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ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『手塚治虫 ザ・ベスト 衝撃ホラー編』 手塚漫画を堪能
『手塚治虫 ザ・ベスト 衝撃ホラー編』 手塚漫画を堪能_d0018433_865016.jpg著者:手塚治虫 
書名:手塚治虫 ザ・ベスト 衝撃ホラー編
発行:集英社(漫画)
充実度:★★★★★

不滅の漫画家手塚氏のベスト版。

<ペーター・キュルテンの記録、火の鳥(異形編)、どろろ(百鬼丸の巻)、はなたれ浄土、ブラックジャック(春一番)、ZEPHYRUS、七色いんこ(誤解)、など>

実在の連続殺人鬼を描いた「ペーター・キュルテン…」が最もホラーというべき内容でした。
「リボンの騎士」を思わせる女性剣士の輪廻の話「火の鳥(異形編)」。この2作が特に面白いです。
他に「アルジャーノン…」の本歌取りである「ZEPHYRUS」。
どろろ」「はなたれ浄土」も一度読みたいと思っていた作品でした。

この本を読んで、手塚漫画に出てくる女性がとても可愛いことを再認識しました。コマ割りもうまいし、絵は丁寧だし・・・。
やはり手塚氏は、日本漫画史上永遠にNO.1の存在ですね。

Book Off に行ったら早速この本が300円で売られていました。定価600円で、たぶん購入するのが一割の60円。Book Offさん、いい商売してますねぇ。
# by bibliophage | 2006-08-04 08:12 | 漫画
『姉飼』 夏はホラー
『姉飼』 夏はホラー_d0018433_016273.jpg著者:遠藤徹 
書名:姉飼
発行:角川書店
異形度:★★★★☆

第10回ホラー小説大賞受賞の問題作。

「ずっと姉が欲しかった。姉を飼うのが夢だった。
脂祭りの夜、出店で串刺しにされてぎゃあぎゃあ泣き喚いていた姉ら。…」

(「姉飼」)

なぜかずっと積読でしたが、季節柄読んでみました。

出だしの2行からして上記↑のようですから、自信を持って薦められるシロモノではありませんw。
同志社大助教授でサブカルチャーに詳しい著者の渾身の作品。
かの直木賞作家朱川湊人氏の「白い部屋で月の歌を」も最終候補で、いつもハイレベルの争いになるホラー小説大賞でも特に力作ぞろいの回だったようです。

<子供時代に夜店で「姉」に惹き付けられた主人公は、中卒後、高価なそれを手に入れるために必死で働く。そんな彼の元に4体目の「姉」が届いた…。>

生理的嫌悪感をいだかせるような描写が続く中に、独特のユーモアや話のオチがはさまれており、すらすらと読めてしまいます。民間伝承モノ風のキワモノ新感覚ホラーという感じです。

他に「キューブ・ガールズ」:ウェブ時代のダッチワイフ?
ジャングル・ジム」:人間性あふれる?性格だったジャングル・ジムの変容、
妹の島」:果樹園で覆われた離れ島での惨劇、
の3編が収録されており、どれもアイロニカルで奇天烈な物語でした。

著者2作目の「弁頭屋」も面白かったので、次回作も大いに期待します。
# by bibliophage | 2006-08-01 00:14 | ホラー/SF
映画「ミッション・インポッシブル3」を観てきました。
映画「ミッション・インポッシブル3」を観てきました。_d0018433_7423947.jpgトム・クルーズ主演のアクション映画第3弾。

<IMFの教官になっていたイーサン・ハント(クルーズ)は、教え子の女性が誘拐された事件で現役に刈り出される。犯人で武器ブローカーのディバインをバチカンで捕らえたハントだったが、護送途中で身柄を奪回され、逆に新妻のジュリアを誘拐されてしまう。ディバインの出した条件は、48時間以内に暗号名「ラビットフット」なる品物を手に入れること。ハントは「不可能な指令」に挑むべく上海へ飛んだ。>

2時間があっという間の面白さでした。
監督がTV出身のせいか、小回りのきいた飽きない展開になっています。

2ヶ所の読唇術の場面、バチカンでの変装・入れ替わり、上海での「アホみたいな」高層ビルへの侵入方法、など見所満載。
また、ジュリアがナースであるところが最後に効いてくるところ、など細かいところもウマイですね。(ハリウッドのアクション映画は大雑把でシラケルことが多いのですが…)
「ラビットフット」がチャチだったのはご愛嬌で。

