ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『官能小説用語表現辞典』 淫靡さ表現コンテスト
d0018433_20315846.jpg著者:永田守弘 
書名:官能小説用語表現辞典
発行:筑摩書房(文庫)
イマジネーション度:★★★★★ 

複数の雑誌で書評欄に出ていた話題の書。

「官能小説は性欲をかきたてるためのものではなく、もっと感性の深くにある淫心を燃え立たせるものです。(「あとがき」より)」

官能小説に出てくる男性器、女性器、声、などの多彩な表現を網羅していて圧巻です。
各項目に、約700冊(!)の本から抜粋した例文が書かれています。
電車内ではなかなか読み辛い本ですが…w。

気に入った言い回しを以下に記します。
・ おのれのタフボーイを…カトリーヌに埋ずめこみ…
ラブボタン
灼熱の侵入者
よこしまな淫柱
不埒(ふらち)者のリキッドを浴びせかけた 、などなど。

それにしてもよく考え付くなぁと感心。誰にでも書けそうに見えて、実は特殊な能力を必要とする分野。それが官能小説のようです。

作品のタイトルも色々あって笑えましたが、最高なのは「美母(ママ)は変態バニー」。いったいどんな話やねん!

解説の重松清氏いわく、「声に出して読めない日本語」。上手いなぁ…。
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# by bibliophage | 2006-11-21 20:33 | 評論
『号泣する準備はできていた』 超絶なる感受性
d0018433_15191440.jpg著者:絵國香織 
書名:号泣する準備はできていた
発行:新潮社(文庫)
感覚度:★★★★★

直木賞受賞短編集。

「隆志から朝、電話があった。木がなくて電飾だけのクリスマスツリーの夢を見たと言う。彼とは旅先で出会って、同棲もしていた。だけど別の女性と仲良くなって、半年前に部屋を出て行った。今でも時々連絡があり、私は隆志のことを忘れられずにいる。(表題作)」

女流作家の作品は正直、不得意です。
「センセイの鞄」とか「博士の愛した数式」とか全くダメでした。

しかし、この短編集はとても良かった。
出てくる女性たちがちょっと暗くて、典型的な幸せ状態にはない所が気にいったのかも知れません。この設定で長編を書いてもおかしくないのに、と思うものが短編になっているので、密度が濃いと感じたからかも知れません。

アマゾンのレビューを見ると点数が低いのにちょっとびっくり。ハーレクインが好きで、安定を好むような女性読者には確かに受けないかも知れませんね。

話が余韻をもって終わるところ。決め細やかな情景描写。アンニュイというか、ちょっとさめたような会話。

この本を読んで、著者は並外れた感受性の持ち主なのだな、と感じました。
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# by bibliophage | 2006-11-19 15:20 | その他小説
『人はなぜ危険に近づくのか』 災害に出会ったら
d0018433_23555774.jpg著者:広瀬弘忠 
書名:人はなぜ危険に近づくのか
発行:講談社
常識的度:★★★★☆

災害心理学の専門家による分析。

「興味本位の恐いもの見たさではなく、恐いから見ないという現実逃避でもなく、見るべきものを正しく見ることがどうしても必要なのである。(本文より)」

面白いのですが、読み進むうちにタイトルから期待される内容と少しずつズレ始めます。
内容は大雑把には以下の通り。

第1章:若者と老人のリスク
第2章:先延ばしの危険
第3・4章:自然災害による危険
第5章:恐怖の効用
第6・7章:パニックと凍りつき症候群
第8章:リスクテイクの男女差
第9章:獲得と保存の男女差
第10章:怒りの感受性の男女差
第11・12章:不幸と幸福の心理

