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ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『チーム・バチスタの栄光』 驚きの医学ミステリー!
『チーム・バチスタの栄光』 驚きの医学ミステリー!_d0018433_945512.jpg著者:海堂尊 
書名:チーム・バチスタの栄光
発行:宝島社
完成度:★★★★★

第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。

東城大医学部心臓外科の桐生助教授は心筋症オペの世界的権威。神業をもつ彼が率いるチーム・バチスタは驚異的な成績をあげていた。しかし突然、このチームの手術において連続する死亡事故が起きた。その原因を突き止めるため、病院長の高階は、神経内科の万年講師田口に調査を依頼する。

こ、これは、面白すぎます。
最終選考で、数十秒で満場一致の決定をみた、というのも首肯できます。

手術室という密室で起きた連続死亡という謎の提出から、一気に内容に引き込まれ、田口講師という性格が良く凡庸に見えて、実は鋭いキャラクターが前半の物語を導いてくれます。さらに、途中から出てくる厚生労働省官僚白鳥の強烈な存在感で、あっという間に最後まで引っ張っていきます。

無駄な描写がほとんどない高い密度で、はっとするような比喩もあり、ユーモアもちりばめられています。白鳥の遠慮ない発言に思わず爆笑。彼が医師免許を持っているという設定も、謎解きのところで効いてきます。
さらに、著者が医者でなくては書けない緊迫の手術場面(10章)。それにリスクマネージメント委員会での息詰まるやりとり(13章)が、文句なく素晴らしい。

また、小児例での死亡が起きない理由など、細かい所まで考え抜かれています。振り返れば、ミスリードも巧みになされていました。
白鳥に主役の座を奪われた形の田口にも、最後に大きな見せ場が与えられるところなど、本当に上手いな~、と感心しました。

動機がどうとか、解剖すれば…とかいうケチはこの作品の完成度の前にはtriviaに過ぎないでしょう、…って久々にベタほめになってしまいました。

「このミステリーがすごい!」大賞も、『4日間の奇跡』の映画化など確実にその存在感を増してきていますね。
by bibliophage | 2006-01-28 09:47 | ミステリ-
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