみは、男との約束をドタキャンしても平気で、「携帯をトイレに落として連絡できなかったの」とウソをつきます。しだいに男は小悪魔的な彼女から逃れられなくなっていきます。 etc

最後の所では、浮気の場合は夫との交渉の何倍も妊娠しやすい (これは有名か…)、とか、アメリカの調査では父と子の遺伝子が10%で違っている、とかが出てきます。

全体的には、ふ~ん、ホントかいな?と思って読んでいると、思わずナルホド!という所が出てくるという感じでした。

藤田徳人氏のHP・・・!
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by bibliophage | 2005-05-17 02:22 | 評論
『これは絶対面白い!』 書店員のこだわり
d0018433_1273912.jpg編:太田出版営業部面白本探検隊 
書名:これは絶対面白い!
発行:太田出版
情熱度:★★★★★ 

2003年末以前に刊行された単行本の中で、書店員個人が思い入れがあって、その店でロングセラーになっているものについて、69名へのインタビューと50名の回答をまとめたものです。

まず、「はじめに」で、「本屋大賞」の二番煎じ的であることを述べている点と、「誰が本を殺す」のかはどうでも良いことだ、と開き直っている点が評価できます。

「本屋大賞」は全国書店員の総意によるランキングであり、豊崎由美氏の言うように「あたりさわりのない」本が選ばれるので、面白みに欠けます。それに対して、ここであげられているのは個人がいろいろな経緯でイチオシするものばかりなので、特徴のある本が多いです。

特に興味を引いたのは、蓮見圭一『水曜の朝、午前三時 』、北尾トロ『 裁判長!ここは懲役4年でどうすか』、田中圭一『神罰』などの本で、これはインタビューの内容、即ち書評+アルファが充実しているからでした。

また、本の置き方(平積み、面出し、棚差し)や置く場所、ポップの有無で売れゆきがガラリと変わるというのも面白い点でした。

個性的な本のガイドとしておすすめです。
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by bibliophage | 2005-05-11 01:31 | 評論
『ミステリーファンのための警察学読本』 刑事というのは優秀な人たちなのだ
d0018433_2143560.jpg著者:斉藤直隆
書名:ミステリーファンのための警察学読本
発行:アスペクト
購入動機:書店で目について
情報度:★★★★★

警察オタクとでもいうべき斉藤氏の『~のための警察学入門』をupdateして書き直したもの。

第一章は警察ミステリーについて。横山秀夫をはじめ、逢坂剛貫井徳郎柴田よしき、黒川博行、今野敏、佐々木譲の作品があげられていてここだけでも十分な情報があります。

第二章では『踊る大捜査線』の内容にツッコミます。捜査一課にキャリアが多すぎるとか。しかし、『踊る~』のリアルさが刑事ドラマの絶滅を救ったと評価しています。

第三、四章は警察の構造や出世競争のしくみなど、この本の最も面白い部分です。
・ 警視庁に組織犯罪対策部が新たに作られた。
キャリアとノンキャリアの出世スピードの違い。
・ 巡査→巡査部長→警部補→警部→警視→警視正と昇進していくには、試験に連続して合格しなければならない(ノンキャリア)。巡査部長試験が数百倍で、それに10年合格できないと巡査長という名誉職的な称号が与えられる。
・ 刑事という専門職になるのも、検挙実績→捜査応援→署長推薦→選抜試験→選科講習と進んで、優秀でも20代後半にやっとなれるという大変さ。

いやあ、刑事さんって優秀な人たちなんですねぇ。
ミステリー好きは読むべき本です。
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by bibliophage | 2005-04-29 21:17 | 評論
本屋大賞2005
d0018433_0434853.jpg本の雑誌増刊:本屋大賞2005を買いました。書店員が「読んでよかった」「もっと売りたい」本を投票で決めた、とのこと。

1位  『夜のピクニック』    恩田陸
2位  『明日の記憶』      荻原浩
3位  『家守綺譚』       梨木香歩
4位  『袋小路の男』      絲山秋子
5位  『チルドレン』       伊坂幸太郎
6位  『対岸の彼女』      角田光代
7位  『犯人に告ぐ』       雫井脩介
8位  『黄金旅風』        飯嶋和一
9位  『私が語りはじめた彼は』 三浦しをん
10位 『そのときは彼によろしく』 市川拓司

大森、豊崎両氏のこの賞に関する対談があります。「何となく同じような作品」「二回目にして予定調和」と相変わらず鋭いツッコミです。
確かに、毒や刺激のある本は選ばれよるハズないですねえ。昨年の1位『博士の愛した数式』も私的には苦手な本だったからなぁ…。

11位以降で気になる作家は、29位までに3冊も入ってる瀬尾まいこ氏。で、『幸福な食卓』を早速購入。『文学賞メッタ斬り!』の中にも出ていた森見登美彦氏『太陽の塔』も読んでみたいですね。

巻末に既刊本からの「発掘本」コーナーもあり、ブックガイドとしてはなかなかよろしいです。
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by bibliophage | 2005-04-17 00:53 | 評論
『百年の誤読』 ベストセラー100年史
d0018433_23936.jpg著者:岡野宏文、豊崎由美
書名:百年の誤読
発行:ぴあ
購入動機:書評
痛快度:★★★★★

1900年から現代までのベストセラーを年代別に選んで、岡野宏文、豊崎由美の両氏が鋭く突っ込みます。徳富蘆花『不如帰』からYoshi『Deep Love』まで。なんという壮大な試みでしょう。

漱石と泉鏡花は「文章に対する意識が高い」、芥川は「とんでもなく現代的」と持ち上げているものの、鴎外を「サービス精神なし」、志賀直哉を「夏休みの宿題程度の名文」と斬り捨てています。堀辰雄『風立ちぬ』は「溺れるほど美しい」、中島敦『山月記』は「格調高い」文章とベタ誉め。

現代になると、村上龍『限りなく透明に近いブルー』は「離人症文体の新しさ」と評価していますが、田中康夫『なんクリ』は「よむに耐えない一発芸」とクソミソです。面白いのは豊崎氏が村上春樹に謝罪しているところ。『ノルウェーの森』の素晴らしさが、出版当時理解できずにこけおろしたのを懺悔しています。

意外だったのは、この本の中で二人そろって最も誉めているのが、さくらももこ『もものかんづめ』。対象におぼれない品のよさ、村上春樹のコメディレベルの比喩のうまさ、だそうです。

この対談で一環していて気持ちが良いのは、つまらない内容・文章である(と二人が判断した)時点で、どんなに売れた作品でも徹底的に斬られているところです。『Deep Love』は「ヘドロゴミ」、片山恭一『世界の中心で…』は「安い純愛メロドラマ」と表現されています。そのココロは、作り手には独創性・文章力を、読み手には読書力を期待することで、今後の出版物の質を高めていきたいという二人の評論家としての矜持だと思いました。

この本は内容・タイトルとも素晴らしいのですが、表紙がジミ過ぎです。順調に売れているのでしょうか?
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by bibliophage | 2005-04-11 02:35 | 評論