ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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映画「ミッション・インポッシブル3」を観てきました。
d0018433_7423947.jpgトム・クルーズ主演のアクション映画第3弾。

<IMFの教官になっていたイーサン・ハント(クルーズ)は、教え子の女性が誘拐された事件で現役に刈り出される。犯人で武器ブローカーのディバインをバチカンで捕らえたハントだったが、護送途中で身柄を奪回され、逆に新妻のジュリアを誘拐されてしまう。ディバインの出した条件は、48時間以内に暗号名「ラビットフット」なる品物を手に入れること。ハントは「不可能な指令」に挑むべく上海へ飛んだ。>

2時間があっという間の面白さでした。
監督がTV出身のせいか、小回りのきいた飽きない展開になっています。

2ヶ所の読唇術の場面、バチカンでの変装・入れ替わり、上海での「アホみたいな」高層ビルへの侵入方法、など見所満載。
また、ジュリアがナースであるところが最後に効いてくるところ、など細かいところもウマイですね。(ハリウッドのアクション映画は大雑把でシラケルことが多いのですが…)
「ラビットフット」がチャチだったのはご愛嬌で。

夏のストレス解消にぴったりでした。これを観て、M:i:Ⅱもレンタルしようと思いました。

映画HP
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by bibliophage | 2006-07-31 07:47 | 映画
『イッツ・オンリー・トーク』 セクシュアル無駄話
d0018433_874280.jpg著者:絲山秋子 
書名:イッツ・オンリー・トーク
発行:文芸春秋(文庫)
文章力度:★★★★★

「沖で待つ」で芥川賞を受賞した絲山さんのデビュー作。

<蒲田に引越してきた優子は、大学時代の友人で都議会議員の本間に出会う。そして、自殺しそうだったいとこの祥一を連れてきて、本間の選挙事務所で働かせる。他にネットで知り合ったうつ病のヤクザの安田や、大人の「痴漢」kさんと会ったりもする。>

久しぶりに流れるような文章を読みました。
読んでいて全くひっかからない。無駄な修辞がなく、かつストーリーもうまく流れていきます。

主人公のセックス観も、さっぱりしていて自堕落でもなく、いい感じです。
最大の発明は「痴漢」と称されるkさん。愛がないのに心がこもった指使い。
解説の書店員女史も絶賛していました。…「日本中の悩める女子に「痴漢」を。」だって!
今までの女流が誰も書けなかった存在でしょうね。

途中にはさまれる車やクリムゾンの音楽の話もいいですね。
最後はプログレ好きにはたまらないカッコよさでした。

「第七障害」は、馬から落ちて落馬した女の子のごく普通の話でした。
解説によれば作品は、絲山A:働く女性共感モノ、絲山B:精神破綻者モノ、と別れるようで、「沖で待つ」はA。個人的にはBの方に興味が湧きます。
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by bibliophage | 2006-07-28 08:10 | その他小説
『史記』 その5  前漢統一の後
d0018433_23334642.jpg著者:横山光輝 
書名:史記 第7、8巻
発行:小学館(コミックス、My First WIDE版)
骨肉闘争度:★★★★☆

横山漫画「史記」のフィナーレ。劉邦死して世乱れる。

第7巻「後継者争い」:

劉邦は前漢統一後、歴戦の部下を粛清した。韓信、彭越、黥布など。蕭何(しょうか)だけがなんとか最後まで生き延びる。劉邦死して後、実権を握ったのは皇后だった呂后。彼女は、劉邦の寵愛を独占した戚姫の手足を切断して復讐。呂氏一族は国を支配したが、陳平と周勃(しゅうぼつ)の働きで呂后死後2ヶ月で滅ぼされた。その後、漢には官僚が育ち始める。文帝を補佐した直言居士の袁盎(えんおう)、景帝の側近となった晁錯(ちょうさ)。しかし、晁錯のとった厳しい中央集権政策に対して呉楚七国が反乱を起こす。晁錯は殺害され、呉王の死によってこの反乱は鎮圧された。

第8巻「義に殉ずる」:

