ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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追悼 米原万里さん
d0018433_22563744.jpg・ 作家でロシア語通訳者の米原万里さん死去: yomiuri online

エッセイストとしても活躍中でしたが、5/25卵巣ガンで亡くなられました。
週間文春で連載中の読書欄で、ご自身ガン治療中ということが書いてあって気になっていましたが、それにしても早い転帰でした。

私が以前読んだのは 『ガセネッタ&シモネッタ』 (文春文庫)。
通訳仕事を通してしこんだ笑い話風エッセイや対談などの内容です。
以下の小噺が受けました。

「サンドイッチのこと韓国語で何というか、知っていますか?」
「…外来品だから、サンドイッチって言うんじゃないの?」
「ハムハサムニダって言うんです」

また 『フィネガンズ・ウェイク』 の訳者柳瀬尚紀氏との対談で、

「マリアの処女懐妊は誤訳だった。ヘブライ語で「正式な結婚をせずに子供を産んだ」という意味だったのに、ラテン語にその概念がなかった」
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と書いてあったのも印象的でした。

ユニークな存在であった米原さんを失ったのはとても残念です。
ご冥福をお祈りします。
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by bibliophage | 2006-05-29 22:58 | ニュース関連
『ワイルド・ソウル』 打倒ブラジル!
d0018433_11232476.jpg著者:垣根涼介 
書名:ワイルド・ソウル(上・下)
発行:幻冬社(文庫)
迫力度:★★★★★

垣根氏の最高傑作、文庫化。

<1961年、日本からブラジルへの移民船に衛藤は乗っていた。バラ色のうたい文句とは逆に、アマゾン奥地は農業には不適なジャングルだった。入植者たちは次々に感染症で死んでいく。そこを逃げ出した衛藤は後年、その地で生まれたケイ、松尾らとともにある計画を実行する。>

確かにこれは文句なしに面白かったです。
前半はドキュメンタリー風、南米移民たちの悲惨過ぎる生活の話。後半は、エンターテインメント犯罪小説。スケールが大きい話ですねぇ。

特に前半の移民生活。綿密な取材によって、ブラジルの情景が浮かび上がってくるような見事な描写になっています。衛藤らが苦労に苦労を重ねる様は、読んでいるのが辛いほどの臨場感。彼らといっしょになって、外務省の棄民政策とブラジル政府の対応のひどさに腹が立ちました。こんな国にサッカーで負けてはいけませんw。

後半も、女性記者貴子とケイのラブストーリーをからめた痛快な復讐劇が炸裂します。松尾が首都高を改造車で爆走する描写は凄い迫力。ニュース製作の現場、警察の人質救出作戦なども真に迫っていました。

完全にブラジル人気質のケイが魅力的で、映画化であれば金城武しかいないだろう、と思いました。
ちょっと後味良く作り過ぎの感じですが、前・後半で2作分楽しめるので、不満はありません。
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by bibliophage | 2006-05-27 11:25
『史記』 その3 項羽と劉邦
d0018433_7464721.jpg著者:横山光輝 
書名:史記 第5巻
発行:小学館(コミックス、My First WIDE版)
竜虎相打度:★★★★★

「史記」に基づく横山氏の中国歴史漫画。

第5巻「項羽と劉邦」:

秦の暴政に対して各地で反乱が起きる。楚の名将の子孫で、叔父の項梁とともに旗揚げした項羽。農家に生まれ酒色が好きで、なぜか人に好かれる劉邦。楚王懐の指示で二手に分かれて秦の関中を目指す二人。軍師張良らの力を借りて首都に先に入った劉邦だったが、勢力が上だった項羽にNO.1の地位を譲り、僻地蜀の王となる。秦は滅亡したが、項羽の領地配分に不満を抱くものも多かった。劉邦は韓信を得て、項羽打倒のための東進を開始した。

2mを越す巨漢で勇猛で名をはせた項羽。軟弱者の女好きなのになぜか名将が集まる劉邦。
2人の特徴を対照的に描いて、その戦い方も対比させます。力に物を言わせ、降伏した者も殺した項羽。なるべく戦いを避けて軍を進め、周りの者の話に耳を貸した劉邦。結局は、人徳の差ということになるのでしょうか。

