ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『「名君」「暴君」大逆転の戦国史』 戦国武将の再評価
d0018433_11165215.jpg著者:新井喜美夫 
書名: 「名君」「暴君」大逆転の戦国史
発行:講談社
逆転度:★★★☆☆

元ビジネスライター新井氏による「大逆転の歴史」シリーズ、その3。

「第1章:山内一豊…孫子のいう「善将」
第2章:武田信玄…指揮官としての3つの欠点
第3章:北条早雲…領民主体の領土経営
第4章:徳川家康…自ら神号を称した男
第5章:明智光秀…日本を10に分ける統治の構想
第6章:斉藤道三…理想を失った梟雄
第7章:石田光成…優れた文政に勝る軍略
第8章:毛利元就…虚構の「三本の矢」 」

武田信玄がmy boom になっているので読んでみました。
基本的には、今までの歴史的事実を、逸話をはさみながら平易な文章で語った本であり、面白いのですが、「大逆転」といった目新しさはあまりありません。

武田信玄についても、いかに内政の能力がすぐれていたか、すなわち金山開発、治水、信玄家法の制定、などが書かれています。「川中島にこだわらずに、今川義元討ち死にの際に南進すべきであった」という指摘はありましたが、果たして本当に可能であったのか?結果論的コメントの感があります。

明智光秀については、なぜ本能寺を攻めたか?が最大のポイントですが、これに対しても十分推論されていません。

ただ、全体的には楽しめました。あまり知らなかった山内一豊の世渡り上手さ、北条早雲の電光石火の下克上的襲撃などがよくわかりました。
また毛利元就の子孫の卑劣さもよく書かれていました。毛利家、小早川家、吉川家と子孫を3家に分けることで中国地方の安定を図ったのはよかったのですが、関ヶ原の合戦において、毛利輝元は大坂城から出て行かず、小早川秀秋は東軍へ寝返り、吉川広家は高みの見物、ということで勝敗を決める歴史的裏切りをおこなう結果になりました。「三本の矢」の威力恐るべしです。

「大逆転」シリーズは「幕末」「太平洋戦史」とあり、さらっと読むのにはよいのではないかと思います。
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by bibliophage | 2005-12-31 11:18 | 新書
『金春屋ゴメス』 ユニークな設定の時代小説
d0018433_647102.jpg著者:西條奈加 
書名:金春屋(こんぱるや)ゴメス
発行:新潮社
ファンタジー度:★★★☆☆

第17回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

近未来、「江戸」は北関東から東北にまたがる領土を持ち、日本から独立した国だった。辰次郎は運良く江戸入国を果たし、奉行所の配下として働き始める。江戸では鬼赤痢と呼ばれる伝染病が流行っていた。辰次郎は奉行のゴメスの指示の下、その原因を探り始める。

設定がとてもユニークです。タイムスリップせずに同時代に昔の江戸を存在させた点。大賞受賞の理由はまさにこの構想にあると思われます。
登場人物では奉行のゴメスの存在感が際立っており、冷酷無比、非道のむくつけき親分で、仁王のようなイメージです。そのくせ実はXXXであるというのも意外性があり笑えます。

江戸時代の風俗・考証も色々と考えられていて丁寧に書かれているという印象を受けました。また、感染症ネタの落とし所も納得できるものでした。

ただ、メインの話は全く普通の時代小説であり、これがファンタジーノベル大賞だと言われるとやはり違和感が…。もう少し現代とのずれをストーリーに組み込まないと、構想倒れといわれかねないと思いました。

かの 『後宮小説』 や 『バルタザールの遍歴』 を輩出した輝かしい同賞の過去を考えると、少し寂しい気がしました。
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by bibliophage | 2005-12-28 06:48 | その他小説
冬の猫
97年から使っていたパソコンが壊れてしまい、しばらく更新ができませんでした。液晶モニターはまだいけそうなので、タワー型の本体だけを買いに秋葉原に出かけました。
思ったより人が多いのは、歳末だからか、つくばエクスプレスのせいなのか、それともメイド喫茶のためか?

d0018433_0103910.jpg寒い日々が続いていると思っていたら、猫も寒いようです。
ご近所の庭で猫が木に登って日向ぼっこしていたので携帯で撮りました。
2枚目はカメラ目線でした。
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by bibliophage | 2005-12-26 00:24 | その他
『はじめての部落問題』 異色の入門書
d0018433_2323914.jpg著者:角岡伸彦 
書名:はじめての部落問題
発行:文芸春秋
淡々度:★★★★☆

被差別部落出身の著者による丁寧な解説。

「この本をつくった編集者は、幸か不幸か私と関係してしまったので、すでに部落関係者である。そして私が書いた文章をここまで目を通してしまった読者も。(本文より)」

本の帯を見てちょっとびっくりしました。「生まれ育った著者による名ガイド」とあったので、おもわず写真を見たら涼しげな男性の顔が…。
著者の角岡氏はノンフィクションライターで部落問題についての著書があり、大阪大の非常勤講師として講義もしていた方です。