北方民族の話と史記に書けなかった人物たちの列伝。
秦の蒙恬によって追い払われた匈奴。前209年になり、冒頓(ぼくとつ)は父を殺して単于(ぜんう、=君主)となった。そして東胡や月氏を征服し、前漢に匹敵する一大国家を作り上げた。その後、漢朝では、7代の武帝が歴代の友好政策を放棄し、匈奴を追い詰めた。始皇帝をしのぐ領土を手にした武帝は、仙人になるための儀式「封禅」をおこなった。
恩義に対して命をかけて答えた晋の余譲と斉の聶政。遊侠の徒として活躍した朱家や郭解。法による厳しい取締りをおこなった漢朝の郅都、寧成、王温舒。杜周の厳しい裁きは武帝に気に入られ、副宰相にまで出世した。

やはり史記は、春秋戦国の時代や項羽と劉邦の頃が最も面白いですね。漢朝が成立してからは、粛清、内輪もめがひどいし、大きな人物が現れないしでもうひとつでした。
全体を通して、史記というのは「人物にスポットを当てて書く事で、歴史を生き生きと描き出している」という指摘を実感できました。人物描写ということでは、横山氏に勝る漫画家はいないでしょう。ぴったりの相性だと思います。

全巻通じて最も心に残った人物は韓信でした。
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by bibliophage | 2006-07-25 23:46 | 漫画
「AERA」特集 現代の肖像 ゴルゴ13
d0018433_139712.jpg雑誌AERA のインタビューに基づく人物紹介欄「現代の肖像」。
ここは現在のホットな人物が選ばれることが多く、必ず読むところです。
7/3号は下着通販会社社長:野口美佳、7/10号はサッカーの川口能活。

そして最新号(7/17)は、なんとゴルゴ13!?
あ、あのなぁ…。
さすがに漫画の主人公が取り上げられるのは初めてでは?

昔からちょくちょく読んでいたゴルゴ13ですが、記事によれば初回がなんと1968年11月。
「ビッグコミック」誌上に40年近くの連載が続いています。「こち亀」の両さん(1976年から「ジャンプ」連載中)もビックリですね。

ゴルゴの魅力は「清濁併せ呑む公平中立な価値観、殺人を続けてもぶれない自身の倫理観」だそうです。麻生外相が大ファンなのもうなづけます。

他に面白かった点は、
・ 業界の裏情報を話す人々を集めて作品の質を保っている、
・ ゴルゴには幼少時のトラウマに基づく右手の麻痺が時々表れる、
・ 作者のさいとう・たかをは最終回の筋をもう決めている!
などでした。

私の印象に残っているゴルゴ作品は、
・ 126巻「演出国家」:アフリカの新興国の大統領選挙の秘密、
・ ?巻「100人の毛沢東」:クローン毛沢東が中国全土に出現、
・ 70巻「ナイトメア」:アルゼンチンを裏切った男を捜せ、
などです。

いったいいつまで活躍するのか、デューク東郷?

・ ゴルゴ13 HP 
・ Wikipedia がやけに詳しかった。  
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by bibliophage | 2006-07-23 01:42 | 雑誌
『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』 裁判傍聴のノウハウ
d0018433_11122538.jpg著者:北尾トロ 
書名:裁判長!ここは懲役4年でどうすか
発行:文芸春秋(文庫)
人生ドラマ度:★★★★★

雑誌「裏モノJAPAN」に北尾氏が書いた傍聴記事をまとめた本。

<小さな事件だからこそクッキリと浮かび上がる犯罪ドラマ。人間関係ドロドロな骨肉の争い…ワイドショーなどとは比較にならないリアルさである。(「はじめに」より)>

これも面白かった。
誰でも可能な裁判の傍聴。この本を読めば、「裁判員制度」が現実になる前にその実態をのぞき見ることができます。

被告では、
・ ジャニーズ系のルックスの強姦魔
・ ドクロマークの服で「この度は申し訳ありません」と誤る交通事故で過失致死の被告(表紙絵参照)
・ 組長の退場時に、一斉に立ち上がって「アニキ、お元気で!」と最敬礼した組員たち などなど。

被告でない側では、
傍聴に女子高生が多いと裁判官が大いに張り切ったり、
やる気のない国選弁護人が鼻をほじったり、
著者の人間観察とその事件の描き出すドラマのユーモアあふれる解説が面白い。