8章以降は、「話を聞かない男、地図が読めない女」かと思いましたw。
「男はホルモン的&社会的に闘争することが多く、女より短命」みたいな内容。

経済学や心理学の文献の内容を紹介して説明するところはよかったです。
が、全体にまとまりに欠ける印象と常識的過ぎる内容がやや気になりました。
自殺とかタナトスとかについても少しは触れて欲しいところです。
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# by bibliophage | 2006-11-13 23:56 | 新書
『アフターダーク』 胎動のささやかな予兆の物語
d0018433_024572.jpg著者:村上春樹 
書名:アフタ-ダーク
発行:講談社(文庫)
表現力度:★★★★☆

(永遠の)ノーベル賞候補、村上氏2004年の作品。

<デニーズの店内で夜を明かそうとしていた浅井マリ。そこに姉のエリの友人高橋が通りがかって声をかける。彼の知り合いのカオルに頼まれて、マリは中国人娼婦の通訳をする。その娼婦に暴力を振るった白川は、夜中のオフィスで一人ソフトウェアのバグを直す。一方、エリは2ヶ月前から、彼女の部屋で死んだように眠ったままだった。>

大いなる物語の序章という感じでした。

相変わらず、会話が洒落ていて、比喩が特別に鋭くて、音楽の話が絶えず流れている、という春樹流世界が堪能できます。

高橋の会話が特に凄くて、例えば
「僕にはいくつか問題があるけど…あくまで内部的な問題だから、そんなにやすやすと人目につかれると困るんだ。とくに夏休みのプールサイドなんかでさ」
などというのは、読んでいて痺れてしまいます。現実にこんな物言いをする男がいたら、きっとモテモテですねw。
さらに、「世界中の電圧がすっと下降してしまった感じ」だとか、「新しい一日がすぐ近くまでやってきているが、古い一日もまだ重い裾を引きずっている」とか、渋い表現があちこちに認められます。自在の表現力でした。

お話としては、マリと高橋の今後、エリは目覚めるのか、白川の運命は、など謎が続出したまま夜が明けて、尻切れになってしまいました。続きはどうなっているのでしょうか?

ちょっと気になったのはコオロギという女性の話が説教臭いこと。また、関西弁を使わせるのはOKですが、「ぶちまけた話、…」という言い回しはしないですね。「ぶっちゃけた話」の関西訳のつもりでしょうが…。

ともあれ、ノーベル文学賞に一番近い日本人であることは間違いありません。受賞する日が待ち遠しいです。
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# by bibliophage | 2006-11-07 23:58 | その他小説
映画「地下鉄(メトロ)に乗って」を観てきました
浅田次郎の同名原作d0018433_1430443.jpgの映画化。

<小沼真次は大企業オーナーの父親佐吉を嫌い、縁を切って中小企業のセールスマンをしていた。ある夜、真次は地下鉄の階段から外に出ると、昭和39年の東京にタイムスリップしてしまう。その日は若くして死んだ兄の命日だった。タイムスリップはその後も繰り返され、恋人のみちこも巻き込んで、戦後、戦中と時間を遡っていった。そこで彼らはアムールという人物と出会う。一方、佐吉は病気のために危篤となっていた。>

面白かった!
原作を読んで展開がわかっていても泣けました。

ネット評がイマイチのようですが、私は十分イケていたと思います。
面白くないと感じる理由としては、出演者が好みでない、またはプロットが完全に理解できていない、などの可能性が考えられます。確かに、原作を知らないと少しわかりにくい点があるかも。
サンデー毎日(だったか?)の評で、出演者に戦争の苦労がにじみ出ていない、とか昔の地下鉄の雰囲気がない、とか書かれていましたが、それは当っていませんねぇ。
ヤミ市や東京オリンピックの時代のセットなどとても良かったです。

堤真一、岡本綾、大沢たかお、皆頑張っていたと思います。
アムールの正体が映画だとすぐにわかってしまうのが残念ですが、これは仕方ないことですね。

トリビアとしては、主人公(堤)の父親の病気が、「肝臓に腫瘍があって、動脈瘤が破裂した」は、(原作と同じく)間違いの可能性があること。おそらく「静脈瘤が破裂」ではないかと思われます。