本書では、部落と部落民とは何か?から、部落差別はなぜ残っているか?どうすればなくなるか?まで、淡々と述べられています。
1. 解放運動により部落の生活状態も改善し、差別は減ってきている。
2. しかし結婚、就職などにおいて、差別が影響することもまだある。
3. 部落や部落民が何かの社会的存在意義を持ったとき差別はなくなっていくだろう。
というような論旨です。
彼の執筆活動も、3. の一環だと考えられます。

d0018433_2325155.jpg部落出身だとされる有名人として、作家の故中上健次氏と政治家の野中広務氏が知られており、この本でも二人のことに触れています。
魚住昭 『野中広務 差別と権力』は私も読みましたが、いかにして野中氏が総理一歩手前まで這い上がっていったかを赤裸々に語ったとても面白い本でした。それと比べると、本書は相当あっさりしている感があります。これは著者がいうように、「あまり差別を受けた経験がない」からなのでしょう。

いずれにせよ、本書が新書として出るということは、時代が変わってきた証拠であり、執筆活動や講義を通じて差別をなくしていこうとする著者の今後の活動に期待します。
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by bibliophage | 2005-12-25 23:05 | 新書
『扉は閉ざされたまま』 新しい探偵小説の形
d0018433_9331150.jpg著者:石持浅海 
書名:扉は閉ざされたまま
発行:祥伝社
緊迫度:★★★★★

このミステリーがすごい2006年版、第2位!

大学のサークルの同窓会が成城のペンションで開かれた。集まったのは、伏見、新山、安東、石丸の男4人と五月、礼子、優佳の女3人。盛り上がった会の最中に、密室殺人が起きる。完璧と思われた計画だったが、扉について呈された疑問から歯車が狂い始める。

これは面白い。「このミス」2位納得です。
同1位の 『容疑者Xの献身』 と同じく倒叙形式で、探偵役が犯人を論理的に追い込んでいきます。手に汗握る心理的攻防戦が、二人の間で繰り広げられます。
三人称と犯人の一人称を交互する文体が、緊迫感を盛り上げて、ページをめくらせます。その結果、犯人に感情移入するという不思議なことになってしまいます。

動機については少しナイーブだと思いましたが、それを気にさせない展開の見事さでした。
ラストの閉め方もユニークだと思いました。
新しいテイストの探偵小説の誕生という感じです。
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by bibliophage | 2005-12-21 09:36 | ミステリ-
疑惑の韓国ES細胞論文
ソウル大学黄教授のヒトES細胞についての論文が、でっちあげである疑惑が報じられました。 →asahi.com

そもそもES細胞とは、発生初期の細胞で、無限に増殖し、どんな細胞にもなり得る(=多分化能を持つ)もののことです。
(→・ES細胞とは) 
1981年にマウスではじめてつくられ、ブタ、サルと来て、1998年ヒトでも作製されました。この時は、体外受精で余った受精卵からES細胞を作っています

黄教授の場合は、未受精卵の核を抜き、そこに患者の皮膚細胞の核を入れ込んでいわゆるクローン胚を作って、そこからES細胞を作ったことが画期的だったわけです。
このES細胞は、多分化能があるため、その患者に必要な臓器の細胞(神経細胞など)を(拒絶反応がない形で)作りだすことが理論上可能であり、再生医療の発展に大きな寄与をした、と考えられていました…最近までは。

クローン胚は、胎盤に入れるとクローン人間の誕生につながるため、キリスト教の影響が強い先進国中心に厳しい研究の制限が設けられてきました。韓国はこの制限を大幅に緩和して進めた結果、すなわち倫理無視で抜け駆けで突っ走ったことで、この分野で独走することができた…ハズでした。

そのES細胞自体が実は存在していなかった(または途中で使い物にならなくなった?)らしいです...orz

国民的英雄の失墜で韓国の受けた衝撃は大きく、「国辱の日」と言われています。
きっと、netで嫌韓厨の韓国叩きが吹き荒れたことでしょう。

とはいっても、日本でも同様の論文疑惑は多数報じられています。
(→阪大の例。 他にも東大工学部 RNA 関連 ) 
競争の激しい最先端の科学の世界では、どこの国に限らず、起こりえることなのです。

・ES細胞疑惑について詳細なblog↓
   end-point     幻影随想
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by bibliophage | 2005-12-17 02:39 | ニュース関連
『砂漠』 新たな青春小説に感動…なんてことは、まるでない。
d0018433_122215.jpg著者:伊坂幸太郎 
書名:砂漠
発行:実業之日本社
青春度:★★☆☆☆

伊坂氏の一年半ぶりの書き下ろし長編。

仙台の国立大学に入学した僕(北村)。僕には、遊び好きの鳥井と愚直な西嶋という友人ができた。僕らは、無口で超能力を持つ南、クールビューティーの東堂の二人の女性となぜか麻雀を打つ。僕たちはその後、ある事件に巻き込まれ、鳥井が大怪我をする。

う~む。期待して読むと大きくはずれると思います。
大学の新入生の話というのは、非常にありふれた題材であって、そこを伊坂氏がどう料理するかが見物。しかし、最初の「春」の章では何も事件は起きないし、謎も提示されません。

