ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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トリノ五輪: フィギュア荒川選手の金メダルをめぐる諸報道
d0018433_1415063.jpg荒川静香選手の演技は素晴らしかったですね。
あのスルツカヤ選手でも緊張して失敗するとはびっくりでした。

金メダルをめぐる報道にも面白いものが色々ありました。

1. NHK刈屋アナの名調子: 
トリノのオリンピックの女神は荒川静香にキスをしました」なんてよく考えましたね。きっと銀メダル・銅メダルバージョンも用意されていたのでしょう。

2. 荒川選手が強くなった理由: 
ライバルとお母さんの影響ですか。ふむふむ。

3. 米紙・ロサンゼルスタイムズの特集
思わずLA timesに登録し、特集ページを見てしまいました。日本をLand of Rising Stars(希望の星たちの国)として、真央ちゃんや恩田、中野両選手の存在にも言及しています。荒川選手のコメント:「(真央ちゃんは)オリンピックチャンピオンになれる能力はあるけれども、そのためには技術だけでなく運も必要」、に対して、somewhat cryptic(ちょっと曖昧な)と表現していました。アメリカ選手なら、「彼女ならチャンピオンになるわよ~。Definitely!」と答えるところなのでしょうか。

4. トーヨーライスの金芽米
最も驚いたのがこの宣伝。新聞スポーツ欄の下面に、荒川選手を使った大きな広告を載せていたのですが、SPの後ではキャッチフレーズが「金の芽がある」、フリー終了後の今朝は「金の芽輝く」だって!この会社の宣伝部の人は読みが凄過ぎる!!スケートの加藤条治も起用してたから、戦略が上手いんですね。

5. 村主選手も健闘 :
惜しかったですね。スルツカヤ選手が転倒したときは、銅メダルキタ~~~と思ったのですが…。それにしても五輪で連続入賞(5位、4位)はすごい実力です。三大会連続出場をめざしてもらって、次回バンクーバーでは是非悲願のメダルを!
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by bibliophage | 2006-02-25 14:22 | スポーツ
『陽気なギャングが地球を回す』 5月に映画が公開
d0018433_1125666.jpg著者:伊坂幸太郎 
書名:陽気なギャングが地球を回す
発行:祥伝社(文庫)
疾走度:★★★★★

伊坂氏の三作目が文庫化。

銀行強盗の四人組。人の嘘を見抜ける成瀬。演説好きで大ぼら吹きの響野。人よりも動物が大事なスリの久遠。精巧な体内時計を持つ雪子。そんな彼らが大仕事を終えた直後、別の事件に巻き込まれ、成果を横取りされてしまう。彼らはその金を取り戻せるのか?

これは面白いですねえ。
4人のキャラクターが立っていて、皮肉な会話の応酬がユーモアにあふれています。ところどころに謎が配置されて、徐々にそれが解かれていく。また伏線として出てくる変な品々、中から開けられない車やストロボなしで撮れるカメラなど、が最後に効いてくる。裏の裏を読みあう展開と最後のカタルシス感。
文句がつけられないデキの作品だと思いました。

銀行での響野のセリフ、「その通り!あなた方の現実に私たちはほんの少しだけ侵入したのです」が演劇調で最高に渋いと思いました。

同作者の『砂漠』は、読書の達人の間では高い評価を得ていましたが、私にはピンときませんでした。『魔王』辺りから失速しているのでなければいいのですが…。
それはともかく、本作の続編も出るようですし、伊坂氏の新作にはいつも注目しています。
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by bibliophage | 2006-02-25 11:08 | その他小説
『喜劇の手法』 客を笑わせる技術
d0018433_23514686.jpg著者:喜志哲雄 
書名:喜劇の手法 笑いのしくみを探る
発行:集英社
詳述度:★★★★☆

