ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『ロマンチックウイルス』 何故にヨン様
d0018433_2392293.jpg著者:島村麻里 
書名:ロマンチックウイルス ときめき感染症の女たち
発行:集英社
ミーハー度:★★★★☆ 

韓流ブームが巻き起こった理由、その総合的分析。

「感染者は、従来のおとなミーハーのペースよりも明らかに速いスピードで、熱狂と妄想の花園へと、よりディープにのめり込むようになっている。わたしはそう見ています。(本文より)」


とてもわかりやすくて納得しました。「ロマンチックウイルスの感染」というキャッチフレーズが上手いですねぇ。

2004年の『冬のソナタ』とペ・ユンジュンから始まった韓流の熱狂。それも、今までと違った中高年女性の異常なのめり込み。いったいどうして起きたのか?

著者によれば、これだけアウトブレイクした理由は以下の如し。
1. TVで簡単に見ることができた。
2. 韓国の国家的バックアップ。
3. ミーハーの初心者が多かった。
4. マスメディアのすり寄り。
5. 甘くソフトで程よい古臭さ。
6. ネットでお仲間が見つかりやすい。
7. 中高年女性は今まで性的に抑制されてきた。…などなど。

一方、筋金入りのミーハーである著者(中年女性)は今回のブームに乗ることはなかったとのこと。

とにかく、このブームは「安全な妄想の上に成り立つ性的欲求の解放」ということのようです。そう考えると、たとえ妻がウイルスに感染したとしても、夫もちょっと安心できるかもしれませんね。多少、お金はかかるかも知れませんが。
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by bibliophage | 2007-03-24 23:20 | 新書
『夏季限定トロピカルパフェ事件』 小市民シリーズその2
d0018433_20484810.jpg著者:米沢穂信 
書名:夏季限定トロピカルパフェ事件
発行:東京創元社(文庫)
諧謔度:★★★★☆

『春季限定いちごタルト事件』(未読!)の続編。

<波風の立たぬ小市民的生活をめざす高校生、小鳩常悟朗と小山内ゆき。高2の夏休み、ゆきは「スイーツセレクション・夏」と称する甘いものめぐりに常悟朗を誘う。ゆきの真意を測りかねながらもそれに付き合う常悟朗。そして2人は薬物乱用事件と誘拐事件に巻き込まれていく。>

『犬はどこだ』の前の肩慣らしに読んでみました。

日常の小さなできごとを大マジメに本格推理する1章は笑いました。シャルロットを1個多く食べたのを隠そうとして、ゆきに見破られる常悟朗。
ライトノベルの限界に挑戦する作品という感じか。

2章の地図暗号の話が最後に効いてくるという構図も面白い。
そして最終章で「スイーツセレクション」の目的が判明!いやはや手練のあざとさですねぇ。
最後のゆきの独白の必要性はちょっとわかりませんが。

どうしても推理好きの本質がでてしまう常悟朗とゆきには、小市民的生活は難しそうです。
全体的には、こういうのもアリなんだ、と納得させられました。なかなか面白かったです。
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by bibliophage | 2007-03-18 20:51 | ミステリ-
『鴨川ホルモー』 ホルモーって何?
d0018433_733121.jpg著者:万城目学 
書名:鴨川ホルモー
発行:産業編集センター
奇想度:★★★★☆

第4回ボイルドエッグス新人賞受賞作。

<2浪の末京大に合格した俺(安倍)は、京大青竜会なるサークルの飲み会に誘われる。そしてそこで出会った早良京子に一目ぼれし、たまたま知り合った高村とともに例会に出席するようになった。あるとき、そのサークルの活動目的が明らかになった。それは4大学対抗の「ホルモー」に参加することなのだ。>

いやぁ、発想の勝利ですね。対抗戦の「ホルモー」という語感も何やら怪しげでよろしい。

途中までは、『太陽の塔』と同じやん、と思っていましたが、ホルモーが何かわかってからが面白い。あるものを操っての戦い。安倍晴明もびっくりでしょうね。

あと、やはり京都は地の利がありますね。京都を舞台にすると、移動しているだけで小説になってくるから凄い。まあこの話は京都以外では成立しないでしょうが。

ちゃんと青春小説(少女漫画的)の形にもなっていてうまく着地します。文章もさらりと読めていいですね。

安倍氏の1人称で書かれていますが、1ヵ所だけメタ的にこちらに語りかけてくるところも印象的でした。
1作目としてはとても完成度が高いと思います。
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by bibliophage | 2007-03-16 07:34 | その他小説
『ロング・グッドバイ』 待ち焦がれた新訳
d0018433_23334872.jpg著者:レイモンド・チャンドラー
訳:村上春樹 
書名:ロング・グッドバイ
発行:早川書房
完成度:★★★★★

遂に発売!村上春樹氏入魂の翻訳。

<マーロウは酔いつぶれたテリー・レノックスに出会い、なぜか彼を見捨てられずに介抱する。大金持ちの逆玉に乗ったレノックスだったが、放蕩な妻を殺した容疑をかけられ、マーロウに助けられてメキシコへ逃走する。その後マーロウは、流行作家の美しい妻アイリーンに夫の行方探しを依頼される。マーロウが連れ戻したその作家ロジャー・ウェイドはアル中で、何かに怯えていた。ある日、マーロウはウェイドに自宅に呼び出され、そこで事件は起きた。>

半年くらい前から話題沸騰。どう考えてもミスマッチな、村上春樹とフィッリップ・マーロウ
どうなることかと思って読んでみたら、もの凄くまともな訳でした、って当たり前なのだけれども。

とにかく読みやすい。リズムがいいからひっかからない。斜め読みせずに一字一句拾っているのに、本文533ページがあっと言う間に終わってしまいました。とにかく素晴らしい訳に違いありません。

清水俊二氏訳 『長いお別れ』 を読んだのは学生時代で、内容は完全に忘れていました。しかしこの村上訳のように、風景や人物が浮き上がってきたという印象はなかったような気がします。というか、名文家チャンドラーの魅力を完全に伝えている春樹氏はやはり凄い!