原作を読んでいてもいなくても楽しめる映画だと思います。
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# by bibliophage | 2006-11-05 14:33 | 映画
DVD「猫目小僧」を観ました
d0018433_8264787.jpg「まことちゃん」などで知られる漫画家楳図かずお氏の作品を実写映画化。

<東北の田舎の村に家族と引っ越してきた高校生まゆか。彼女は左の頬にあるアザにコンプレックスを持ち、小学生の弟浩も喘息に悩まされていた。ある日彼らの前に猫のような顔をした少年が現れて、彼らの悩みを解消してくれた。一方、その頃村では、封印を解かれた怪物ギョロリが現れて、人々をゾンビである‘肉球’に変えていった。>

以前、原作マンガを読んで強いインパクトを受けました。ロードショーは行こうとして果たせずでしたが、レンタルビデオ屋で目に付いたので、即借りました。

結構面白かったです。巧拙半ばする、といった印象ですが…。

まゆか(石田未来)が魅力的でした。アザに悩むという設定がいいです。
バカップルが肝試しに廃墟に入って封印を解いてしまう、という展開もよくあるパターンですが悪くありません。

ゾンビの肉球(にくだま)の造形はまあ普通。しかし猫目君のかぶりモノはイマイチ。体型もちょっと大きすぎて、腹が出ていたw。でもこの辺はご愛嬌。最悪は妖怪ギョロリの竹中直人。なんで顔の包帯をはずすのか…。ホラーが一気にお笑いになってしまいました。確かに、笑いと恐怖は近いというのが楳図氏の持論ですが…。

村人が肉球を見る恐ろしさに耐え切れずに自分の目をつぶす、というのは原作にもあった話。原作では、それでも肉球は心の中にイメージとして侵入してきて凄く怖かった。
この映画でも肉球が村人の口の中に手をつっこんで感染?していきますが、ちょっとeroticな印象ですw。
原作では、肉球とは癌である、という凄い結論になっていました。

全体に、恐怖とユーモアが混ざっていて、中途半端というのか、いいバランスというのか。
猫目君の造形をちょっと矯正して続編を作って欲しいものです。

・ 映画公式サイト
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# by bibliophage | 2006-11-03 08:33 | 映画
『ららら科學の子』 中国帰りのスロウ・ボート
d0018433_6181230.jpg著者:矢作俊彦 
書名:ららら科學の子
発行:文芸春秋(文庫)
活劇度:★★☆☆☆

三島由紀夫賞受賞作。

<学生運動のさ中の1968年、1人の男性が警察官に対する殺人未遂で手配される。日本の学生と連帯したいという中国人の招きに乗って、彼は上海に渡る。以後、貧村での30年の暮らしを経て彼は現代の日本に帰国した。>

文庫本528ページの大著です。全共闘世代の熱気、中国での苦難の生活、帰国後の浦島太郎的なギャップ、などが詳しく書かれています。

それにしても長すぎますねぇ。30年前と現代の東京の比較の話が延々と続くのには、さすがに私も根を上げました。で、途中から斜め読みに切り替え。これが功を奏して、ストレスが軽減し、最後まで読めました。

エンターテインメントとしては語るところはありません。中国脱出に使った蛇頭に捕らえられてもすぐ釈放されるし、女性との関係も異常にストイックだし…。
別れた妹の代わりの存在としてなのか、女子高生と知り合いになるのですが、これがかなり不自然。また、30年前妹と別れた際の描写が何度も出てくるのに辟易します。

面白いと思ったのは、学生時代の友人志垣の存在。ともに中国に行く予定だった志垣は、とある理由ですっぽかし、それが心の底のコンプレックスになっていて、帰国後の彼の金銭的な世話をやきます。その志垣はハワイにいて電話でしか話をしない、という設定はなかなか興味深かったです。
彼が30年ぶりに妹に電話する場面もあっさりしていて好印象。ハードボイルド風というか、諦念的というか、そんな雰囲気が流れています。