英米演劇の専門家による喜劇の分析。

「シェイクスピアなりモリエールなりという劇作家が、どんな手法を用いて観客を(または読者を)笑わせるかを吟味するのが、この本の主な目的なのである。(序より)」

変装、双生児、誤解、傍白、スラップスティック、パスティーシュ、夢など計23種類の喜劇的手法について、豊富な作品例を用いて、説明しています。
解説される喜劇の例としては、シェークスピア「十二夜」「間違いの喜劇」「じゃじゃ馬ならし」「尺には尺を」、オスカー・ワイルド「真面目が大事」、バーナード・ショー「ピグマリオン」、モリエール「守銭奴」、ジョルジュ・フェードー「自由交換ホテル」、ニール・サイモン「おかしな二人」、サミュエル・ベケット「ゴドーを待ちながら」、グレアム・グリーン「慇懃な恋人」、ゴーゴリ「検察官」、エドモン・ロスタン「シラノ・ド・ベルジュラック」などなどです。

有名な作品のあらすじをこれでもかと投げつけてくる本書はとても刺激的で、自分がいかに戯曲というものを知らなかったがわかりました。

「笑い」が生じるためには、事件からある程度の距離を保つことが必要で、劇においては、劇中人物には未知の情報(ある男の妻は不倫しているetc)を観客に与えることがおこなわれる、などという指摘も私には新鮮なものでした。

読み始めた当所は、各作品における欧米人の登場人物の名前が覚えにくく、説明がやや堅苦しいことで、若干苦労しましたが、この新書一冊に書き込まれた圧倒的な情報量には感嘆しました。
あとがきの最後がまたカッコイイです。
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by bibliophage | 2006-02-22 23:52 | 新書
トリノ五輪: カーリング 頑張ってますねぇ
d0018433_0142353.jpgこのまま日本のメダルなしで終わりそうなトリノ五輪ですが、ここにきて女子カーリングが盛り上がってきました。

実際の試合を見るまでは、「これのどこがスポーツなんだぁ…」と思っていましたが、日本の女子選手の頑張りをみて、前言撤回。
「いやぁ、なかなか面白いスポーツじゃないかぁ!」に変わってきましたw。
見様によってはボーリングみたいでもあるし…。

ヨ-ロッパの屈強なオバサマ方に、線の細い大和なでしこ達が立ち向かう姿が絵になっています。

4強に残るのはかなり難しいですが、最終のスイス戦(あと3時間後)も強気に攻めて、持てる力を十分に発揮して欲しいものです。
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カーリング : 競技紹介
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by bibliophage | 2006-02-21 00:18 | スポーツ
『K・Nの悲劇』 タイムリミット・幽霊・サスペンス
d0018433_23563697.jpg著者:高野和明 
書名: K・Nの悲劇
発行:講談社(文庫)
娯楽度:★★★★☆

「13階段」の高野氏の三作目。

夏樹果波は幸せの絶頂にあった。フリーライターの夫の本がベストセラーになり、高級マンションに引っ越すことになったからだ。しかし、ここで果波は妊娠してしまう。夫の修平は、経済的理由から中絶を望んだ。するとその後から、果波にもう一人の人格が現れてそれを拒むようになった。これは精神疾患か、それとも憑依現象か?修平はその解明を、精神科医の磯貝に依頼した。

相変わらずリーダビリティが高くて、なかなか読む手が止まりません。
ポイントは、果波の状態は病気か霊障か、その一点です。純粋な精神疾患とする磯貝の意見と、霊のしわざだと思う自分の考えの間で、修平が右往左往するところが一番面白いところでしょう。
霊をビデオに収めようとしたり、真っ暗な神社の中を真夜中に歩いていったりするところは、かなり怖いです。

途中からタイムリミット・サスペンスになるところがまた上手い。元映画スタッフだけあって、この人の作品は本当にイメージが浮かんでくる面白さです。
最後がこういう感じで終わるのは、個人的にはあまり好きではありませんが…。

一種のホラー小説を、母性の問題と真面目に絡める、というのもなかなかできることではありません。超一流のエンターテインメント作家だと再認識しました。
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by bibliophage | 2006-02-18 23:58 | ミステリ-
『陰陽道とは何か』 安倍晴明から風水まで
d0018433_7164654.jpg著者:戸矢学 
書名:陰陽道とは何か 日本史を呪縛する神秘の原理
発行:PHP研究所
錬金術度:★★★★☆