できるだけ傍観者でいようとしても、つい感情移入する様子や、慣れてくるに従い、「この判決は4年」とか自分で予想がつくようになるところも興味深いところでした。

自分がいつあの被告の席につかないとも限らない」という著者の実感もわかるような気がします。
裁判というものをぐっと身近にしてくれる本でした。
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by bibliophage | 2006-07-22 11:15 | 評論
『きょうの猫村さん1、2』 ネコの家政婦!?
d0018433_161443.jpg著者:ほしよりこ 
書名:きょうの猫村さん1、2
発行:マガジンハウス
癒し度:★★★★☆

ブームになっているインターネット漫画。最近出たその2もベストセラー。

<猫村さんは、ネコなのになぜか家政婦。前の飼い主で海外に行った「ぼっちゃん」に会うことを目標に、今日も資産家の犬神家で働いている。この家の事情はちょっと複雑。愛人のいるご主人と浪費家の妻、就職活動中の大学生の長男に不良中学生の娘。家の奥には開かずの間があって、変な声が聞こえてくる。>

あまりに話題になっているので、読んでみました。

ネコが家政婦??というギャップにインパクトがあり、鉛筆で描いたゆるい絵と健気で人間的な?猫村さんのキャラが得も言えぬ癒し感を与えてくれます。
もろにステレオタイプな登場人物たちも、猫村さんとの対比で輝いてくるのが不思議なところ。
また、時々出てくるネコの習性;爪をとぐ、コタツで寝てしまうなど、が可愛く、ネコ好きにはたまらないのではないかと思われます。

ケーブルインターネットサービスで一日ヒトコマずつ進むというまったりした展開で、アクセスが限られるという希少感も、単行本の馬鹿売れ状態に拍車をかけているのでしょう。一冊1200円はそれにしても高いなぁ、と思いつつ3巻目が出たらまた読んでしまいそうです。

猫村さんのお試し画像
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by bibliophage | 2006-07-21 01:11 | 漫画
ダカーポ 特集 「芥川賞・直木賞を徹底的に楽しむ」
d0018433_10374186.gifちょっとご無沙汰していた雑誌ダカーポ。最近のネット事情を考えると、月2回発行だとどうしても、記事が古くなりがちでした。

しかし、今回はタイミング良い特集だったので、購入。読書好き必読の内容でした。

両賞の選考風景の写真は必見。料亭でコの字型に机を並べておこなうのですね。

高樹のぶこ(芥川賞)、北方謙三(直木賞)両選考委員の賞に対する考え方や町田康、石田衣良両氏の受賞体験を語る会談、なぜ村上春樹が芥川賞を取れなかったか?など興味深い記事ばかり。

選考当日、待機している候補者に「日本文学振興会です」と電話があれば受賞。「文芸春秋です」だと落選。悲喜こもごもの1日ですが、賞の有無で生涯賃金が2~3億違うとなれば皆必死になりますね。

今回の直木賞は、三浦しをんさん「まほろ駅前多田便利軒」、森絵都さん「風に舞いあがるビニールシート」でした。個人的には「砂漠」でなくて良かった。あれは伊坂氏の最高傑作とは思えないので…。「オーデュポンの祈り」を超える作品を書いて堂々ともらって欲しいと思います。

ダカーポHP  
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by bibliophage | 2006-07-17 10:43 | 雑誌
『プリンシプルのない日本』 カッコ良過ぎるジェントルマン
d0018433_13213534.jpg著者:白州次郎 
書名:プリンシプルのない日本
発行:新潮社(文庫)
直言居士度:★★★★★

最近ブーム化していて出版物が相次ぐ白州次郎。その彼が直接つづったエッセイ集。

「西洋人とつき合うには、すべての言動にプリンシプル(原則)がはっきりしていることは絶対に必要である。…残念ながら我々日本人の日常は、プリンシプル不在の言動の連続であるように思われる。(本文より)」

第二次大戦後の日本に、こんなカッコ良い人物が存在していたことにいたく感動しました。

1902年に兵庫の裕福な家庭に生まれた白州次郎は、青年期の9年間を英国で暮らし、ここでプリンシプルを持った考え方を身につけた。英国大使だった吉田茂と知り合い、45年の敗戦後外務大臣になった吉田を助け、占領軍相手の交渉を担当した。51年のサンフランシスコ講和条約締結時には、全権団として訪米。その後東北電力の会長を務めながら、政財界に対して厳しい提言を繰り返した。