結局のところ、残念ながら、私にはこの作品があれだけ話題になった理由がわかりませんし、映画化されると知ってまた驚いています。受容体が欠けているみたいです。
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# by bibliophage | 2006-10-30 06:25 | その他小説
『搾取される若者たち』 バイク便ライダーのお仕事
d0018433_7243167.jpg著者:阿部真大 
書名:搾取される若者たち -バイク便ライダーは見たー
発行:集英社
社会学度:★★★★☆

東大院生によるバイク便ライダー体験記。

<バイク便ライダーには「時給ライダー」と「歩合ライダー」がいる。前者から後者への転向はあるが、その逆は認められない。それはなぜか?>

車を運転していると、正直バイクほど危険で邪魔なものはありません。
そんなバイク嫌いな私も、バイク便には好意的です。
仕事をしている、と言う点で彼らには視線が温かくなってしまいます。

そんなバイク便労働の実態を、(著者いわく)参与観察(実際に経験して調べる)の方法で語るユニークな新書でした。

団塊ジュニア世代の問題とからめて論じているのは、新書としての体裁であって、あまり意味がなさそうです。
やはり面白いのは、ライダーたちの考え方、すり抜けの技術、などの実践編でした。

「歩合」にあこがれる「時給」ライダー。そこには趣味と仕事が重なることで生じるワーカホリックへの道がある、という指摘は斬新です。

危険な仕事であるライダーには脱落者も多い。できれば、その辺の事情をもう少し知りたかったですね。
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# by bibliophage | 2006-10-27 07:25 | 新書
『世界の日本人ジョーク集』 サッカー下手で勤勉なサムライ?
d0018433_23573074.jpg著者:早坂隆 
書名:世界の日本人ジョーク集
発行:中央公論新社
ユーモア度:★★★★☆

26万部!のベストセラーということでチェックしてみました。

<韓国ソウルの街角を金ピカの日本人が歩いていた。警察官に職務質問された彼のカバンの中には7枚の下着が。「どうして7枚あるのですか?」「簡単です。月・火・水…日曜日用です。」
次に北朝鮮の男が質問された。「あなたのカバンにはどうして下着が12枚あるのですか?」
「簡単です。1月、2月、3月…」>

よくある企画だな、と期待せずに読んだのですが、結構面白かったです。
日本人の対外イメージを以下の各章にわけてジョークを紹介しています。
第1章ハイテク国家、第2章お金持ち、第3章勤勉、第4章集団主義、第5章文化・風習、第6章外交、第7章日本人アスリート、第8章マンガ・アニメ。

ルーマニアなど外国暮らしの長い著者の経験がモノを言っています。
比較的マイルドなジョークを中心に、日本人の自尊心をくすぐるような書き方をしているところがウケている理由だとみました。(特に第8章の「あるアメリカの子どもの幸福な休日」)

TV番組「ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャー」やマンガ「釣りキチ三平」がヨーロッパで人気があるというのも意外でした。

私的に面白かった他のジョークは、
・ スープにハエが入っていた時の各国の反応
・ 好きなモノを叫んで飛び込むと、それでいっぱいになる湖
などです。

本書を未読の方は、是非まず立ち読みを。
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# by bibliophage | 2006-10-23 23:54 | ユーモア
『手紙』 祝、映画化。
d0018433_22201632.jpg著者:東野圭吾 
書名:手紙
発行:文芸春秋(文庫)
発想度:★★★★☆

2001-02年毎日新聞連載→2003年単行本→2006年文庫化+映画公開。

<唯一の肉親である兄が強盗殺人で逮捕された高校生直貴。彼のその後の人生には、殺人犯の兄の存在がいやでも影響を及ぼしてくる。仕事、音楽活動、恋愛…。ようやく手に入れた家庭での幸せにまでもその影がさしてきた時、直貴はある決心をする。>

