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ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『シャドウ』 複雑なプロット
『シャドウ』 複雑なプロット_d0018433_23282330.jpg著者:道尾秀介 
書名:シャドウ
発行:東京創元社
意外度:★★★★☆

このミス2007 第3位。

<咲枝が癌の再発で亡くなり、夫の洋一郎と小学5年生の息子鳳介が残された。そして、それを追うかのように、咲枝の友人の恵が飛び降り自殺をした。遺書には夫の徹を責める言葉が残されており、娘の亜紀は動顚の余り車にひかれてしまう。その後、洋一郎の言動におかしな点が目立つようになり、鳳介は精神科医の田地に相談をする。>

それにしても複雑なプロットを考えだしたものです。

各章の視点が違う人物のものになっており、同じ出来事も何人かの目で見ると、解釈が変わってくる。その点を上手く利用して謎を仕掛け、ほのめかしを多用して読者を煙に巻く。そういった作者の意図は成功していると思います。

文章もほとんど修辞を使わないシンプルなもので、すらすらと読み進むことができました。
鳳介君の探偵ぶりも良かったです。全体に、とても意外性に富む展開で、飽きることがありませんでした。

残念なのは、意外性を追求する余り、真実に必然性がないこと。もう少し伏線を入れないととても本格とは言えず、TVの2時間推理ドラマみたいに唐突な印象を受けてしまうかもしれません。あぁ、そうだったのか!感が乏しいのです。

面白いのは認めますが、第3位はちょっと買い被り過ぎかな…。
# by bibliophage | 2007-01-05 23:32 | ミステリ-
『風光る』 少女漫画の醍醐味
『風光る』 少女漫画の醍醐味_d0018433_1231224.jpg著者:渡辺多恵子 
書名:風光る 1~21巻
発行:小学館(コミックス)
キャラ立ち度:★★★★★

超ロングセラー連載の幕末少女漫画。第21巻が最近発売された。

<家族を長州の侍に殺された少女セイは、兄の意志を継ぐべく男装をして壬生浪士組(後の新撰組)に入隊する。命の恩人である沖田総司を想い続けながら、セイは清三郎として、剣の修行を続ける。>

これは相当面白いです。
少女と新撰組のミスマッチは、「セーラー服と機関銃」に通じるところがあります。

『風光る』 少女漫画の醍醐味_d0018433_1241512.jpg内容は歴史を虚実織り交ぜた、堂々たる少女漫画になっています。
メインプロットは、清三郎が恋しているのに、総司がそれを気づかずにやきもきする、というよくあるものです。そこに新撰組の多種多様なキャラクターがからみ、ボーイズラブ(当時の呼び名は衆道)がフィーチャーされて、ハチャメチャな展開となっていきます。

まず、絵がきれい。そして、考証がよくされていて、話の運び方が上手い。また、ジョークのセンスがいい。
『風光る』 少女漫画の醍醐味_d0018433_1233530.gifさらに、キャラがとても魅力的。特に、新撰組3番隊長の斉藤一が、几帳面で無表情、腕が立って、隠密業務をこなし、かつ清三郎を密かに想っている、という人気キャラです。
新しい登場人物としては、18巻後半から出てくる遊び人浮之助が素晴らしい。実はその正体は、○○だったという、遠山の金さんもびっくりの内容。これは驚きました。

現在はコミックフラワーズで連載中。最新21巻の後半は、もう終わりなのかな?と思える展開になっているのが心配ですが、関係する掲示板をみると連載は続いている様子。歴史的にはまだまだ書くネタはあるハズなので、できる限り頑張って続けて欲しいものです。
# by bibliophage | 2007-01-03 01:26 | 漫画
今年読んだ本 何が1番?
今年読んだ本 何が1番?_d0018433_17381428.jpg2006年がもうすぐ終わります。あっという間の1年でしたが、サッカーワールドカップ、荒川静香の金メダル、テニスのフェデラー来日など、スポーツのことばかりが印象として残っています。スポーツ以外でも、最後にフセイン死刑という大きなニュースがありました。そういえば首相も交代したのでしたね…w。

さて、今年読んだ中で色々と心に残った本をあげます。

良かった本ベスト5> …読んで損をしないことは確かです。
1) 『チーム・バチスタの栄光』 海堂尊 1/28
2) 『グレート・ギャツビー』 S.フィッツジェラルド、村上春樹訳12/2
3) 『ワイルド・ソウル』 垣根涼介 5/27
4) 『ガール』 奥田英朗 4/19
5) 『文学賞メッタ斬り!リターンズ』 大森豊、豊崎由美 9/16