凄いと思ったのは、国際情勢を良く知っていたため、42年に敗戦と食料不足を予測し、田舎に引越して農業を始めたこと。また、占領軍相手にも堂々と渡り合って自説を曲げなかったこと。
かと思うと、戦後の日本の繁栄は、アメリカの協力に負うところが多いことを素直に認め、「安保」なくしては日本の防衛は成り立たないことも書いています。さらに、学生運動に対しても「自分は同情的である」と語るなど、保守や革新といった立場でくくれないような、非常に論理的・客観的でまさにプリンシプルを体現したような人物です。

このようなさわやかな人物が現代の日本にいるでしょうか?少なくとも政治家にはいないでしょう。

是非、青柳恵介氏による評伝「風の男 白州次郎」も読んでみたいと思いました。
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by bibliophage | 2006-07-16 13:25 | 評論
『オシムの言葉』 壮絶、ユーゴ崩壊
d0018433_7232497.jpg著者:木村元彦 
書名:オシムの言葉 フィールドの向こうに人生が見える
発行:集英社
緊迫度:★★★★★

新しく日本代表監督となったオシム氏のサッカー人生。ベストセラーになっています。

<W杯で母国をベスト8に導き、ギリシアでカップ戦を制した名将が退団を表明するや、レアル・マドリード、バイエルン・ミュンヘンを筆頭にあまたのオファーが殺到した。(本文より)>

W杯での日本惨敗の直後、川淵氏の口すべり事件を機に、あっと言う間に決まったオシム監督就任。当時、書店は軒並みこの本の在庫がなく、図書館では予約28番目でした。7月に入って増刷されてやっと手に入りました。

この本はすごい!多くのインタビューに基づいた充実した構成。
東欧民族問題の専門ジャーナリストである木村氏入魂の作品といえるでしょう。

1990年W杯の初戦。セルビア、クロアチア、ボスニア、モンテネグロ、ムスリムという他民族からなるユーゴの代表監督であったオシムは、うるさい各国記者の意見どおりに攻撃タレント重視のオールスターメンバーで先発を組み、わざと(!!)負けてみせた、という。
記者らを沈黙させた以後は、適材を選んでベスト8まで進んだ。
なかなかできることではありません。

1992年4月にセルビア包囲戦が始まり、家族と会えなくなったオシム。彼は代表監督をやめ、ユーゴチームもヨーロッパ選手権会場スウェーデンから強制送還になってしまいました。

彼の言葉が含蓄を含んで直接的でないのは、このユーゴでのストレスフルな監督経験からきているようです。

今回のドイツW杯の対オーストラリア戦をみて、監督の能力にいかに差があるかよくわかりました。その上でこの本を読むと、オシム・ジャパンへの期待がますます高まります。最低な状況の現在の日本代表。オシムはここにやり甲斐を見出したに違いありません。

まずは誰が新生の代表に選ばれるのか。走って踊れる(?)選手とは?興味深々です。
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by bibliophage | 2006-07-13 07:26 | 評論
祝!W杯イタリア優勝
d0018433_78574.jpg
すごかったですね~、ジダンの頭突き
ボールだけでなく、相手の胸板にも強烈なヘディング。
デフェンスにしつこくマークされ、その後も言い合いの果てに一撃!マテラッツィ完全にKOです。(彼が何と言ってジダンを挑発していたのかは興味があります。「このド移民野郎」かな?)
自分で直接見ていなくてもレッドカードを出した主審は素晴らしかった。
扉は壊すし、晩節を汚したとんでもない破戒僧でした。

d0018433_782488.jpg守備重視で退屈なフランスチームが勝ちあがったことに憤っていたので、PK戦であってもイタリアが勝って喜んでいます。

マン・オブ・ザ・マッチはブッフォンでなく、マテラッツィに進呈したい。最初にフランスにPKを与え、次にはお返しにヘディングでゴール、さらにジダンを退場させ、PK戦でもゴールを決めましたから。

さて、長くて短かったW杯も終了しました。今夜からゆっくり眠れそうです。
今後はオシム・ジャパンに期待したいところです。まず、彼についての本を読み始めました。
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by bibliophage | 2006-07-10 07:01 | スポーツ