面白かったです。
まず、殺人犯の家族を主人公にするという発想が凄い。こういう設定の話は初めて読みました。
しかし「涙のロングセラー」というコピーはどうか?泣けるところはあまりないですねぇ。

東野氏の作品は細かい点まで考えられているところに好感が持てます。
母の「学歴が大事」という刷り込み→弟だけは大学に入れてやりたい、
兄が体を壊して働けなくなる→強盗、
手紙の代筆→ワープロを使う、等々。
この辺が理系的という印象の所以ではないかと思いました。

差別されるのは、当然なんだよ」と言った直貴の勤務先の会社社長。彼が結局何を言いたかったのか、この辺は不明。

ミステリーではない話なので、最後いったいどうやって終わるのかと思っていたのですが、なるほどそういう落としどころでしたか…。

冷徹な面を持ち合わせる主人公、直貴役のイメージとして藤木直人が浮かぶ私は時勢に疎いことがわかりますw。映画では山田孝之でした。相手役は沢尻エリカ。試写会の評判は上々のようです。
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# by bibliophage | 2006-10-20 22:25 | その他小説
映画「レディ・イン・ザ・ウォーター」を観てきました
d0018433_2356197.jpgあの「シックス・センス」のナイト・.シャマラン監督の最新作。

<平凡な日々を送るアパート管理人クリーブランド。そんな生活を変えたのは、プールの底から突然現れた若い女性:ストーリーだった。アパート住人の知っているおとぎ話の内容と一致するように、彼女は青の世界に戻って女王になるべき人だった。しかし、恐ろしい獣が現れてその帰還を阻止しようとする。クリーブランドとアパートの住人たちは、力を合わせてストーリーを助けようとするのだが…。>

不思議なお話でした。
シャマラン自身が自分の子供に話していたオリジナルのおとぎ話を元に作られたようです。
出たがりのシャマランはしっかり出演していましたw。

どうしても「シックス・センス」の残像があるので、どんでん返しを期待してしまいますが、それはありませんw。何か、もう少しひねりというか、謎解きの要素を入れて欲しかった気はします。
ストーリー役のB.ハワードも魅力的なのかどうか、ちょっとわからなかったです。

全体にはあまりツボに入ったと言えないというか…。
ファンタジー好きなら楽しめるかも知れませんね。

映画HP
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# by bibliophage | 2006-10-17 23:56 | 映画
『ナイチンゲールの沈黙』 バチスタの栄光はどこへ…
d0018433_10324615.jpg著者:海堂尊 
書名:ナイチンゲールの沈黙
発行:宝島社
ミステリ度:★★★☆☆

あの大傑作『チーム・バチスタの栄光』の海堂氏の第2作。

<網膜芽腫で小児科に入院中の瑞人。看護師の小夜は美しい歌声の持ち主で、献身的に彼のケアをおこなう。ある日、飲んだくれの瑞人の父親がバラバラ死体で発見された。犯人は病院関係者なのか?神経内科講師の田口は事件にまきこまれ、独自の捜査法を持つ加納刑事に加え厚生労働省の白鳥も調査に加わってきた。>

期待が大きい分、はずれた時は悲しいものです。

まず、事件が起きるのがかなり遅く、そこまでは読む速度が上がらない。これはミステリとしては辛い。
あと、調子に乗りすぎて筆が滑っている印象が強い。前作と違って大げさな言い回しやイマイチな比喩が続出。どうもリズムに乗れません。
加えてキャラ設定があまりよくない。加納刑事と白鳥の存在がダブリ、おまけに2人は知り合いで馴れ合い。今回は白鳥が冴えない上に、田口の見せ場も極小。
中3生の瑞人の白鳥に対する物言いは有り得ない内容だし、表紙ももう一つだし…。

