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ストレスがたまったら本のまとめ買い。結果は積ん読。なんとかしなきゃ…。ということで書評のブログです。ときに音楽や趣味の記事も…。
by bibliophage
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『話のつまらない男に殺意を覚える』 女性の本音
『話のつまらない男に殺意を覚える』 女性の本音_d0018433_7283476.jpg編集:ドレミファガール 
書名:話のつまらない男に殺意を覚える
発行:小学館
辛辣度:★★★☆☆

ミクシィの人気コミュニティを書籍化。

「だけど、何なの?自分の喋りたいことばっか喋るオレオレトーク。…さらにお会計時、…キッチリ割り勘、7350円取られましたーーー(「はじめに」より)」

若い女性の、男友達、会社の同僚、コンパの相手etcに対する不満・グチを集めてます。

面白いですねぇ。これを読むと、嫌われる男のパターンが非常によくわかる。
断トツの1位:ケチ
2位:自分が偉いと思い込んで話す奴
3位:(自分が好かれていると)勘違いしてる奴。

面白かったエピソード。
・ハチ公前で美人2人に声をかけた学生「遊ばない?オレら早稲田だけど」。…「私たち東大です。」

惜しむらくは、ちょっと内容がワンパターン。あと、エピソードの後に書かれる編者のつっこみがぬるい。
まぁ立ち読みで十分かもしれません。
# by bibliophage | 2007-01-26 07:29 | ユーモア
『北条時宗』 時宗VSフビライ
『北条時宗』 時宗VSフビライ_d0018433_6295936.jpg著者:さいとう・たかを、原作:高橋克彦 
書名:北条時宗 前・中・後編
発行:リイド社(漫画)SP Wide版 
(画像→はオリジナル版)
ダイナミック度:★★★★☆

北条氏とフビライ兄弟の物語を並列。

<北条時頼は執権に就任したが、同族の北条時幸や有力豪族三浦氏との権力争いは続いた。一方モンゴルでは4代目の皇帝にモンケが着き、フビライは中国方面の総督になっていた。時頼は蒙古の来襲を恐れ、子の時宗にその備えの必要性を説く。フビライはモンケの病死後、5代皇帝となって南宋を滅ぼし、いよいよ日本侵略を決意する。>

鎌倉時代の日本で北条氏の話を中心とし、その一方で世界帝国を築いたモンゴルの英雄たちの物語も並べて進めるという構造がとても面白い。
最後は、蒙古来襲に収束するというわけです。

日本でもモンゴルでも内輪ゲンカ、兄弟ゲンカがあったのですねw。
モンゴルの天幕式住居の絵がとても興味深かった。

人物では、北九州の貿易商の子である謝太郎(高橋氏の創作か)がとても魅力的で、北条氏を助けて忍者のように活躍します。時宗の腹違いの兄時輔もお忍びで宋を訪れるし、この辺の虚構は小説ならではです。

面白かったので420ページX3巻を一気読みしたら、さすがに目がかすみました。
スケールの大きなところに感動です。
# by bibliophage | 2007-01-23 06:32 | 漫画
『ブレイクスルー・トライアル』 「このミス…」2007大賞受賞
『ブレイクスルー・トライアル』 「このミス…」2007大賞受賞_d0018433_1303783.jpg著者:伊園旬 
書名:ブレイクスルー・トライアル
発行:宝島社
画期的度:★★★☆☆

昨年の「チーム・バチスタの栄光」に続く第5回大賞受賞作品。

<大学時代の友人である門脇と丹羽は、IT企業セキュア・ミレニアム社が主催する公開侵入実験コンテストに参加することを決める。研究所の最新セキュリティを突破するトライアルで、賞金は1億円。彼ら以外にも、強盗団の連中がエントリーして、会場はとんでもない状態に陥っていった。>

話題作を続出させる「このミス」大賞。
期待して読みましたが、今回はもう一つでした。

題材は興味深く、キャラも面白いのですが、何せ前半が読みにくい。説明が多くて、テンポが悪く、もう少しで挫折するところでした。
実際のトライアルの描写である後半が面白いだけに、惜しまれるところです。