神道家の戸矢氏による陰陽道の入門書。

「中国の陰陽五行説を輸入し、そこに日本の古神道、その他を融合したものが陰陽道である。陰陽道には科学的側面と呪術的側面の二面があって、…サイエンスとオカルト…この両者の血縁が濃厚であることはは周知である。(本文より)」


陰陽道のなりたちから、いかに日本の生活・風習に影響を与えたかを含め、わかりやすく説明しています。
陰陽師の章では、晴明に加え、開祖として天武天皇を持ってくるのには、ちょっと驚きました。

鬼門というのは日本独自のタブーであり、平安京の東北には晴明の屋敷、下鴨神社、そして比叡山が配置されたということです。
また、早良親王ら6人の政治的に失脚した者の怨念の祓いとしておこなわれた御霊会が、祇園祭の起源だとは知りませんでした。

映画「陰陽師」で晴明が唱える呪文「急急如律令」や、五芒星のマークの意味なども興味深く読めました。
最近の風水ブームの批判として、「家の西の壁を黄色に塗ってもお金は全く入ってこない!」と言うのには笑いました。

現在にも残る陰陽道の影響力について、実感させてくれる新書でした。
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by bibliophage | 2006-02-16 07:17 | 新書
『SEの不思議な生態』 システムエンジニアの仕事とは…
d0018433_23565314.jpg著者:きたみりゅうじ 
書名: SEの不思議な生態 失敗談に学ぶ成功のための30か条
発行:幻冬社(文庫)
実用度:★★☆☆☆

元SEのきたみ氏による業界の苦労話。

「SEさんのお仕事はむちゃくちゃざっくばらんに言って「要求定義」「設計」「製造」「試験」「納品」という五つの段取りに分かれています。(本文より)」

SEという職種の仕事内容に興味があったので読んでみました。

感想としては、1. ある程度の雰囲気はつかめたけれどイメージが沸きにくい、
2. 漫画と文章で書いてあることがダブるので、内容の希釈感がする、
3. 最後の章「実用的…かもしれない仕事術」を最初にもってきた方がわかりやすい、といったところでした。
読者の「要求定義」に合うような「設計」の工夫がもう少し欲しい感じです。

しかし、SEには徹夜が付き物、プログラミング(製造)よりもその前段階が重要、納期を守る+仕様を守る+バグを出さないのがプロ、などというのは興味深い点でした。
また、SEといってもコミュニケーション力が重要、迷ったら紙という「アナログデバイス」に立ち返る、などというところは意外性がありました。

4コマ漫画だけを流し読みするのもいいかもしれません。
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by bibliophage | 2006-02-13 23:58 | 評論
『スープ・オペラ』 おいしい小説
d0018433_12504897.jpg著者:阿川佐和子 
書名:スープ・オペラ
発行:新潮社
ソープオペラ度:★★★★☆

エッセイスト阿川氏の長編小説。

主人公ルイは35歳独身。叔母であるトバちゃんとずっと二人暮らしを送っていた。でもある日突然、トバちゃんは彼氏ができて、家を出ることになった。それから一ヶ月、ルイは60台の画家トニーさん、若い編集者康介の二人と出会い、三人による奇妙な共同生活が始まった。

私は、インタビュアーとしての阿川さんの大ファンです。週間文春の対談「この人に会いたい」は必ず読みます。あのインタビューの魅力は、阿川さんの下調べの見事さと人間性の前に、相手の本質があぶり出されていく点だと思います。ちなみに今週は茂木健一郎さんでした。

さて本書ですが、場面場面で料理、特にスープがいろいろと出てきて、とても食欲をそそる内容でした。soap ならぬ soup opera なんて上手いタイトルですね。
主人公が受動的な性格のせいか、話は淡々と流れていく感じですが、トニーさん、康介、タバちゃんなどのキャラクターが面白く、すらすらと読めます。
一番魅力的なのはやはりトニーさんで、生き別れたルイの実の父親なのかという謎もあり、かつ「センセイの鞄」的な雰囲気も漂って、不思議な人物でした。