一方、面白かった点はというと…。
解剖をする前にCT撮影をするautopsy imaging の話や加納刑事が発明したデジタルイメージによる犯罪捜査。さらに歌声によって視覚イメージが沸きあがり、それが真相解明に一役買うことなど、でしょうか。5歳の入院患者アツシはなかなか存在感あり、であります。

もし田口・白鳥コンビで3作目を作るなら、かなり思い切った設定にしないといけないでしょうねぇ。
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# by bibliophage | 2006-10-15 10:35 | ミステリ-
映画「ワールド・トレード・センター」を観てきました
d0018433_7122760.jpg監督オリバー・ストーン。主演ニコラス・ケイジ。

<2001年9月11日。ニューヨークで2機の旅客機がワールド・トレード・センターへに突っ込んだ。港湾警察署のマクローリン(ケイジ)やヒメノたちは被災者の救済に向かうが、ビルの崩壊に巻き込まれて生き埋めになってしまう。2人は地下の瓦礫の中で励ましあって救助を待つ。>

面白かったです。
ニコラス・ケイジが渋い演技で良かった。いつもピストルを撃ったり、車を盗んだりしているわけではないんですねw。
飛行機が突っ込んだ瞬間の映像を使わない点とか、全体に抑えた演出も好感が持てました。
淡々とした音楽も印象に残りました。

何千人もの人が死んで、9.11のテロはアメリカにとっては建国以来の大事件だと感傷に浸りたいのもわかります。しかし、広島、長崎の原爆やイラク空爆で死んだ膨大な人の数を考えると、アメリカ人の命の値段は他国のそれよりも極めて高い、と彼らが思っていることは間違いないでしょうね。

映画HP 
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# by bibliophage | 2006-10-13 07:14 | 映画
『つきのふね』 フィルムキャプターさくら
d0018433_64029100.jpg著者:森絵都 
書名:つきのふね
発行:角川書店(文庫)
青春度:★★★★☆

森絵都さんの作品ははじめてです。

<中学三年のさくらは親友の梨利と仲たがいしていた。なんとか2人を取り持とうとする勝田君。さくらの心が休まるのは、スーパーの店員でさくらを助けてくれた智さんの部屋にいる時だけだ。けれど智さんは、地球を救う宇宙船の設計に熱中して、次第に精神のバランスをくずしていった。>

さらさらと読めました。展開がどうなるのかと期待させつつ、ゆるゆると話が進んでいきます。智さんとさくらが知り合ったきっかけの所は、おっと思わせます。勝田君の冗談の予告が最後に効いてくるところなどは上手いですね。

ジュブナイルということで、全体に一線を越えて話が進まないように歯止めがかかっています。ですので、さわやかですが、ちょっと物足りない感は仕方のないところ。
次は是非、一般向けの『永遠の出口』を読んでみたいと思いました。
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# by bibliophage | 2006-10-10 06:42 | その他小説
映画「フラガール」を観てきました
d0018433_2385718.jpgSpice of life さんが絶賛していたのでシネコンへ行ってみました。

<昭和40年。福島の常磐炭鉱は大規模なリストラがおこなわれていた。新しい事業として豊富な温泉を使った「ハワイアンセンター」が構想され、フラダンサーが募集された。SKD出身の平山まどかは、保守的な炭鉱の人々と戦いながら、素人娘たちに一からフラを教える。そしてついにオープニングの日がやってきた。>

とても面白かったです。やはり映画は口コミが重要ですね。
お客さん、結構入っていました。興行的にも10/1までの週で3位と健闘しています。

「プロジェクトX」的でベタな話なのですが、3ヶ所くらい泣けるところがあります。
フラ教師の松雪泰子がやはり存在感がありました。生徒の父親に文句を言うために男風呂へ突入するシーンが凄い!
しずちゃんはどうでもいいですがw、メインダンサー役の蒼井優は脱皮する炭鉱娘にぴったりでした。最後のダンスシーンも迫力ありました。
トヨエツや富司純子、岸部一徳などの脇も豪華でした。