劉邦が項羽に面会し、なんとか殺されずに戻った 「鴻門の会」。昔、漢文の授業に出てきたことを思い出しました。

故事成語は「国士無双」。麻雀の役でもおなじみで、天下に比類なき人物、の意。劉邦の天下統一になくてはならなかった大将軍、韓信がこう呼ばれました。彼は後に悲運の生涯を送ることになるのですが…。
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あばうと麻雀より)
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by bibliophage | 2006-05-24 07:57 | 漫画
『無痛』 メディカル・ノワール
d0018433_1194284.jpg著者:久坂部羊 
書名:無痛
発行:幻冬社
暗黒度:★★★★☆

大阪大出身の医師・作家久坂部氏の三作目。
覆面作家かと思っていたら写真が載っているblogがありました。

<神戸の閑静な住宅街で、一家4人を襲った凄惨な殺人事件が起きた。その近くで粗末な診療所を営む為頼と、先端医療の病院の院長で天才外科医の白神。二人の対照的な医師に共通する点は、患者を診るだけで余命がわかる力だった。臨床心理士の菜見子、その元夫でストーカー行為を続ける佐田、そして白神の患者で痛覚が先天的に欠如した伊原。彼らの間の複雑な関係によって、新たな事件が発生していった。>

またもや衝撃作登場。
私はこういうのも好きですが、一般的にオススメかは疑問w。
同じ医師作家でも『チーム・バチスタ…』の海堂氏なら、久坂部氏は明らかに。この作品からも、オドロオドロしさが立ち昇ってきます。
途中に「カタルシス」を通り越してしまうエグい場面が登場しますので、要注意。この辺が作者の真骨頂でもあるのですが…。

為頼と白神。二人の医師の超診断力はなかなか面白い発想なので、その力比べになるのかと思うと、さにあらず。
最大のインパクトは無痛症のキャラ伊原でした。ちょっと『脳男』を思い起こしました。忘れられない名文句…「時間です」。

医学ミステリーとして、保険の混合診療の問題や刑法39条の心身喪失の問題なども作品中に取り上げています。特に後者は、メインプロットの一つ。
しかし、「生来犯罪者説」や「犯罪者に共通する外見的特徴」はさすがにアウト・オブ・デートで、小説とは言え、かなりつっこまれそうな所だと思われます。
triviaとして、「為頼は亡き妻のガンをなんでもっと早期に見つけられなかったんじゃ!」と書いておきます。超診断力の限界なのか?

厚い本(508ページ)ですが、すらすらと読めました。リーダビリティの高さはさすがです。最後が to be continued になっており、ターミネーターは帰って来そうです。怖っ…。
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by bibliophage | 2006-05-22 01:23 | ミステリ-
『ヒルズ黙示録』 空前のマネーゲーム
d0018433_042279.jpg著者:大鹿靖明 
書名:ヒルズ黙示録 検証・ライブドア
発行:朝日新聞社
詳述度:★★★★★

アエラ記者によるライブドア事件の全貌。

「互いに刺激しあって、天まで届けと高みに登り続ける六本木ヒルズの競争は、もはや自分たちでは止められない自己肥大化…。堀江、三木谷、村上、そしてリーマン・ブラザースにゴールドマン・サックス。(本文より)」

この本は読む価値があります(厚いけど)。
これを読むまではライブドア事件のことは何も知らなかったと言っても過言ではありません。

関係者の綿密な取材を通して、浮かび上がるライブドアの「自社株食い」の手口。
また、ライブドア対フジテレビの息詰まる攻防が、まるで実況中継のように書かれており、経済小説を読んでいるようでした。