主人公の門脇が元ミレニアム社の社員だったりするのも違和感が強い。
また、技術者として強盗チームに協力する<蛙>の存在が面白いのに、ここで生じるはずの摩擦が書かれず、いつの間にか消えてしまう。
第3の参加チームの存在感が乏しい。…あげていくと気になる点が多数です。

これから読まれる方は、1.2章は流して、緊迫感のある3章を楽しむのが吉と思います。
# by bibliophage | 2007-01-20 01:32 | その他小説
『山本勘助』 実在の軍師なのか?
『山本勘助』 実在の軍師なのか?_d0018433_1157445.jpg著者:平山優 
書名:山本勘助
発行:講談社
伝説度:★★★★☆

NHK大河ドラマが開始されました。

「本書では、山本勘助について…あえて『(甲陽)軍鑑』にのみ依拠して、詳細に彼の活躍や言動を紹介していきたい。(序章より)」

信玄ファンとしてはほっておけない人物ですが、いやぁ、知らないことばかりでした。
なんと、山本勘助の実在性がずっと疑われていたとは…!

彼についての記述は、武田家家臣の高坂弾正を中心に書き継がれた『甲陽軍鑑』にしかなく、この資料は年代がいい加減なため、近代歴史学においてその価値が否定されていました。したがって、軍師としての山本勘助もその存在が否定されていたようです。

ところが、昭和44年に「市川文書」と呼ばれる資料が発見され、その信玄の手紙の中に「山本管助」の字があって、逆転でその実在性がぐっと高まった、とのこと。よかったですねぇw。

片目であったようですが、片足というのはウソらしく、江戸時代に付け加えられたフィクションのようです。NHKの考証がどうなっているか楽しみなところ。

簡単に年表を作ると、下記のようになります。
36歳(?)まで各地を廻って武者修行→今川義元へ仕官を希望するもかなわず→43歳で武田信玄に仕える→諏訪氏の娘と信玄との縁組みを支持→戸石城で武田軍の窮地を救う→村上義清との戦いの作戦を立案→信玄とともに出家→川中島に海津城を築く→最後の川中島の戦いで戦死(62歳?69歳?)。

未だに謎に包まれた人物:山本勘助ですが、その姿がうっすらと見えてきました。
大河ドラマを見る方にはおすすめです。
# by bibliophage | 2007-01-14 11:58 | 新書
『使命と魂のリミット』 手練の作品
『使命と魂のリミット』 手練の作品_d0018433_6371942.jpg著者:東野圭吾 
書名:使命と魂のリミット
発行:新潮社
論理性度:★★★★★

「赤い指」に続く東野氏の最新刊。

<父健介が、東都大学で大動脈瘤の手術後に死亡した。当時中学生だった夕紀は、執刀医の医療ミスの疑いを捨てきれないまま、今研修医となって同病院の心臓外科に勤めている。そんな折、病院を爆破する、という警告文が届いた。不安な状況の中、財界の大物に対する心臓外科の大手術が開始された。>

上手いなぁ、という印象でした。
最近、医療モノはちょっと食傷気味でしたが、東野氏の手にかかるとかくも見事なお話が作られてしまうことに感心しました。

父の手術の執刀医、現在の教授である西園。その西園と母との関係。いきなり謎が出てきて、疑念が生まれ、話の内容に引き込まれます。
医療ミスによる被害と車の設計ミスによる被害。最近のトピックを対比させるように話が進んでいきます。

医療の現場についてもよく調べられていると思いました。また。犯人の大掛かりな仕掛けは、理系技術者であった東野氏ならではという感じがします。

最後はタイムリミットサスペンスとなり、思わぬ展開になります。ちょっと都合よく行き過ぎますが、すべての謎に答を出して着地します。この論理性がやはり魅力ですね。
細かいところまで考え抜かれているのにも感心。犯人が本名でホテルを予約した理由など。

当代の人気作家の実力を見せ付けられた作品でした。
# by bibliophage | 2007-01-11 06:40 | ミステリ-