誰が観ても楽しめる映画だと思います。

映画HP
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# by bibliophage | 2006-10-10 02:41 | 映画
テニスAIGオープンを観戦
有明コロシウムにテニスAIGオープンを観にいってきました。

d0018433_2349333.jpg当日券を買おうと発売1時間前の7時に行ってみたら、すでに数百人が並んでいた!!
一番乗りは朝4時!だそうです。甘かった…。

何とか2階のS席の券を買って入場。結構、よく見えます。
フェデラーは…ふむふむ、3試合目か。

1試合目は男子ダブルス。フェデラーに勝ったことのあるマリー(英)が兄弟で出場。残念ながらストレート負け。

d0018433_23501377.jpg2試合目は女子シングルス準決勝。中村藍子 対 昨日杉山愛を破ったチャン(台湾)。
これはタフな試合でした。7-6、2-6、6-4で中村辛勝。中村はフォアもバックも両手打ちなのがユニーク。強打が凄い!
d0018433_23511564.jpgここでちょっと休憩。コロシウムの外では色々なイベントが開かれていました。

いよいよフェデラー登場。席も90%以上が埋まりました。相手は全米でアガシに勝ったB.ベッカー(独)。しかし格が違い過ぎました。フェデラーは練習のようにリラックスしてプレー。強い、強すぎる。サービス、フォア、バックとエースを連発。

本当にオールラウンドです。サンプラスのサーブ、レンドルのバックハンドドライブ、ローズウォールのスライス…すべてを兼ね備えた上に、フォアハンドが史上最強。観客も皆ため息をついています。
d0018433_23541790.jpgフェデラーにボールとタオルを渡すボールボーイ。彼はなんとラッキーなのだろう…。
フェデラーのプレーをもっと長く見ていたかったのにストレート勝ちで1時間にて終了。それにしても昨日、鈴木はいったいどうやってこんなプレーヤーから1セットを取ったのだろうか…?

生フェデラーが見られて感激の一日でした。
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# by bibliophage | 2006-10-07 23:54 | スポーツ
フェデラーと皇太子
d0018433_7175986.jpgなんともうらやましいニュースです。

皇太子さま、フェデラーとテニスを楽しまれる」 → sankei news

皇太子さまが9月30日に赤坂御用地にAIGジャパン・オープンテニス出場で来日中の世界ランキング1位、ロジャー・フェデラー選手を招待し、ダブルスを楽しまれた。」 
招待し、楽しまれた、か・・・。う~む。

d0018433_7233744.jpgフェデラーはテニス史上最高のプレーヤーと言われ、我々草プレーヤーの憧れの的。

皇族がうらやましいと思ったのはこれが始めてですねぇ。

フェデラーも外交辞令で、‘Good shot, Prince!’とか言ったのでしょうか。
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# by bibliophage | 2006-10-06 07:27 | スポーツ
『闇の底』 幼児犯罪者キラー
d0018433_714534.jpg著者:薬丸岳 
書名:闇の底
発行:講談社
衝撃度:★★★★☆

乱歩賞『天使のナイフ』の作者の2作目。

<小学生の女児が殺された。自分の妹が性犯罪者に殺された過去を持つ刑事、長瀬は犯人を憎悪する。しかし、その事件が解決しないうちに、今度は首を切られた男性の死体がみつかった。被害者は過去に幼児殺害を犯した人物だった。そして警察に犯行声明が届いた。>

前作と同様にとても読みやすく情景が浮かぶような文章です。
いくつもの幼児事件が出てきてちょっと混乱する点がありますが、あっという間に最後まで読めました。

過去の犯罪者を殺すキャラクター:サンソンが名前も含めて存在感があります。

そして今回は趣向がこらされていました。
読んでいると『慟哭』が思い出されます。しかしそのまま最後まで読むと…。
ミスリードにやられてしまいました。お見事!