堀江や三木谷も凄いが、彼らを巧みにそそのかし、その上前をはねる村上世彰こそが、最も恐ろしいやり手であることがよくわかります。

ニッポン放送株買収において、戦術を考え、何百億といった金を動かしたのが、ライブドアの20代二人、塩野と熊谷、だったのもびっくりしました。

自分の想像をはるかに超えるマネーゲームに目が点になるばかりでした。

本書の感触では堀江・宮内らは大きな罪には問われない模様です。
彼ら無きあと、USENが大株主となった新生ライブドアはどこへいくのでしょうか?
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by bibliophage | 2006-05-21 00:48 | 評論
Google Earth の使い方
グーグル完全活用本』などで紹介されていたGoogle Earthはかなりの面白モノです。
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1. Google Earth のHPへ 
2. 右上のGet Google Earth から free version をdownload
3. Google Earthを開く
4. 地球儀が出てくる(←)ので、左dragで見たい地域を画面の中に
5. 南北軸は下の操作盤の渦巻き矢印で合わせる
6. 場所をWクリック(または操作盤で+)すると拡大される
7. 自分の住まいを探してみるetc
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まさに湾岸戦争でのピンポイント爆撃のイメージです。
もちろんリアルタイムではありませんが、結構詳しい所まで見えます。(場所によって解像度は異なります。)
Sightseeingで、紫禁城やGrand canyonにも飛びます。画面を左クリックして投げるように離すと、飛行機からのviewのように移動していきます。
Google 恐るべし。 (新宿副都心↑・皇居↓)
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by bibliophage | 2006-05-20 13:23 | その他
『陽気なギャングの日常と襲撃』 ギャング失速
d0018433_21594592.jpg著者:伊坂幸太郎 
書名:陽気なギャングの日常と襲撃
発行:祥伝社
カタルシス度:★★★☆☆

銀行強盗の四人組シリーズ2作目。

<公務員の成瀬、喫茶店主響野、スリの久遠、車泥棒雪子。銀行強盗の四人組がまたまた色々な事件に巻き込まれる。屋上の人質、幻の女、誘い主不明のチケット、借金まみれの男。これらが微妙につながりつつ、社長令嬢誘拐事件へと進展していく。>

伊坂作品なら手放しでほめるファンの方は多いでしょうが、この作品はどうか?

4人のキャラクターが立っていて、特に響野と久遠の皮肉な会話バトルは相変わらず面白い。
多くの伏線が配されていて、気の利いたことわざの使い方が軽妙です。第1章はなかなか良いペースで進み、期待が高まります。
ですが、第2章以下段々とテンポが悪くなっていきます。
会話が笑えない漫才のようになり、展開が無理やりの予定調和風になっていきます。

この理由は著者あとがきに書かれているように、最初の4短編を無理につなげて、話を追加して長編にしたからだと思われます。出版社の意向に従わざるを得なかったのでしょうか?少なくとも第1作のダイナミックな疾走感はないと感じました。

珍しく厳しい批評となっていた「活字中毒日記!」さんの記事に思わずうなづいてしまいました。

で、「幻の女」はいったいどうなったのでしょうか??
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by bibliophage | 2006-05-17 22:02 | その他小説
W杯メンバー速報!
d0018433_14294483.jpgとりあえずきわどい所だけ

DF:○中田浩二       X茂庭
MF:○遠藤          X松井
FW:○玉田  ◎巻!!  X久保

巻選出、久保アウトがビッグサプライズでしたね。

・ サッカーW杯登録メンバー23名
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by bibliophage | 2006-05-15 14:30 | スポーツ
どうなる、W杯日本代表?
d0018433_12274760.jpgキリン杯も終わり、いよいよ5/15、サッカーW杯行きメンバーが発表されます。
まぁ、ほとんど決まっているようなものですが、はたしてサプライズはあるのでしょうか?