作品には作者の内面が少なからず反映されると思いますが、性格はいいけれど、ちょっと覚めている感じの主人公ルイはまさに阿川さんのイメージでした。登場人物が、俗物の小説家を含めて、結局は良い人として描かれるという点は、個人的には好みではありませんが、これも作者の世界観を反映しているのでしょう。

ほのぼのと温かい作品が好きな方にはおすすめできると思います。
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by bibliophage | 2006-02-11 12:54 | その他小説
『丑三つ時から夜明けまで』 ゴーストバスター・ミステリー
d0018433_028636.jpg著者:大倉崇裕 
書名:丑三つ時から夜明けまで
発行:光文社
本格度:★★★☆☆

このミス2002、2004にランクインした大倉氏の変化球的ミステリー。

「幽霊は一種のエネルギー体である。…どんな厳重に警備された所でも…入っていける。幽霊の手にかかれば、どの様な不可能犯罪も簡単に犯せてしまう。(本文より)」

いや、アイデアは面白いんですけど…。
5つの短編とも、出だしは本格風の殺人事件が発生。
密室犯罪で解決法がなくて、じゃあ犯人は幽霊だということになり県警捜査五課が召集される。五課の面々は、黒ずくめの警部補に加え、白装束、怪僧、人形を抱いた少女など、霊的能力を持つ異様な人物ばかり。
その後、捜査一課と五課が言い争ってトンチンカンな方向に行きそうなところを、強い霊感を持つ一課所属の主人公が、両課の板ばさみになりつつ、解決の方向に導いていくという構成です。

サクサクと読めるのですが、途中でちょっとワンパターンが辛くなってきます。幽霊の捕獲の道具が、昔の「ゴーストバスターズ」と同じような吸引機というのも古臭い感じ。あと、五課のメンバーのキャラと行動も、七種警部補以外は淡白な印象を受けました。
ただ、大幅に加筆したというだけあって、5つ目の「最後の事件」では、少し趣向が凝らされていました。

このミス2004で14位だった『七度狐』は未読ですが、読むべきなのかどうなのか…。
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by bibliophage | 2006-02-09 00:29 | ミステリ-
『信玄』 戦国の巨星
d0018433_141810.jpg著者:横山光輝、(原作)新田次郎 
書名:信玄 (風・林・火・山・終の5巻)
発行:講談社(コミックス)
激闘度:★★★★★

歴史漫画の巨匠、故横山氏が描く武田信玄の生涯。

<信玄年表>
1521 誕生。
1541 父信虎を甲斐から追放。信玄堤を造り始める。
1546 勝頼生まれる。黒川金山採掘。
1547 甲州法度制定。
1552 信濃制圧。
1553 謙信と第1回川中島の戦い。
1559 剃髪し信玄と号す。
1561 第4回川中島の戦い。軍師山本勘助死す。
1568 駿河侵攻。
1569 三増峠で北条軍を破る。
1570 労咳悪化。
1572 三方ヶ原の戦いで家康を撃破。
1573 京都上洛の途中で病状悪化し、甲斐への帰路にて没す(53歳)。

いやあ、素晴らしい。
横山氏の歴史漫画といえば、「三国志」があまりにも有名です。私も何回も読みました。読み出すと止まらなくなります。
このコミックスは、1988年のNHK大河ドラマで中井貴一主演の「武田信玄」に合わせて描かれたとのこと。この度、ペーパーバックスとして再刊となり、コンビニで売られていました。

信玄がいかに戦い巧者だったか、内政の手腕も抜群で、英雄色を好むを地で行く姿も含めて魅力的に描かれています。横山氏の漫画は、男性も女性も存在感があって、あたかも動いているような印象を持ちます。
d0018433_143671.jpg家康を破ったところは圧巻で、以後家康は武田軍とは単独では戦いたがらなかったといわれています。それにしても、上洛途中で結核で倒れたのは残念でした。京都の信長は気が気ではなかったことでしょう。

正月のTVドラマで信玄の軍師である山本勘助の話が流れていました。また、来年の大河ドラマも勘助が主人公とのこと。おそらく信玄と勘助のブームが起きるのではないでしょうか。
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by bibliophage | 2006-02-06 01:44 | 漫画