今回はキレが凄い作品でした。次回作も期待ですね。
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# by bibliophage | 2006-10-04 07:05 | ミステリ-
『夜にそびえる不安の塔』 スピリチュアル・ノンフィクション
d0018433_1534108.jpg著者:井形慶子 
書名:夜にそびえる不安の塔
発行:講談社
迫力度:★★★★★

若くして出版社を立ち上げたやり手の女性経営者によるスピリチュアル体験記。

<イギリスの本を書き、出版社を経営する私のもとに、ある日編集者のサワダさんから依頼の電話があった。霊感を持つ占い師たちに物事を相談する形で、その力の実態についての取材をお願いしたいというのだ。>

書店で平積みされていて、ふと表紙とタイトルに惹かれて読んでみましたが、なかなか面白かったです。

私は3人の女性占い師に電話で相談をし始めます。ララさん、万葉さん、魔法使いさん。タロットなど三者三様の方法を持つ彼らの占いは驚くほど当ります。自分の仕事に関係する人たちの考えていること、その未来について。しかし、そのうちに私はその占いの言葉に依存し、それなしでは精神状態が保てないようになってきます。また、夜に窓の外をみると、日々大きくなっていく謎の塔のイメージが出現するようになります。

内容がリアルで、とても頭で考えた内容とは思えませんので、ノンフィクションと銘打つだけあって、本当に体験したことなのだろうなと思いました。
と言いつつ、話の展開はミステリー小説のように面白くもあり、ノンストップで読み終えました。塔の謎解きも出てきます。

疑問に感じたのは、占いの内容を他の占い師に話すことがあったことで、そうすると三人の占いの一致について、客観性が失われる点。あと気になったのは、ノンフィクションであれば、有名な出版社の女性社長ということで、文中の関係者について、かなり実在の人物と対照がついてしまうのでないかということでした。

世の中には目に見えない世界が存在すること、本物の霊能力者が存在すること、運命は固定されていないこと、などは自分の考えと一致した点でした。

そういう世界を全く信じない、神社でも手を合わせたことがない、という人以外は一度読んでみる価値がある本だと思います。

著者の出版社HP 
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# by bibliophage | 2006-10-01 15:34 | 評論
『編集者T君の謎』 将棋世界の不思議エッセイ
d0018433_014397.jpg著者:大崎善生 
書名:編集者T君の謎 将棋業界のゆかいな人びと
発行:講談社(文庫)
諧謔度:★★★★☆

雑誌「将棋世界」編集者を18年。その後、作家としてベストセラーを連発する大崎氏による将棋界のエッセイ。

「私の将棋の本としては3冊目の出版になる。これを読んでひとりでも多くの方が、あの無垢にして純粋な将棋の世界に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。(「あとがき」より)」

あとの2冊とは、若くして癌で死んだ天才棋士を書いた『聖の青春』と奨励会で挫折した青年の話『将棋の子』のこと。後者は読みましたがとても面白かったです。

今回のエッセイは「週刊現代」での1年間の連載を内容別に章分けしてあります。特に面白いのがⅠ章「天才たちのスーパーバトル」。
・ 元名人でクリスチャンの加藤氏の傑作な話。
・ 名人になった佐藤氏が若い頃、大崎氏に怒鳴りつけられた話。
・ 著者が森下九段に「君が負けるのは弱いからだ」と言った話、などなど。

一方、本の題名にもなっているT君の話などは内輪ネタでイマイチ冴えません。

後に大崎氏の妻となる高橋和さんが、詰め将棋の年間最優秀作品に与えられる看寿賞を取っていたのにはビックリしました。

将棋連盟の運営などは棋士だけで決められており、将棋の人気凋落傾向を憂いて、棋士たちに苦言を呈するという硬派な面には感心しました。

全体的には、笑いがあってオチがある上手い文章で、将棋の世界がさらに好きになりました。
大崎氏の小説の方も読まなくてはいけないと思ってはいるのですが…。
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# by bibliophage | 2006-09-30 00:02 | 評論