◎:本番レギュラー ○:23人入り確実 △:ギリギリセーフ ▲:ギリギリアウト とした常識的予想(↓)。

・GK(3枠決まり)          
◎川口 能活 30 磐田  ○楢崎 正剛 29 名古屋  
○土肥 洋一 32 FC東京  

・DF(5枠決まり あと2~3)        
◎宮本 恒靖 29 G大阪  ◎三都主アレサンドロ 28 浦和
◎中沢 佑二 28 横浜 ◎加地  亮 26 G大阪  ○田中  誠 30 磐田
△坪井 慶介 26 浦和 △駒野 友一 24 広島
  ▲茂庭 照幸 24 FC東京  
   松田 直樹 29 横浜

・MF(7枠決まり あと1~2)         
◎中田 英寿 29 ボルトン  ◎中村 俊輔 27 セルティック  
◎福西 崇史 29 磐田 ◎小笠原満男 26 鹿島  
○小野 伸二 26 浦和
○稲本 潤一 26 ウェストブロミッジ ○松井 大輔 24 ル・マン
△遠藤 保仁 26 G大阪
  ▲中田 浩二 26 バーゼル
   本山 雅志 26 鹿島  阿部 勇樹 24 千葉  長谷部 誠 22 浦和

・FW(4枠決まり あと0~1)            
◎久保 竜彦 29 横浜 ◎高原 直泰 26 ハンブルガーSV
○大黒 将志 25 グルノーブル ○柳沢  敦 28 鹿島
△玉田 圭司 25 名古屋
  ▲巻 誠一郎 25 千葉  
   佐藤 寿人 24 広島  鈴木 隆行 29 レッドスター

GKはいいとして、DFは4バックで各ポジションに2人ずつとすると8人。茂庭が微妙です。体格的には松田に出て欲しいところですが、短気な人間はダメですねw。
MFはキリン杯でこき使われた遠藤はギリギリセーフでしょう。4人X2で8人。スポニチでは中田浩二が当確になっていたのですが、ちょっと厳しいのでは。
FWは、キリン杯で玉田が長く使われていたので、彼までの5人。巻がスコットランド戦で2点くらい入れていたら逆転していたのでしょうが…。誰が選ばれてもいいから、枠の中に蹴って欲しいw。

残念ながら日本の決勝トーナメント進出は20%くらいの確率でしょう。豪に2点差以上で勝ってクロアチアになんとか引き分け、豪対クロアチアが引きわけか豪1点差勝ちくらいしか可能性ありません。ラッキーボーイの出現に期待しましょう。

もちろん日本には頑張って欲しいですが、世界中の国がガチンコで戦ったときの痺れるような真剣勝負とスタープレーヤーのスーパープレーが見られれば満足です。
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by bibliophage | 2006-05-14 12:38 | スポーツ
『ウェブ進化論』 Web 2.0の衝撃
d0018433_10455892.jpg著者:梅田望夫 
書名:ウェブ進化論 -本当の大変化はこれから始まる
発行:ちくま新書
見通し度:★★★★★

ITの現在と未来を語るベストセラー。

「Web 2.0の本質とは…「ネット上の不特定多数の人々(や企業)を…能動的な表現者と認めて積極的に巻きこんでいくための技術やサービスの開発姿勢」…と考えている(本文より)」

ベストセラーには絶対読むべきものから、全くどうでもいいものまでが存在しますが、この本は前者だと思います。

まず三大潮流として「インターネット」「チープ革命」「オープンソース」を提示しています。「チープ革命」はIT機能のほとんどが低コストで手に入ること。「オープンソース」は、リナックスのように、ネット上にソフトのプログラムが無償公開され、世界中で自由にその開発が行われること、です。

それらの潮流のど真ん中を猛スピードで走っているのがグーグル社というわけです。グーグルはヤフーと違って、検索を人の手を介さずにおこなう「新時代の情報発電所」であるとしています。

また、アマゾン社の売り上げの1/3を占めるのが、リアル書店では売れ筋でない本であることをあげ、恐竜の頭(=ベストセラー本)・胴体(=売れ筋本)でない、ロングテールの部分の重要性を強調します。これが、ブログに代表される草の根総表現社会の構造と重なることを示しています。ブログの意義が強調されているのがいいですね。

とにかくITの未来に滅茶苦茶ポジティブな本ですが、これくらいでないと著者のようにシリンコンバレーで生き抜いていくことはできないのでしょう。著者が取締役となった「はてな」は要注目です。広範囲な人々を巻き込んでいくWeb 2.0 の流れに日本は乗っていけるのでしょうか。
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by bibliophage | 2006-05-13 10:50 | 新書