原作の内容もオーソドックスなミステリーでとても楽しめました。やはりマーロウがカッコイイですね。チェス好き、酒好き、女好き。芯が通って義理堅く、皮肉屋でロマンチスト。ケンカも強いし、頭も切れる。
で、ミステリーのオチには納得しましたが、最後のセニョール・マイオノラスの登場は蛇足に感じました。

今回の訳(あるいは文章)で面白かった箇所。
p31「お座敷プードルのような生活」
p54「冷ややかで尊大な…警官の目だ。彼らは警察学校の卒業行進のときに、そういう目を一揃い授けられるのだ」
p78「警官のバッジをつけた与太者
p103「それこそ釈迦に説法でしょうが」
p106「お前は五セント玉みたいなはんちくなんだよ」
p158「トスカニーニから見たオルガン弾きの猿みたいなもの」
p512「フランス人というのは・・・どれもがうまくつぼにはまる。さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ
最後の有名なセリフは意外とシンプルな訳でした。

1ヶ所だけ気になったところ。
p121「ルイ・ロペス(チェスの古典的な開始法)にとりかかったのだが…」
()注釈は村上氏がつけたものと思われますが、「開始法」は「オープニング」がベター。トリビアですが。

今回のあとがきは『グレート・ギャツビー』ほどの熱情はみられませんでした。その代わり45ページもあって読み応えあり。チャンドラーの文章の上手さ、ハメットやヘミングウェイ、フィッツジェラルドなどの影響、チャンドラーの生涯などについて詳しく語られています。
清水訳を「古き良き時代ののんびりした翻訳」と書いたのはいささか僭越のそしりを受けるかもしれないですが。やれやれ。

とにかくこの厚い本を読んで、私の人生に新たな彩りが加えられたことは確かです。
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by bibliophage | 2007-03-12 23:41 | ミステリ-
『ジャズの歴史』 All that jazz
d0018433_1191492.jpg著者:相倉久人 
書名:新書で入門 ジャズの歴史
発行:新潮社
明快度:★★★★★

ジャズのベテラン評論家による入門書。

「こうして元をたどれば同じ根を持つ音楽が、ときには言葉が通じ合わないほど異相を競い合う百花繚乱、あるいは百鬼夜行のジャズ・シーンが出現したのです。(1章より)」

非常にわかりやすい(というか割り切った)内容でとてもよかったです。
私にとっての暗黒大陸であるジャズに、光を与えてくれました。

南北戦争で解放されたニューオーリンズの奴隷が、南軍軍楽隊のブラス・バンドの楽器を演奏する、これがジャズの始まり。そして、娼館や酒場での演奏が仕事になってきます。
そこにヨーロッパ近代の象徴としてのピアノが加わって活性化され、トランペットのルイ・アームストロングが出て、即興演奏が始まりました。
第一次大戦により娼館が閉鎖されるとジャズメンはシカゴに向かいます。
その後、デューク・エリントン、ベニー・グッドマンスウィングしていたのが、ビ・バップになって、マイルス・デイビスクールを持ち込んだと思ったら、フリージャズが誕生し……。

読んでいると何となくわかったような気になりました。
とにかくジャズというのは、色々な要素が交じり合って発展していくという性質の音楽のようです。

で、まず、アコースティックなマイルスを聞いてみることにしました。
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by bibliophage | 2007-03-10 01:21 | 新書
『巨大人脈SNSのチカラ』 mixiだけじゃない
d0018433_18491025.jpg著者:原田和英 
書名:巨大人脈SNSのチカラ
発行:朝日新聞社
ポジティブ度:★★★★☆

Sorcial Networking service の概説的入門書。

「確かにSNSはよい面だけでなく、ネガティブな面も存在する。…しかし、少なくともSNSは…世界の構造を変えてしまう可能性を持った存在である。(「はじめに」より)」

興味深い内容でした。 mixiの強さ の秘密は、
1. ユーザーの声を聞く
2. センスがよくて女性受けする
3. 先駆者利益   とのことでした。なるほど。

世界のSNSの例として、
音楽SNSのMyspace、ビジネス用のLinkedln、学生専用のthefacebook、写真用Flickrnが紹介されていました。

問題点としては、
プライバシーがのぞかれる、繋がりたくない人を避けられない、人間のランク付けやSNS八分、などがあげられています。

それでも、まさにSNS世代である若い著者は未来にとてもポジティブです。
SNSを通して、「何を」より「誰を」知っているか、が重要になってくると書いています。

さて、もっとSNSを使いこなさなくては・・・。
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by bibliophage | 2007-03-03 19:02 | 新書