キャラクターはそれなりに立っています。西嶋に存在感があって、行動の意外性が面白い。しかし、モデル並の容姿の女性がこういう変な男に惹かれる、という設定がまた漫画的というか、よくある話だと感じられました。
「夏」の章から事件が起きていきますが、常に話は淡々と流れていきます。最後に鳥井の活躍する場面でようやく盛り上がりが見られました。

相変わらず文章は軽やかでノリがいいのですらすらと読めます。ですが、全体的にはTVドラマのノベライズといった印象でした。
直木賞候補だった伊坂氏、こんな調子で大丈夫でしょうか?
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by bibliophage | 2005-12-16 01:07 | その他小説
『誰のための綾織』 Part2 無断引用?はたまた剽窃?
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(今回の盗作疑惑事件の経過)
1. 1973~81年 三原順氏「はみだしっ子」シリーズ「花とゆめ」に連載。
2. 1995年 三原氏 病没。

3. 2005年5月 飛鳥部勝則氏『誰のための綾織』原書房より出版。

4. 7月2日 blog 「万華鏡日記」にて「引用疑惑」についての記事。
これがnet上では初めての指摘と考えられている。

5. 9月25日 上記とは別に「類似点」に気づいた某氏が出版社にメール。
6. 10月22日 某氏、net上に「類似点」を公開

7. 11月7日 原書房、絶版のお知らせ。
8. 11月8日 ニュースに流れる。
(飛鳥部勝則さんの小説「漫画と類似」 絶版・回収に)asahi.com
原書房(東京都新宿区)は7日夜、同社が今年出版した飛鳥部勝則さんの小説「誰のための綾織(あやおり)」の中に、故・三原順さんの漫画「はみだしっ子」(白泉社)に類似した表現が十数カ所あったとして、「誰のため~」の絶版・回収を決め、同社のホームページにおわびを掲載した。
9月に、読者からとみられる指摘のメールが同社に届き、社内で調査し、飛鳥部さんにも確認した。ホームページには「素材カードに該当部分が紛れ込んでしまった」との著者の見解を載せた上で、「『許可を得ずに一部表記を引用した』と判断した」としている。

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この記事では「万華鏡日記」さんの指摘箇所のうちのいくつかを、右「はみだしっ子」左「~綾織」の対比で示します。

こういった「類似」が10数箇所以上。細かい表現を変えてはいますが、これはもう明らかですね。「素材カード」云々の言い訳も虚しい…。さらに最近、本人の無反省なコメントがupされたのにはあきれました。

「~綾織」の最初の部分には、作家飛鳥部氏のことばとして、
もう創作意欲など、どこかへ吹き飛んでしまいましたし
の記述がありました。これは非常に象徴的なつぶやきに思えます。
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by bibliophage | 2005-12-13 01:26 | ミステリ-
『誰のための綾織』 Part1 本格の最果て
d0018433_21372671.jpg著者:飛鳥部勝則 
書名:誰のための綾織
発行:原書房
本格度:★★☆☆☆

盗作騒ぎで絶版になったので図書館で借りました。

編集者が作家の飛鳥部と話をしている。そこから教え子の書いた作品「蛭女」の話に入っていく…。
「私(鹿取モネ)は高校の友人(由香里、智子)や教師とともに誘拐され、小島に連れてこられた。その島には、以前自殺した同級生(瞳)の父親と兄がいた。そして連続殺人が起きるが、犯人はいったい誰なのか?」

最初の会話の部分でミステリーの禁じ手の話になり、それが伏線?にもなっています。
それにしても、ここまでやらないと新味がでないとなると、本格も行き着くところまで行ってしまったのだなあ、と思います。

作中作の「蛭女」は、おどろおどろしさやスプラッター部分に見るべき点があり、また飛鳥部氏の文章は非常に読みやすいと思いました。

しかし、このオチは大概の読者が「何じゃそりゃ」と思うでしょうし、ひょっとすると壁に投げつける人もいるかもしれません。最初から最後までミスリードとも言え、カタルシスは得られないのではないかと危惧します。

ちなみに「綾織」は「文章を紡ぐ」の意味で、タイトルも伏線の一環と考えられます。

なお盗作疑惑の部分はあらすじと密接には関係しません。それに関してはPart2で。
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by bibliophage | 2005-12-11 21:41 | ミステリ-
サッカー:ワールドカップ組み合わせ決定!
d0018433_1684973.jpgサッカーのワールドカップドイツ大会の1次リーグ組み合わせ抽選会が、日本時間10日早朝ドイツで行われました。

組み合わせ A~H組

うわぁ、ブラジルといっしょか~。あとの2チームも強いし、厳しいですねぇ。

ブラジル戦のみ、監督をガンバ大阪の西野氏に交代し、ひたすら守る。
フォワードは平山のワントップでMFは中田と中村の二人だけ、
あとはひたすら守備をする。申し訳程度にカウンターはする。
何とか最少失点に食い止める。

オーストラリアに辛勝し、クロアチアと引き分けて、1勝1敗1分けで
何とかならないものでしょうか。
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by bibliophage | 2005-12-10 16:15 | スポーツ