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ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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村上春樹氏の「ロング・グッドバイ」をめぐる冒険
AERA今週号の記事「期待vs.心配?春樹のマーロウ」はいたく楽しめました。

サリンジャー「キャッチャー・イン・ザ・ライ」、フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」に続いて、チャンドラー「ロング・グッドバイ」を村上氏が翻訳します。
一字一句訳すので物語の全貌がすっきりすることが期待できる一方、クールなマーロウがスニーカーをはいて自分探しをするのではないかという心配もある、という興味深い指摘がありましたw。

翻訳を出すというだけで刊行前からこれほど話題になることも珍しいですね。村上春樹氏がいかに現代日本の読書家の心をとらえる作家であるかがよくわかります。

村上春樹になりきって「ロング・グッドバイ」の名シーンを「ハルキスト」のお三方が訳す、という企画がまた面白かった。
・「…ギムレットのまともなつくり方も知らないんだな」と彼はくぐもった声で言った。…ギムレットを十全に作ろうと思うなら…(向井万起男氏)
・「やれやれ、最近の女の子ときたら焼酎の飲み方すら知らないんだな」と五反田君は言った。(清水良典氏のパロディ訳)
・彼は薬剤師が薬品を点検するようにグラスを見つめながら、「作り方を知らないんだね、ギムレットの」と…。(松尾貴史氏)

さて、 To say goodbye is to die a little. はどう訳されるのでしょうか?
故清水俊二氏「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」…真ん中ストレート。
向井氏「“さようなら”と言うのは、命を少し削ることだ」…命を削る、とは渋い。
う~む…「さよならを言うときは、ほんの少し息が止まったまんまになるのさ」くらいでいかがでしょうか?

いずれにせよ、楽しみですね、春樹版ハードボイルド。
マーロウが素敵にイメチェンしてくるかもしれないけれども
by bibliophage | 2006-12-14 01:07 | 雑誌
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