夏のストレス解消にぴったりでした。これを観て、M:i:Ⅱもレンタルしようと思いました。

映画HP
# by bibliophage | 2006-07-31 07:47 | 映画
『イッツ・オンリー・トーク』 セクシュアル無駄話
『イッツ・オンリー・トーク』 セクシュアル無駄話_d0018433_874280.jpg著者:絲山秋子 
書名:イッツ・オンリー・トーク
発行:文芸春秋(文庫)
文章力度:★★★★★

「沖で待つ」で芥川賞を受賞した絲山さんのデビュー作。

<蒲田に引越してきた優子は、大学時代の友人で都議会議員の本間に出会う。そして、自殺しそうだったいとこの祥一を連れてきて、本間の選挙事務所で働かせる。他にネットで知り合ったうつ病のヤクザの安田や、大人の「痴漢」kさんと会ったりもする。>

久しぶりに流れるような文章を読みました。
読んでいて全くひっかからない。無駄な修辞がなく、かつストーリーもうまく流れていきます。

主人公のセックス観も、さっぱりしていて自堕落でもなく、いい感じです。
最大の発明は「痴漢」と称されるkさん。愛がないのに心がこもった指使い。
解説の書店員女史も絶賛していました。…「日本中の悩める女子に「痴漢」を。」だって!
今までの女流が誰も書けなかった存在でしょうね。

途中にはさまれる車やクリムゾンの音楽の話もいいですね。
最後はプログレ好きにはたまらないカッコよさでした。

「第七障害」は、馬から落ちて落馬した女の子のごく普通の話でした。
解説によれば作品は、絲山A:働く女性共感モノ、絲山B:精神破綻者モノ、と別れるようで、「沖で待つ」はA。個人的にはBの方に興味が湧きます。
# by bibliophage | 2006-07-28 08:10 | その他小説
『史記』 その5  前漢統一の後
『史記』 その5  前漢統一の後_d0018433_23334642.jpg著者:横山光輝 
書名:史記 第7、8巻
発行:小学館(コミックス、My First WIDE版)
骨肉闘争度:★★★★☆

横山漫画「史記」のフィナーレ。劉邦死して世乱れる。

第7巻「後継者争い」:

劉邦は前漢統一後、歴戦の部下を粛清した。韓信、彭越、黥布など。蕭何(しょうか)だけがなんとか最後まで生き延びる。劉邦死して後、実権を握ったのは皇后だった呂后。彼女は、劉邦の寵愛を独占した戚姫の手足を切断して復讐。呂氏一族は国を支配したが、陳平と周勃(しゅうぼつ)の働きで呂后死後2ヶ月で滅ぼされた。その後、漢には官僚が育ち始める。文帝を補佐した直言居士の袁盎(えんおう)、景帝の側近となった晁錯(ちょうさ)。しかし、晁錯のとった厳しい中央集権政策に対して呉楚七国が反乱を起こす。晁錯は殺害され、呉王の死によってこの反乱は鎮圧された。

第8巻「義に殉ずる」:

北方民族の話と史記に書けなかった人物たちの列伝。
秦の蒙恬によって追い払われた匈奴。前209年になり、冒頓(ぼくとつ)は父を殺して単于(ぜんう、=君主)となった。そして東胡や月氏を征服し、前漢に匹敵する一大国家を作り上げた。その後、漢朝では、7代の武帝が歴代の友好政策を放棄し、匈奴を追い詰めた。始皇帝をしのぐ領土を手にした武帝は、仙人になるための儀式「封禅」をおこなった。
恩義に対して命をかけて答えた晋の余譲と斉の聶政。遊侠の徒として活躍した朱家や郭解。法による厳しい取締りをおこなった漢朝の郅都、寧成、王温舒。杜周の厳しい裁きは武帝に気に入られ、副宰相にまで出世した。

やはり史記は、春秋戦国の時代や項羽と劉邦の頃が最も面白いですね。漢朝が成立してからは、粛清、内輪もめがひどいし、大きな人物が現れないしでもうひとつでした。
全体を通して、史記というのは「人物にスポットを当てて書く事で、歴史を生き生きと描き出している」という指摘を実感できました。人物描写ということでは、横山氏に勝る漫画家はいないでしょう。ぴったりの相性だと思います。

全巻通じて最も心に残った人物は韓信でした。
# by bibliophage | 2006-07-25 23:46 | 漫画