衝撃を受けた本ベスト5> …ホラーかホームレス系ですね。
1) 『無痛』 久坂部羊 5/22 
2) 『独白するユニバーサル横メルカトル』 平山夢明 12/28 
3) 『今日、ホームレスになった』 増田明利 9/20
4) 『失踪日記』 吾妻ひでお 5/5
5) 『姉飼』 遠藤徹 8/1

(個人的に)期待を裏切られた本ワースト3> …期待し過ぎはいけません。
1) 『ららら科學の子』 矢作俊彦 10/30
2) 『ナイチンゲールの沈黙』 海堂尊 10/15 
3) 『陽気なギャングの日常と襲撃』 伊坂幸太郎 5/17

今年は仕事の忙しさのためか、生来の怠惰な気質が首をもたげたためか、11月から読書速度があがらなくなりました。とても残念。
来年の目標は2日に1冊。できるだけ頑張ろうと思っています。
# by bibliophage | 2006-12-31 17:45 | その他
『独白するユニバーサル横メルカトル』 地図の独り言
『独白するユニバーサル横メルカトル』 地図の独り言_d0018433_1403075.jpg著者:平山夢明 
書名:独白するユニバーサル横メルカトル
発行:光文社
衝撃度:★★★★★

「このミス2007」第1位に選ばれた短編集。

<・私は国土地理院発行の地図帳。タクシー運転手の先代に愛用され、その特別な「使命」にまでも密かに協力してまいりました。(表題作)
・ジャングルの中、覚醒剤の生産地へ一攫千金を狙ってやってきたヒロとドブロク。しかし原住民に捕まって、檻の中で絶体絶命の状況に。(「すまじき熱帯」)>

久しぶりに強烈無比な作品に出会いました。
はっきり言って気持ち悪くて、エグい!いったいこれのどこがミステリーなんだ!?

しかしそのキモさの中に、どうしても惹かれてしまう部分があります。
それは、地図が独白するという奇想であったり、人食いの怪物が持つ知性であったり(「Ωの聖餐」)、原住民の会話が変な日本語に聞こえるといったユーモアであったりするのです。

そういったギリギリのところで成立している短編集です。なので、多くの人(特に女性)にとっては生理的に耐えられない可能性があると思われます。
特に、「Ωの聖餐」「すまじき熱帯」「怪物のような顔の…」の3編は凄まじいので、要注意。

本の表紙もかなりインパクトがありますが、まさにこんな感じの内容。ライトノベルの対極に存在するようなダーク&ヘビーノベルです。これから読まれる方はKOされないように、ヘッドギアをつけてどうぞ。
# by bibliophage | 2006-12-28 01:48 | ホラー/SF
『プーねこ』 クールな猫が笑える
『プーねこ』 クールな猫が笑える_d0018433_653134.jpg著者:北道正幸 
書名:プーねこ 1、2巻
発行:講談社(コミック)
シュール度:★★★★☆

コミックアフタヌーン連載のネコギャグ漫画。

<・武蔵野の立派な屋根を好んで生活する少女イラカ。その愛猫はクロベエ。(「イラカの夢」)
・ 捨てネコのニャンプーを拾った小学生芹菜。家ではリストラパパが今日もお料理。(「日和見な日々」)
・ 探偵事務所を構えるネコ、天智小五郎。事件の知らせがあっても、面倒だから弟子ネコのコパヤシ君におまかせ。(「虹色仮面」) >

これは面白かったです(特に第1巻)。
上記のストーリー漫画と4コマ漫画を集めたもので、第1巻は2005年1月販売で、現在15刷と売れています。
可愛い少女とネコの掛け合い漫才のような内容で、ネコが無表情にクールな言葉をつぶやくところがシュールで良いです。
例:ニャンプーが芹菜に、「まあそういわずに頼むよキミ。 ご近所付き合いは最初が肝心なんらぜ」と散歩をねだる場面。

しかし、ギャグ漫画をレベルを保って続けるというのは相当に難しいようで、第2巻はやや失速気味なのが残念でした。

最も爆笑したニャンプーと芹菜ちゃんのシリーズの続きを是非読みたいと思います。
# by bibliophage | 2006-12-25 06:54 | 漫画